14歳から飛行機の操縦を学び19歳で「女性の単独飛行による世界一周」の最年少記録を11年も上回って更新した女性

GIGAZINE
2022年01月21日 23時00分
動画



2022年1月20日、超軽量飛行機で単独飛行による世界一周を試みていたザラ・ラザフォードさんが、150日を超える旅の果てにベルギーのコルトレイクに着陸して見事に世界一周を成し遂げました。ラザフォードさんはベルギーとイギリスの国籍を持つ19歳の女性であり、従来の「女性の単独飛行による世界一周」の最年少記録を11年も上回る新記録を樹立しました。

FlyZolo – Youngest Woman Solo
https://flyzolo.com/

Belgian-Briton Zara Rutherford is youngest woman to fly solo around world | Belgium | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2022/jan/20/belgian-briton-zara-rutherford-is-youngest-woman-to-fly-solo-around-world

ラザフォードさんの単独飛行プロジェクト・FlyZoloは、今回の旅をまとめたムービーを公開しています。

FlyZolo Full route and media reel – YouTube
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ラザフォードさんの両親は2人ともパイロットであり、娘であるラザフォードさんも幼い頃から飛行機に乗せてもらったとのこと。


自分もパイロットになることを決めたラザフォードさんは、わずか14歳で飛行機の操縦を学び始めたそうです。


ラザフォードさんは、高校を卒業した後の2021年8月18日にベルギーを出発し、単独飛行の世界一周に挑戦することにしました。


TVのインタビューで、ラザフォードさんは「飛行機で世界一周するのは本当に夢でしたが、高額の資金や危険、複雑さ、輸送の問題などから不可能だと思っていました」と述べています。しかし、高校を卒業したことをきっかけに、「こんなことに挑戦できるのは今しかない」と思って世界一周を決意したとのこと。


そして8月18日、ラザフォードさんは世界一周の旅に出発するために、超軽量飛行機「Shark Aero」に乗り込みました。


滑走路を走り……


ついに離陸しました。


Shark Aeroは最高時速300kmに達する世界最速の超軽量飛行機の1つですが、夜や雲の中を飛ぶことができないため、晴れた昼間のみ飛行可能という制限があります。


ベルギーを離れたラザフォードさんは西へ向かい、イングランド・スコットランド・アイスランド・グリーンランドなどを経由してアメリカに到達。


ラザフォードさんは飛行中、コックピットからの景色などを撮影していました。


また、さまざまなメディアに「単独飛行で世界一周に挑戦中の女性」として取り上げられました。


北アメリカだけでなく南アメリカの国々も訪れた後……


今度は北上してアラスカ経由でロシアへ向かいました。


インタビューで、「女の子や女性でも飛行機に乗ったり、科学やテクノロジーエンジニアの勉強ができると励ましたい」と語るラザフォードさん。


その姿には、多くの人々が勇気づけられた模様。


しかし、今回の旅は必ずしも順調ではありませんでした。アメリカ・アラスカ州のノームという街では、ロシアへのビザ関係の手続きで1カ月ほど足止めされてしまいました。この時も、大学入試関係の手続きや飛行機のメンテナンスといった日常的な雑用をこなしつつ待機していたとのこと。


ようやくロシアまでたどりついたものの、地上の気温がマイナス35度というシベリア上空でのフライトは、これまでの旅で最も難しい場所だったとのこと。「もしエンジンが止まったら、救助が来るまでの数時間を生き延びることが可能かわかりませんでした」と、ラザフォードさんは語っています。しかし、シベリア上空のフライトは旅の中で最も印象に残ったものでもあるそうです。


また、オホーツク海に面するロシア北東部の都市・マガダンでは吹雪で1週間ほど待機したほか、人口わずか800人ほどのアヤンという村にも3週間の滞在を余儀なくされました。なお、アヤンではベルギーの公用語であるオランダ語はもちろん英語すらほぼ通じず、無線LANも利用できませんでしたが、地元の人々はとても親切で、喜んでラザフォードさんを助けてくれたとのこと。


さらに、COVID-19の影響で中国の入国規則が変化した関係で、直前になって中国を回避するルートを選択することになりました。そのため、ラザフォードさんは韓国や台湾を経由して南アジアへ向かったそうです。


インドネシアやスリランカを経由して到着したインドで、メディアのインタビューに答えるラザフォードさん。


インドのムンバイを離れると、中東のドバイまで8時間のフライトを行いましたが、この時は嵐の影響で予定より60マイル(約97km)離れた空港に着陸したとのこと。


エジプトを経由し、砂漠の上でのフライトを行ってヨーロッパへ。


そして2022年1月20日、ついにラザフォードさんはベルギー・コルトレイクの空港に着陸し、見事に単独飛行による世界一周を成し遂げました。これまで「女性の単独飛行による世界一周記録」を持っていたシャスタ・ウェイズさんの記録を11年近く更新し、男性の記録を持つトラビス・ラドローさんとの差を1年に縮める快挙です。


ラザフォードさんの総飛行距離は5万2080.3kmであり、総飛行時間は200時間、離着陸は71回も行われたとのこと。


最も長いフライトは2000kmであり、水上を飛んだ最長距離は1861km、最高高度はグリーンランド上空で記録した4200mでした。


訪れたのは5大陸31カ国であり、最高気温はインドネシアのジャカルタで体感した32度、最低気温はロシアのマガダンで記録したマイナス34度だったそうです。


ベルギーに戻ったラザフォードさんは今後、大学で電気工学を学ぶ予定だそうで、将来的には宇宙飛行士になる夢を持っているとのこと。ラザフォードさんは、自分が幼い頃は女性パイロットや女性コンピューター科学者をあまり見かけなかったとして、「自分の姿を見て他の女の子が『自分も空を飛びたい』と思ってくれることを願います」と語りました。

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