2021年11月29日に、EUのインターネットサービスプロバイダー(ISP)13社が連名で、大手IT企業に対してインターネット回線の改修費用をはじめとするインフラ更新費用の一部を負担するような枠組み作りを求める共同声明を発表しました。
Joint CEO Statement: Europe needs to translate its digital ambitions into concrete actions
https://etno.eu/news/all-news/717-ceo-statement-2021.html
EXCLUSIVE Europe’s telcos want U.S. tech giants to help fund network costs | Reuters
https://www.reuters.com/markets/deals/exclusive-d-telekom-vodafone-others-want-us-tech-giants-help-fund-network-costs-2021-11-28/
Big Tech firms should pay ISPs to upgrade networks, telcos in Europe claim | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2021/11/big-tech-firms-should-pay-isps-to-upgrade-networks-telcos-in-europe-claim/
イギリスの通信大手・VodafoneをはじめとするISP大手13社のCEOが11月29日に、ヨーロッパにおけるIT推進の目標を支援的な政策や規則と整合させるよう呼びかける共同声明を発表し、その中で「グローバルなテクノロジー企業とEUのデジタルエコシステムの関係を再構築させること」を各国の政策立案者に要請しました。
共同声明は、具体的な「グローバルなテクノロジー企業」に言及していませんが、ロイターは「大手ISPのCEOらによる今回の呼びかけは、通信業界がNetflixやYouTubeのサービスに対応できるような5Gや光ケーブルなどの設備への大規模な投資を余儀なくされていることを受けてのものです」と報じました。
通信量の増加に耐えかねた通信事業者が、大手IT企業に費用負担を求めるのはこれが初めてではありません。10月には、Netflixのドラマ「イカゲーム」のヒットを受けて、韓国の通信会社がNetflixに通信料の支払いを要求する訴えを起こしています。
Netflixのドラマ「イカゲーム」が人気すぎて韓国の通信量が爆増、通信会社はNetflixに使用量支払いを求めて提訴 – GIGAZINE
「映像ストリーミングがトラフィック全体の57.6%を占めている」との調査結果もあることから、EUの通信事業者はこれらのサービスがインターネットインフラに「フリーライド(ただ乗り)」しているとの不満を募らせています。共同声明の中でISP各社は「ネットワークトラフィックの大部分は大手テクノロジー企業のプラットフォームが作り出し、大手テクノロジー企業はそこから収益を上げています。しかし、これを支えるには電気通信セクターによる継続的かつ集中的なネットワーク投資が不可欠です」と訴えました。
一方、この声明を取り上げたIT系ニュースサイトのArs Technicaは、「この声明は、AT&TをはじめとするアメリカのISPが15年前から発してきた主張と同様のものです。こうした主張の多くは、テクノロジー企業らがすでに自社のネットワークの費用を負担していることや、Netflixなどが独自のコンテンツ配信ネットワークを構築し、家庭のインターネット利用者への配信をサポートしているという事実を無視したものです」と指摘しました。
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