スイスの名峰・マッターホルンは2秒に1回の周期で揺れていると判明

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スイスとイタリアの国境にそびえ立つ標高4478mのマッターホルンは観光客だけではなく世界中の登山家からも人気の高い山で、スイスを象徴する名峰です。チューリッヒ工科大学スイス地震局の研究チームが、このマッターホルンが約2秒に1回の周期で前後に振動していることを証明しました。

Spectral amplification of ground motion linked to resonance of large-scale mountain landforms – ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012821X21005513

How the Matterhorn sways | @theU
https://attheu.utah.edu/facultystaff/how-the-matterhorn-sways/

研究チームは「地球の動きはあらゆる物体を振動させていますが、幸いにも通常時は私たちがその振動を感じることはできません。世界中のさまざまな物体には共鳴を起こす固有振動数というものがあり、私たちはマッターホルンのような大きな山でも共鳴による振動が検出されているかどうかを知りたかったのです」とコメントしています。

マッターホルンには標高4470mの山頂、北東の尾根にある緊急避難所「ソルベイ・ビバーク」、麓の複数箇所に地震計が設置されています。これらの地震計は山のすべての動きを高解像度で記録し、スイス地震局に自動で送信しています。研究チームは送られてきたデータから、マッターホルンの共振周波数と方向を導き出しました。


その結果、マッターホルンはほぼ南北方向に0.42Hz、東西方向にも同様の周波数で振動していることが判明しました。ただし、振幅の範囲はほぼナノメートル(10億分の1メートル)からマイクロメートル(100万分の1メートル)で、人間にはまず知覚できないレベルの揺れです。


また、マッターホルンの麓にある基準点と比較して、山頂の揺れは固有振動数の範囲で最大14倍も強かったことも判明。


さらに研究チームは、マッターホルンの振動を80倍に高速することで人間の耳に聞こえるようにした音声を公開しており、以下の画像をクリックすると聞くことができます。


研究チームは、マッターホルン以外の山も同様の振動をしていると予想。中央スイスにあるグロッサー・ミューテンという山でも調査を行ったところ、マッターホルンよりもずっと小さいグロッサーミューテンがマッターホルンのおよそ4倍の周波数で振動していたことがわかりました。

マッターホルンの調査に参加した、ユタ大学で地球物理学を研究するジェフリー・ムーア准教授は「マッターホルンのような大きな山の振動を調査した今回の研究は、強い地震が発生した時における斜面の安定性に重要な意味を持つかもしれません。山麓における地面の動きは山頂で増幅され、地滑りや落石などが起こりやすいと考えられます」と述べました。

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