不動の人気トヨタ「ハイエース」受注停止か…来年フルモデルチェンジ/改良版発売の観測


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トヨタ「ハイエース」(「Wikipedia」より/Tokumeigakarinoaoshima

 トヨタの「ハイエース」が現在、受注停止になっているという情報が広まっている。来年2024年には改良版が発売されるという観測も浮上しているが、自動車業界関係者に聞いた。また、製造元のトヨタ車体には問い合わせ中であり、回答を入手次第、追記する。

 1967年に「トヨエース」の小型版として発売されたハイエースは50年以上の歴史を持ち、現行の200系ハイエースは2004年にフルモデルチェンジ版として発売された5代目。2021年の月間販売台数は7000~8000台ほどとみられ、商用車としては1位。新車販売価格が300~400万円(「ハイエース バン」)と高価格帯ながら、現行車種の発売からすでに約20年が経過した今も根強い人気を誇っている。ちなみに19年11月29日付朝日新聞記事によれば、初代発売から18年までの51年間の世界累計販売台数は約623万台におよぶという。

 ハイエースの「不名誉な称号」として知られるのが「盗難車両のワーストNo.1」というもの。「自動車盗難事故実態調査」(日本損害保険協会)によれば、2007~13年まで7年連続で盗難件数1位。全長4695mmという大きな車体にもかかわらず盗難が多いのは、耐久性の高さゆえに中東やアフリカなど海外でも人気が高く、車体を解体して部品を輸出する窃盗グループのターゲットになりやすいためだ。

「同じくトヨタの人気車であるハリアーも300~400万円(ガソリン車)で5人乗りなのに対し、ハイエース ワゴンだと10人まで乗車が可能。ハイエースのほうは搭乗人数を減らせば多量の荷物を運ぶこともでき、機能面と価格面を総合的に勘案するとかなりオトクだといえる。

 ハイエースはカテゴリー的には商用車とはなっているものの、ハイエース バンなら『スーパーGL』など個人ユースを想定したタイプも揃えられており、利用シーンの幅広さも『選ばれる理由』となっている」(自動車業界関係者)

「法人ユーザーの間でも『とりあえずハイエースにしておけば間違いない』というブランドが確立されており、また法人だと買い替えや追加購入の際に同じ車種が選ばれやすいため『浮気』されにくく、継続購入されることも一定の販売数維持につながっている」(販売店関係者)

200系の改良版の発表が現実的か

 そんなハイエースが今、受注停止となり、24年には改良版発売かフルモデルチェンジが予定されているという情報が一部で取り沙汰されている。

「すでに政府は35年までに新車販売で電動車を100%にする方針を掲げており、EU(欧州連合)も通常のエンジン車の販売を同年以降は禁止すると表明している(合成燃料「e―Fuel」使用のエンジン車の販売は可能)。現行のハイエースにEV(電気自動車)はなく、もし来年エンジン車とディーゼル車のフルモデルチェンジ版を発売しても10年後には販売できなくなってしまう可能性があり、フルモデルチェンジにかかるコストの回収を考慮すれば、このタイミングでのフルモデルチェンジは考えにくい。そのため、改良版の発売が現実的なのではないかという見方が強い」(販売店関係者)

 自身で中古車販売店も営んでいる自動車ライター、桑野将二郎氏はいう。

「私自身が拠点としている関西圏の正規ディーラーでは、正式な受注中止はアナウンスされていないようですが、社内で夏までに受注が止まるだろうという話は出ているとのことです。関東圏では実際に6月末で受注停止となるディーラーがあるのは確かなようです。

 現行モデルの200系ハイエースは2004年のデビューですから、2024年で20周年を迎えます。メモリアルなこの時期に、メディアが憶測も含め報じているわけですが、一般的な車種ならアニバーサリーモデルを販売してから次期モデルにフルモデルチェンジという流れはおおいに考えられます。しかし、ハイエースは前述のとおりロングライフモデルなので、2024年のフルモデルチェンジだと中途半端なモデルサイクルになることも考えられます。自動車業界全体の流れとしては、2030年前後にかけてEV化や先進運転支援機能の進化など、不確定ながらメーカーとして対処すべきであろう事柄も多く、2024年のフルモデルチェンジはあらゆる側面から合理性がないため、引き続き200系の改良版が発表されるだろうとの予想を立てるジャーナリストが大方なのだと思います。

 補足として、ハイエースはトヨタのグループ会社であるトヨタ車体で製造されており、このトヨタ車体が今年6月の北海道ラリー選手権にハイエースのラリーカーでエントリーし、来年も同様に200系ハイエースで参戦すると発表されたことを受けて、2024年に次期モデルがデビューすることはないだろうという予測にもつながっているようです」

 ちなみにハイエースの人気が高い理由について、桑野氏は次のように解説する。

「まず、ボディが現場仕事でも扱いやすい絶妙なサイズ感なうえ、室内の積載スペースが他車と比較にならないほど広く、隅々まで使えるスクエアなデザインであることが、最大の利点といえるでしょう。また、ボディがナロー、ワイド、ハイルーフ、ミドルルーフ、ロールーフ、ロング、スーパーロングと、多彩に設定されており、仕事からレジャーまで用途に応じて選べます。そして、シンプルな設計で基本的にとても丈夫に作られているため、耐久性がズバ抜けて高く、走行距離が30万km以上の中古車でも海外に輸出され、世界各地で活躍しています。

 さらに、ロングライフモデルとしても知られ、長きにわたって改良を繰り返しながら生産されているため、流用部品も多く、中古部品も潤沢に流通しているため、メンテナンスしやすいことだけでなく、カスタマイズのベース車としても高い人気を誇ります。こうした事情もあって、中古車市場におけるリセールバリュー度が非常に高いことも特筆できると思います」

(文=Business Journal編集部、協力=桑野将二郎/自動車ライター)

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