by Fábio Telles
すでにアーリーアクセスとして販売されている「ΔV: Rings of Saturn」という宇宙空間での掘削をテーマにした2Dゲームを開発しているKoderasoftwareのkoderski氏が、当該ゲームに寄せられたバグレポートを分析した結果、「平均するとLinuxゲーマーはバグ報告率が550%高い」ことがわかったと報告しました。
Despite having just 5.8% sales, over 38% of bug reports come from the Linux community : gamedev
https://old.reddit.com/r/gamedev/comments/qeqn3b/despite_having_just_58_sales_over_38_of_bug/
koderski氏の行った調査によると、アーリーアクセスとして販売された「ΔV: Rings of Saturn」約1万2000本のうち、Linuxユーザーが購入した本数は700本でした。換算するとLinuxユーザーの購入した本数は5.8%ですが、Linuxユーザーは全バグ報告1040件のうち約38%超にあたる400件を報告しているとのこと。これは言い換えれば、全ユーザーとして見た場合には「11.5ユーザーごとにバグ報告1件」という割合ですが、Linuxユーザーのみの場合は「1.75ユーザーごとにバグ報告1件」という割合になり、Linuxユーザーのバグ報告率は全体平均の650%であることがわかります。
Linux版だけバグが多いのでは?と考えられるかもしれませんが、koderski氏いわくLinux版に固有のバグは3件しかなかったとのことで、同氏は「Linuxコミュニティはバグ報告について非常に良く訓練されている」とコメント。「わずか5.8%のLinuxユーザーが全てのユーザーに影響を与えるバグの38%を発見しました。これは700人で構成される強力な品質保証チームを得るのと同義です。しかも無料の!」と述べました。
さらにLinuxユーザーのバグ報告は件数だけでなく内容においても優れているとのことで、「プレイしていると数時間後にクラッシュします」といった中身のないバグ報告ではなく、ソフトウェア/OSバージョン、取得されたログやコアダンプ、当該バグの再現方法など書き記した報告も多い上に、ときにはDiscordなどの連絡手段を通じて問題を切り分けるための取り組みに付き合ってくれるLinuxユーザーもいるそうです。
こうしたLinuxユーザーの存在について、koderski氏は「少なくとも私にとっては有益です。売上の増加というよりも、フィードバックの大幅増加と無料かつ100人規模の強力な品質保証チームを味方に付けられる点に価値があります。これは独立系ゲームスタジオにとっては、特にかけがえのない財産です」とコメントしています。
なお、「ΔV: Rings of Saturn」は現実の物理学と科学によって裏打ちされた世界観の中、隆盛を極めた宇宙掘削産業に参入して土星のリングで小惑星を採掘する事業を展開する……というゲーム。アーリーアクセス版がSteamで販売されており、1010円で購入可能です。
Steam:ΔV: Rings of Saturn
https://store.steampowered.com/app/846030/V_Rings_of_Saturn/
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