フライト回数、二桁突入の快挙…!
NASAのヘリコプター「インジェニュイティ」は現地時間の先週土曜、火星での10回目のフライトに成功しました。火星探査車パーサヴィアランスの役に立つ重要な画像を捉えてきた同ヘリコプターは、今回のフライトにより火星での総飛行距離1,605mを記録しました。
NASAは日曜にツイッターで、ヘリコプターが“Raised Ridges”と呼ばれる地域を飛んだと投稿。この地域は液体が地下に流れるための経路として機能することのある断裂系の一角で、パーサヴィアランスのチームが将来的に訪ねることを検討しています。もし水がRaised Ridgesを流れていたなら、探査車の第一目標である火星のかつての生命の痕跡を探すための理想的な地点になりますし、さらなる調査のためのサンプルを採掘できるかもしれません。
The #MarsHelicopter’s success today marks its 1-mile total distance flown. It targeted an area called “Raised Ridges.” This is the most complex flight yet w/ 10 distinct waypoints and a record height of 40 ft (12 m). Its scouting is aiding @NASAPersevere. https://t.co/tboEcnLvx3pic.twitter.com/Wc6tDVimIT
— NASA JPL (@NASAJPL) July 25, 2021
先週金曜日には、インジェニュイティの運用主任Teddy Tzanetosさんがヘリコプターの予定飛行経路の説明をステータスアップデートに掲載。Tzanetosさんは10回目のフライトが航法とパフォーマンスの面で、これまでで最も複雑な試みだと述べていました。フライトでは10個の中間地点と、前回までの最高記録の高度10mを更新して12mの通常高度を予定していたからです。飛行時間はおよそ165秒間になるとも述べていました。
NASAはまだ今回のフライトの詳細を発表していないものの、Tzanetosさんはアップデートの中で今回の経路を詳しく説明していました。それによると、インジェニュイティはまず6つ目の離着陸場から離陸して南南西に50m移動。続いて、ヘリコプターは南を向いてRaised Ridgesの画像を2枚、別々の中間地点から撮影。西から北西へとそのまま飛び進んで各中間地点からRaised Ridgesの写真を撮っていくというルートです。NASAはこうした中間地点からのデータを重ねて立体画像を作るつもりとのこと。
ステータスアップデートには、インジェニュイティが当初の目標をはるかに超えて見事なデモを遂行しているという点も綴られていました。同機は元々のミッションで予定されていたよりも76日多い、107火星日(sol)も存続しています。
そのうえ、インジェニュイティは飛行とカラー画像取り込み能力を改善するためのフライトソフトウェアアップデート2つの実行にも成功。火星での総滞空時間14分間以上、技術デモでのパフォーマンスの112%に達しました。これまでに13メガピクセルのカラー画像43枚と白黒画像809枚を撮って火星の新たな光景を提供してくれたのです。
火星でできることの限界を押し広げているインジェニュイティは、地上が大変な時に素晴らしい知識の贈り物を与えてくれました。 あとどれくらい活躍できるか分かりませんが、応援し続けましょう。