太陽光を反射させてドット絵やメッセージが書ける3Dプリント可能な六角形ミラーアレイがオープンソースで公開中

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太陽の光を任意のパターンに反射でき、3Dプリントで作成可能という六角形に加工された鏡を複数配列したものを、Ben Bartlett氏が作成しました。この3Dプリント可能な六角形ミラーアレイは、交際8周年記念に恋人に結婚を申し込むために作成したとのことです。

GitHub – bencbartlett/3D-printed-mirror-array: 3D-printable hexagonal mirror array capable of reflecting sunlight into arbitrary patterns
https://github.com/bencbartlett/3D-printed-mirror-array

交際相手も自身も生粋の技術オタクであるというBartlett氏は、交際8周年記念に3Dプリント可能な六角形ミラーアレイを作成し、これを用いて太陽光を「MARRY ME?(結婚してくれますか?)」と反射させるというアイデアを思いつきます。

Bartlett氏が結婚を申し込んだ瞬間の写真


「MARRY ME?(結婚してくれますか?)」のメッセージ


Bartlett氏が作成した3Dプリント可能な六角形ミラーアレイの実物がコレ。材料は1インチ(約2.54cm)の六角形ミラータイルと3Dプリンターで使用するPLAフィラメント接着剤の3つ。出力用の3DプリンターにはCreality 3D Ender-3 V2 3Dプリンターが使用されていますが、「約0.1mmの精度を備えたFDM方式の3Dプリンターなら問題なく作成できるはず」とBartlett氏は記しています。


Bartlett氏は複数の六角形ミラーを並べ、任意の鏡のみが太陽光を地面に反射することで、光の反射で地面にメッセージやドット絵を浮かび上がらせることができるようにするというアイデアを思いつきます。鏡への入射角と反射角を割り出し、六角形ミラーを配置するための六角柱を3Dモデルとして作成。この六角柱の上に鏡を置くこととなるため、断面には縁が作られています。


この六角柱を複数ならべ、土台を作成。赤線部分が六角柱の断面部分に形作られた縁です。


Bartlett氏は複数の鏡が反射する光でひとつの光のドットを作成し、これを複数作ることで文字やアイコンを形成することにしました。この時、太陽光が交差するように各鏡の反射角を設定(左)してしまうと、ある距離では光が重なり合いますが、それを超えると光がばらけてしまいきれいな光の点を作れなくなってしまいます。そこで、Bartlett氏は各鏡の反射光が平行に並ぶように鏡の反射角を設定(右)。


反射光で文字やアイコンを作り出せるようにするため、Bartlett氏は専用のアルゴリズムを作成。このアルゴリズムを用いて「どの鏡でどのドットを作り出すか」を割り当てると、以下の画像の左のように反射光同士が交差するケースを極力避けることが可能。一方で、各鏡にランダムに「どのドットを作り出すか」を割り当てると、以下の画像の左のように反射光同士がランダムに交差してしまうという問題が発生します。


Bartlett氏はここまでの考えを実証すべく、37個の鏡を配置できるベースを作成。これを3Dプリンターで出力し、鏡を配置して太陽光を反射してみたところが以下の写真。うまくハートを映し出すことに成功しています。しかし、PLAフィラメントで出力されたベース部分にある六角柱は、フィラメントが乾くと微妙に歪んでしまい、これにより鏡の反射角がずれてきれいな反射像を作れなくなってしまったそうです。この問題を解決するために、Bartlett氏は3Dプリンターの出力が配置されるベース部分の温度を下げるという方法を取っています。


また、複数の六角柱により構成される3Dプリント可能な六角形ミラーアレイの土台部分は、かなり大きなサイズになるため3Dプリンターによる1度の出力では作成できないという問題があります。そこで、Bartlett氏は土台部分をいくつかに分割し、それを互いに接着するという手法を採用。各土台部分に継ぎ目を作成することで、鏡の反射角に影響を与えることなく、かつ土台の構造強度を高めることに成功しています。


これらを踏まえて六角形ミラーアレイの土台部分を出力。Bartlett氏は「モデル全体の出力には約一週間かかりました」と述べています。


そして土台の上に196個の鏡を並べて接着剤で固定。テスト時にはシアノアクリレートの接着剤を使用すると、接着剤が固まる際に大量の蒸気が発生し、この蒸気が鏡部分に付着してしまうという問題が発生していたため、196個の鏡を固定する際はファンを稼働させ、接着剤から出る蒸気の影響を最小限に抑えています。


Bartlett氏は「鏡の取り付けが完了したのは、プロポーズ予定日の前夜であったため、実際に日没時に適切なメッセージが形成できるかどうかをテストすることはできませんでした。ただし、幸いなことに私の望むように反射光を出力することができました」と語っています。

なお、Bartlett氏が3Dプリント可能な六角形ミラーアレイを作成するために作成したソースコードはすべてはMITライセンスのもとGitHub上で公開されています。

GitHub – bencbartlett/3D-printed-mirror-array: 3D-printable hexagonal mirror array capable of reflecting sunlight into arbitrary patterns
https://github.com/bencbartlett/3D-printed-mirror-array


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