DiscordやSlackなどチャットやビデオ通話を主目的としたソフトウェアは数々存在しますが、オープン標準かつ軽量なリアルタイム通信プロトコルMatrixを採用したチャットソフトウェアが「Element」です。Elementはエンドツーエンド暗号化を用いたセキュアなチャットが行えるというだけでなく、ビデオ通話まで可能ということなので、実際に使ってみました。
Secure messaging app | End-to-end encrypted messenger
https://element.io/personal
というわけで、Elementを実際に使ってみます。Elementはウェブブラウザ版・iOS版・Android版・PCソフトウェア版が存在するので、それぞれを実際に使ってみます。
・目次
◆ウェブブラウザ版
◆iOS版
◆Android版
◆PCソフトウェア版
◆ウェブブラウザ版
まずはウェブブラウザ版を使ってみます。公式の導入用ページから「Launch Element Web」をクリック。
すると以下のようなページに自動で遷移します。Elementの利用にはアカウントが必須なので、「アカウントの作成」をクリックします。
アカウントを一から新規作成する他にも、GithubアカウントやGoogleアカウント、GitLabアカウント、Facebookアカウント、Appleアカウントを使った登録も行えるとのことなので、今回はGoogleアカウントを使ってみます。
使用するGoogleアカウントをクリック。
ユーザー名を入力して、Googleアカウントに紐付けられている氏名・メールアドレスの利用可否にチェックを入れ、「Continue」をクリック。
利用規約に同意する旨にチェックを入れて「Continue」をクリックしたらアカウントの作成は完了。
続いては作成したアカウントにアクセスする権限を求められるので、「Continue」をクリックしてブラウザ版Elementのホーム画面へ。
ブラウザ版Elementのホーム画面はこんな感じで、日本語に対応している様子。初回起動時はデスクトップ通知を行うかどうかや匿名の使用状況データの送信可否などを問うポップアップが出てくるので注意。今回はデスクトップ通知は「やめる」、匿名の使用状況データの送信は「いいえ」を選択しています。
とりあえず使ってみる……前に初期設定を行います。Elementはプライバシーに特化したメッセージアプリで、エンドツーエンドな暗号化でメッセージやデータを保護できるという点が特徴。このエンドツーエンド暗号化に必要な鍵やアカウントデータをバックアップするため、左上のアカウントアイコンから「セキュリティとプライバシー」をクリック。
セキュアバックアップの「設定する」をクリック。
「Generate a Security Key(セキュリティキーを生成する)」「Enter a Security Phrase(セキュリティフレーズを入力する)」という2つのセキュアバックアップ方法を選択できるので、今回は「Generate a Security Key」を選択して「続ける」をクリック。
すると以下のように文字列が生成されます。この文字列を「ダウンロード」でローカルに保存して、「続ける」をクリック。
シングルサインオンで再認証を行うため、「シングルサインオン」をクリック。
Googleアカウントを使用してログインしている場合は以下のような画面に遷移するので、「Contienue with Google」をクリックして……
アカウントを再度選択。
「確認」をクリックして、セキュアバックアップの設定は完了。Discordなどのチャットアプリは自分のアカウントにログインするだけで会話の履歴を自由に閲覧できますが、Elementでは会話履歴がエンドツーエンド暗号化されるので暗号鍵を使わない限りは閲覧不可能。なので、会話履歴を再び見たい場合には暗号鍵が必須です。
Elementの機能は「ダイレクトメッセージを送信」「公開された部屋を探す(パブリックのチャットルームに入る)」「グループチャットを作成」の3種類。今回はメインの機能にあたる「ダイレクトメッセージを送信」を使ってみます。
「ダイレクトメッセージを送信」をクリックすると、「対話」というポップアップウィンドウが出現します。この「対話」の入力欄にダイレクトメッセージを送信したい相手のIDを入力して、「続行」をクリック。なお、相手のIDだけでなくユーザー名やメールアドレスでもチャットをスタートできますが、ユーザー名はサーバー側の反映にラグがあるのか検索不可能で、メールアドレスでのチャットは別途セキュリティ設定を要求されるので相手のIDを入力して開始するのがベターという印象。
するとこんな感じで、Discordスタイルのチャットルームが表示されました。
ダイレクトメッセージを受信した側は、こんな感じで「相手とのチャットを開始しますか?」という招待が表示されるので、「チャットを開始」を選択。
するとこんな感じで、ブラウザ上でセキュアなプライベートチャットを行えます。
チャットはファイルのアップロードのほか、顔文字なども使用可能で……
大きな特徴は、投稿1つ1つのソースコードを表示できるという点。実際の本文と見た目上の本文が分けられているため、表示上の見た目が装飾されていてもソースコードから実際の記述を解析できます。
チャット欄の右上から、音声通話とビデオ通話を行うこともできます。
音声通話やビデオ通話の実行時には、マイクやカメラの許可が必要。
受信の際は、以下のようなポップアップが出現します。
ビデオ通話はこんな感じで、相手の映像がチャット欄に大きく表示されます。
◆iOS版
続いてはiOSでElementを使ってみます。まずはApp Storeの「Element Messenger」のページにアクセスして、「入手」をタップして……
「インストール」をタップします。
すると自動でダウンロード&インストールが行われるので、完了後に「開く」をタップしてElementのiOSアプリ版を起動します。
初回起動時はユーザー登録を求められます。Apple IDなどを使ったログインも可能なので、今回は「Appleでサインイン」を選択。
使用するアカウントを確認して、「パスワードで続ける」をタップ。
パスワードを入力して、「続ける」をタップします。
空欄にユーザー名を入力して、Apple IDの情報を引き継ぐかどうかを選択し、「Continue」をタップ。
「利用規約に同意する」にチェックを入れて、「Continue」をタップするとアカウントの作成は完了。
