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ツナマヨがコンビニおにぎりの人気No.1であることからも分かるとおり、手頃な価格でおいしく、しかもタンパク質や多価不飽和脂肪酸などの栄養素も豊富なツナは多くの人に親しまれている食材です。しかし、そんなツナには人体に有害な水銀も含まれています。一体なぜツナに水銀が含まれているのかや、どれくらいまでならツナを食べても問題ないのかについて、専門家が解説しています。
How much tuna can I eat a week before I need to worry about mercury?
https://theconversation.com/how-much-tuna-can-i-eat-a-week-before-i-need-to-worry-about-mercury-176682
オーストラリア連邦科学産業研究機構で微量金属について研究しているサイモン・アプテ氏と、環境汚染の専門家であるチャド・ジャロリメク氏によると、水銀は自然環境の中に広く存在する物質で、魚介類、特に海などで漁獲されたものは生物濃縮により水銀の濃度が高くなる傾向があるとのこと。
生物濃縮とは、小型の魚やプランクトンを中型の魚が食べ、それをさらに大きな魚などの動物が食べるという食物連鎖の中で、エサの中に含まれている有害物質が動物の体内に蓄積されていくことを指します。さらに悪いことに、魚に含まれている水銀は生物濃縮されやすいメチル水銀が大半を占めており、例えば日本の公害である水俣病も食事中の魚介類に含まれていたメチル水銀化合物が原因物質だということが明らかになっています。そのため、一部の研究者はツナ缶に高濃度の水銀が含まれているのではないかと、長年にわたり懸念の声を上げてきました。
この水銀を摂取しても健康に影響がない量はどのくらいなのかというと、食品安全に関する国際機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家会議が作成している暫定耐容週間摂取量では、「メチル水銀は1週間に体重1kg当たり3.3マイクログラム」で、妊婦の場合はその半分の「体重1kg当たり1.6マイクログラム」とされています。ただし、水銀は胎盤から胎児に移行し、神経の発達に影響を与えるため、妊婦は魚の摂取を制限することが推奨されているとのこと。
摂取しても問題ないとされる水銀の量が分かったところで、次に気になるのがツナ缶にはどれくらいの水銀が含まれているのかという点です。実は、アプテ氏らが所属する研究所は、2015年にオーストラリアの公共放送局が放映した科学番組「Catalyst」が行った検証実験の中で、実際にツナ缶3缶に含まれている水銀を計測しています。その結果、ツナ缶に含まれる水銀の濃度はオーストラリアの食品基準局が定める(PDFファイル)安全基準である「1kg当たり0.5ミリグラム」よりも少ないことが分かりました。
この結果から、アプテ氏らは「水銀の最大許容摂取量に達するには、普通の人なら95g入りのツナ缶を1週間に約25缶、妊娠中の人や妊娠を希望する人でも週に約12缶食べなければなりません。最も熱烈なツナ愛好家でも、この量を食べる人はそうそういないでしょう」と結論付けました。
なお、Amazon.co.jpなどで買えるツナ缶の多くは1缶70g入りなので、アプテ氏らの摂取基準に換算すると「1週間に約34缶、妊娠中の人は約16缶」が摂取上限の目安となる計算です。
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