スパゲッティの量はわかる。だがペンネとなるとどうだ。
気候変動問題、労働賃金引き上げ問題、格差社会問題、等々世の中にはさまざまな問題があるがその中の一つとして、スパゲッティの量ならつかんだときに大体わかるがペンネとなると全然わからん問題がある。
みなさんには賃金の引き上げと気候変動をなんとかしてもらいたい。私は今日ペンネの量を把握する。
ショートパスタの前で私達は赤ん坊同然
クラシルのYouTubeのレシピ動画に出てくる鳥羽周作シェフはパスタを扱うときに毎回100gチャレンジというのを行うのが恒例だ。ぎゅっと握って一食分であるパスタ100gを量るというものだ。
わかる。人の脳はパスタの一回分をスケールを使って量るめんどくささに耐えられるようにはできていないのではないか。とにかくパスタに量りを使いたくない。
幸いにもパスタ100gにはペットボトルの蓋サイズ(私は500円玉と聞いたが)という目安があり、そこまで大きくは外れたりはしない。
2、3回パスタを作ってからはなんとなくの自分のサイズを量れるようになっていた。
だけど人はたまに麺状以外のパスタを食べたくなる。たまには、とペンネを鍋に入れて愕然とした。何g入ってるのかさっぱりわからないのである。
ショートパスタを100g量れる男になりたい
パスタは握ってだいたいの大きさを見ればいい。だけどペンネは束ねることができない。マカロニは、フジッリはどうだ。それらのショートパスタはそもそも100gでいいのか?
人はみなショートパスタの前では赤ん坊のように無知で無力でただ泣き叫ぶことしかできない。
少年漫画ではこのような強敵の前で為すすべがなくなったとき、次に来る展開は修行である。このままではいけない。ショートパスタのだいたい100gを量れるようにしておきたい。
ペンネに対するわがままな思い
ペンネを「これくらいが一人前かな」とやると60gだった。これでは少ない。今度は100gをきっちりスケールで量ると「こんなんでお腹いっぱいにならないだろ」という見た目だった。
ペンネが多くも見えるし少なくも見えるし、そうだ、ペンネはいつまでもピンとこない。これは一体どういう現象なんだろうか。
言うなれば私達がペンネにわがままを言ってる状態なんじゃないか。私達はペンネにダダをこねている子供なんじゃないか。そう考えると私達は一人前を食べたくて泣き叫んでいるのではなく、本当はペンネに愛されたいのかもしれない。
そうだったのか……。と不憫に思うものの、それがどういうことかは全くわからない。涙を拭いてとにかく先に進もう。
どうやったらかんたんに量れるのか?
スパゲッティなり麺状のものは束ねることができる。だけどショートパスタはどうしたらいいのだろう。
一番良いのは「このお皿に入ればちょうど一人前」という基準を自分の中で作っておくことだろう(今書いてて気づいたが計量カップに線引いて「ペンネ100g」と書いといてください)。
とはいえスケールを放棄したのだからカップも使いたくない。「束ねてペットボトルの蓋くらい」のように一瞬で量りたいのだ。
人類はショートパスタを手で量るしかないのか
今回100gを量れるようになりたいと思いつつも、全く勝算があるわけではなく、どうしたらいいものかと途方に暮れていた。昔のアニメならカラスの効果音でもつけただろう。
とにかく使えるものといえば我々には手くらいしかないのである。
しかも手でなにかするとなると「手のひらに載せる」「手でつかむ」くらいしかないのだ。鼻と耳に挿したところで4本量れる程度である。ヒジとかヒザは全くの役に立たないのだ。もっと良い場所はないのか。人体はショートパスタの前では相変わらず無力である。
マンマが脇に挟んだパスタをゆでる
そもそも私達の体は物を収めることがほとんどできない。いや、待てよ、そんなことはない。挟むのはどうだ。手以外となると脇やアゴ、太ももに挟むんだ。そしてそんなパスタを誰が食べたいというんだ。
やはり手以外にない。手のひらに載せるのは両手を使うことになるし片手でわしづかみにするしかない。
わしづかみにして平均を出そう
待てよ。 39や34とわしづかみによって数字がばらつくものの、100gなら3回投入することになるわけで、その全部が39となることは少ないだろう。
何が言いたいかというと、平均値を出して×3したものが100に近ければいいんじゃないだろうか。3回も投げ込む必要はあるが、投げれば投げるほどその値は平均に近づくじゃないか。
3回ほどほどにわしづかんで投げ込め
とりあえずわしづかみを何回も量ってみよう。39.3,34.8,37.1,38.3,31.3,30.2,39.3,38.5,33.4,32.1,32.5,31.5,35.5,31.5,35.5,37.9,28.4,30.9,32.7,37.9,32.1,と21回やって平均は34.3gだった。
ということは×3をすれば102g!
