ウクライナを支持するポーランドも標的に。
ポーランド鉄道の無線システムが先週金曜と土曜にハッキングされ、20本の貨物列車と旅客列車が停止状態に陥りました。
このハッキングはロシアによるものと考えられていて、鉄道の無線セキュリティシステムの重大な欠陥を利用したものだと報告されています。
ハッキングがわかって数時間で復旧されたのですが、列車を止めるサイバー攻撃なんて映画の世界みたいです。サイバー攻撃の調査は現在も行なわれています。
恐ろしいメッセージまで
さらにゾクゾクとしてしまうことがわかりました。ポーランド通信社(PAP)は、列車を停止させるために送信された無線信号には、ロシアの国歌とプーチン大統領の演説が交ぜられていたと報じています。
ポーランドは、ロシアのウクライナ侵攻で西側諸国から供給される武器やその他の支援を、ウクライナに運ぶ重要な輸送拠点。
セキュリティ担当官Stanislaw Zaryn氏はポーランド通信社に対してこう述べています。
「現時点ではどんな可能性も排除していません。
この数カ月間、ロシアとベラルーシが連携してポーランド国家を不安定にさせようとする試みが行なわれていることは認知しています」
列車の運行は数時間で復旧し、ポーランド国営鉄道は鉄道利用者への脅威はなく、サイバー攻撃が列車の運行に困難をもたらしただけであると発表しました。
子どもでもできるハッキング
サイバーセキュリティの研究者であるLukasz Olejnik氏は、今回のサイバー攻撃はたった30ドルの機器で、正しい無線周波数を使用すれば誰でも実行できるとWiredのインタビューに答えています。
ハッカーたちは、EUの公開文書に記載されている単純な音を使用してハッキングを行なった可能性が高いそうです。この文書は「トランスヨーロッパ高速鉄道システムの制御・指令および信号サブシステムに関する相互運用性」を規定したもので、誰でも見られるものです。
ただしOlejnik氏は、この情報はYouTubeなどのオンラインでも見られるため、ハッカーが直接この文書にアクセスしたのかどうかはわからないそうです。
「連続して送信される3つの音調メッセージで、ラジオ機器がそれを受信すると、機関車は停止するようになっています。
10代の子どもでも誰でもこのハッキングができます。周波数も音調もオープンになっていますし、送信するための機器も安いからです」
土曜日の夜にも再度、不正な無線信号による列車の停止が行なわれました。この停止によりビャロガルトとルノヴォ・ポモルスキェの間の鉄道路線に影響が出ています。
ポーランド通信社は、シュヴィドヴィンとヴォロヴォ間の貨物列車を運行していた運転手と、ルノヴォ・ポモルスキェ駅の交通管制官が列車の停止信号を受信したと報じています。列車のスタッフが危険がないことを確認し、交通管制官が運転手に経路を続行するようにと連絡したそうです。
ポーランド国営鉄道は声明で、金曜日と土曜日に報告された列車の混乱は「不明の加害者」によって行なわれたものであり、「無線停止信号を受信するすべての列車は、特定の周波数で直ちに停止する」と述べています。
簡単に行なわれる無線ハッキングではありましたが、これによりウクライナを支援するポーランドにとって影響を及ぼす可能性もあります。
Olejnik氏は「戦禍にあるウクライナへの支援の拠点となっている場合、その拠点は標的にもなります」と、ポーランドが標的にされているとコメントしています。