作成したアカウントにアクセスする権限を求められるので、「Continue」をタップするとElementアプリ側でログインが行われます。
初回起動時は通知の許可を求められます。今回は「許可しない」を選択。
匿名の使用状況データの送信可否を問われるので、今回は「いいえ」を選択。
iOS版Elementの起動画面はこんな感じ。まずはElementのウリであるところのエンドツーエンド暗号化を利用したセキュリティ設定を行うため、ハンバーガーアイコンをタップ。
「設定」をタップして……
セキュリティを選択。
安全なバックアップの「セットアップ」をタップ。
「Generate a Security Key(セキュリティキーを生成する)」「Enter a Security Phrase(セキュリティフレーズを入力する)」という2つのバックアップ方法があるので、今回は「Generate a Security Key」を選択。
復活用の暗号鍵が表示されるので、「Save」を選択。
「ファイルを保存」を選択して……
暗号鍵を任意の場所に保管できます。
今度は実際にチャットを使ってみるため、右下の+アイコンをタップ。
すると「対話を開始」「ルームを作成」「ルームへ参加」の3つの選択肢が表示されます。今回はチャットを行うため、「対話を開始」を選択。
検索欄にチャットしたい相手のIDを入力して、結果に表示されたIDをタップ。
以下のようにチャットルームに参加するユーザーが一覧表示されるので、「開始」をタップしてチャットをスタート。
チャットの見た目はこんな感じ。
画面下部の空欄からメッセージの送信が行えるほか、ファイルや写真の送信も可能。
相手の発言をロングタップ(長押し)すると、アイコンを使った返信などを行えます。ここで「さらに」を選択すると……
発言に対して以下のようなアクションを実行できます。
ウェブブラウザ版同様、ソースコードの表示も可能でした。
ビデオ通話は画面右上のアイコンから実行可能。
タップするとカメラやマイクへのアクセス許可を求められるので、「OK」を選択していきます。
実際のビデオ通話の見た目はこんな感じでした。
◆Android版
まずはインストールするところから。Google Playの「Element – セキュアメッセンジャー」のページにアクセスして、「インストール」をタップ。
自動でダウロード&インストールが行われるので、完了後に「開く」をタップします。
初回起動時は以下のような説明が表示されるので、「始めましょう」をタップ。
サーバー選択を行う必要があるので、最大のパブリックサーバーである[matrix.org]を選択。
ログイン画面に移行するので、今回はGoogleアカウントを使ってログインします。「Googleで続ける」をタップ。
Googleアカウントのメールアドレスを入力して「次へ」をタップ。
パスワードを入力して「次へ」
空欄にユーザー名を入力し、Googleアカウントに紐付けられている氏名・メールアドレスの利用可否にチェックを入れ、「Continue」をタップ。
利用規約に同意する旨にチェックを入れて「Continue」をタップするとアカウントの作成は完了。
作成したアカウントにアクセスする権限を求められるので「Continue」をタップするとElementアプリ側でログインが行われます。
Android版Elementのホーム画面はこんな感じ。まだ何も行っていないので、画面には使い方の説明が表示されています。まずはElementの特長であるエンドツーエンド暗号化の設定を行うため、左上のハンバーガーアイコンをタップ。
「設定」を選択。
「セキュリティとプライバシー」をタップ。
「セキュアバックアップを設定」をタップ。
「Generate a Security Key(セキュリティキーを生成する)」「Enter a Security Phrase(セキュリティフレーズを入力する)」という2つのバックアップ方法を選択するポップアップが出てくるので、今回は「Generate a Security Key」を選択。
復活用の暗号鍵が表示されるので、「ファイルとして保存」を選択。
これで暗号鍵を任意の場所に保管できます。
チャットをスタートするには、ホーム画面右下のアイコンをタップ。
検索欄にチャット相手のユーザー名などを入力して、結果から相手を選択し、「作成」をタップします。
するとチャットが開始します。
絵文字も送信できる点はブラウザ版と共通。
そのほか送信できるのは、カメラで撮影した写真やギャラリーに存在する写真、所有しているファイル、音声、連絡先、ステッカーなど。
一方、発言を長押しして出てくるコマンドにソースの表示機能がない点はブラウザ版やiOS版とは異なっている様子。
続いてはビデオ通話を実行してみます。画面右上のカメラアイコンをタップ。
カメラやマイクの利用権限の許可を求められるので、「アプリの使用時のみ」を選択します。
相手側がビデオ通話を受諾すると会話がスタート。実際の画面はこんな感じでした。
◆PCソフトウェア版
PC向けにはウェブブラウザ版だけでなくソフトウェア版も用意されているので、実際に使ってみます。「Get Started」のページから「Download」をクリック。
すると以下のリンク一覧までスライドします。PC向けとしてはMac版・Windows(64bit)版・Linux版が用意されていますが、今回は「Windows(64bit)」をクリック。
ダウンロードされた「Element Setup.exe」をダブルクリックして起動します。
するとインストールを行うことなく、そのままソフトウェア版Elementが起動します。起動画面が以下で、見た目はウェブブラウザ版と共通。
というより、見た目だけでなく中身も同一のようです。内部的には何か異なる点があるのかもしれませんが、設定も見る限り完全に共通で、強いて挙げればソフトウェア版はデスクトップ通知の設定があらかじめオンになっている程度の差。なので設定方法や使い方については「ウェブブラウザ版」の項目を参照してください。
実際に使ってみると、レイアウトや使用感はDiscordに似ていますが、Matrixのエンドツーエンド暗号化によってセキュアな通信が行えるという点が特徴的。分散型のシステムによってどこか1つのサーバーがダメになった場合もよそに乗り換えればOKという点も魅力的な印象でした。
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