東京オリンピック開会式当日、無観客での開催が決定しているにもかかわらず、会場となる新国立競技場周辺に多くの人が足を運んだ。なかなか謎めいた現象だが、おそらく現地で雰囲気だけでも味わいたい……という方が集結したのだろう。ま、気持ちはわからなくもない。
同じく、無観客なのは承知のうえで、大会の空気感を演出すべくアレンジされているのが……都営地下鉄の駅だ。あまり知られていないが東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて、4駅で「副名称」と「列車接近メロディ」を使用しているぞ。現地からレポートします!
・無観客でもやる
副駅名を導入したのは東京都交通局の4駅。すでに大江戸線・国立競技場駅に「オリンピックスタジアム・東京体育館」、大江戸線・青山一丁目駅に「オリンピックスタジアム」、新宿線・九段下駅に「日本武道館」、大江戸線・両国駅に「国技館」の副名称が使用されている。
それぞれの駅に行ってみると、副名称の書かれたシールが貼ってあることに気がつく。けっこう強引に仕上げた印象。たしかに副駅名は、掲示物やシステム等を変更する必要がないため「短期間のアレンジに向いている」と聞いたことがある。
とはいえ無観客が決定した今は、誰に向けての案内なのかわからず、電車を降りる人もまるで気にしていないようす。おそらく普段駅を利用している方もほとんど気づいてないだろう。
しかしながら駅アナウンスもバッチリで、青山一丁目駅であれば「青山一丁目〜、オリンピックスタジアム〜」とけっこうノリノリ。マジで有観客だったら、最高にテンション上がっただろうなぁぁああああああああ! 駅利用者とアナウンスの温度差がハンパなくて泣ける……。
また、副名称を使用している4駅 & 都庁前駅では、列車接近メロディもオリンピック仕様に変更。『Make The Beat!』なる東京2020大会の公式応援ビートをアレンジした楽曲が使用されているぞ。
正直に言うと、私は “2020ビート” の存在を知らなかったが、おそらく「音楽に合わせて踊って応援しようぜ」ってことなのかな。ビジネスマンが行き交う静かな駅構内に、テンションMAXのビートが響き渡っている……なんつーか、もうヤケクソになって踊りてぇ。
すでに東京五輪は開幕し、アスリートたちの懸命な姿は世界中に感動や勇気を与えている。本来なら選手たちを応援するため、観客の気分を盛り上げるため、もっともっと華やかに飾り付けをしたかったのではなかろうか。
1年延期や無観客開催など異例ずくめの大会は、現場サイドもギリギリまで対応に追われていたに違いない。たまたまでも駅を利用する機会があれば、東京五輪の雰囲気を味わってみてはいかがだろうか。副名称や列車接近メロディの実施期間は、2021年7月16日から9月30日まで。