最大値は39.3で最小値は28.4と10gの差が出ていることが頭が痛いがペンネ100gはあんまりがんばらずほどほどのわしづかみで3回投入でいいはずだ。
体の大きさに合わせて量も変わる
ペンネはほどほどのわしづかみで3回投げ込めばだいたい100g! でもこれは手の大きさに左右されるだろう。身長170cm足の大きさ27cmの筆者で大体100gだ。
でも食べる量も体の大きさで変わるのだから、なんとなく帳尻が合うのではないだろうか。わしづかみ3回でいこう。
問題はペンネ以外にも敵がいるということだ。
マカロニも「ほどほどに」3回投げ込めばいい
マカロニはペンネよりも細く、体積と質量はそう変わらない。わしづかみにして量ってみると33.6,32.8,34.0,34.7,32.9,34.3,27.5,40.8,53.9,29.1,29.4,34.7,で平均は34.8となった。
近い。だけど問題は53.9gが出てしまっていることではないか。問題はここだ。わしづかみよ、お前はなんで調子がよいとめっちゃわしづかめてしまうんじゃ。特にマカロニはペンネよりも細かった。より「束に」なってしまう時があるのだ。
わしづかみを本気ですると50×3で150gと、大盛りになってしまう。大事なのは「分別を持ってほどほどに」わしづかみすることである。
この文言を入れることで行った者に責任を追わせることができる便利な言葉だ。入れすぎた者は分別を持たないならず者である。
続いてはショートパスタといえばの謎のフジッリだ。
フジッリを並べてみるとペンネやマカロニよりかはもう少しかさが増してしまうようだった。しかし引っかかりがよく握りやすいのでたくさんつかめる気もする。どうだろう。
体積が増せばグラムも減る
量ってみると28.0,29.5,45.5,33.6,32.3,35.5,31.8,34.1,30.0,32.4,29.1,31.4,34.8,32.7,で体積が少し大きいのか平均は32.9と少なくなった。とはいえこれも3回投げ込めばいいだろう。
ショートパスタは3回投げ込め。通じた。来たぞ、このままいけば定説が出来上がってしまう。
つづいては「ちっけえマカロニ」ことエルボである。
小さい時は4回投げ込め
何回か量ってみると25.0,24.7,24.1,29.2,25.0,31.9,26.5,25.7,25.7,30.0,26.1,28.3,27.5,24.4,となり平均は26.7g。細かくすると体積が増えたのか、それとも一個が小さいのではみ出た分が落っこちてしまうのか、重量は少なくなってしまった。
ここでショートパスタは3回投げ込めの定説は崩れる。4回投げ込めば104g。気持ち軽めに4回投げ込め、である。
エルボに続き「小さくて」「細い」マカロニ。これも体積となると増えそうだが…量ってみると25.2,25.8,29.5,29.5,31.5,29.8,29.7,28.7,27.4,31.7,26.0,27.5,28.6,27.6,28.6,25.0,25.7,30.4,25.0,26.9,33.0,23.8,28.7,26.5,27.5,30.5,25.6,22.4, で平均は27.8g。
4回わしづかみにして投げ込めば110g前後。100gだとも言えない。「意識的に少なく4回投げ込む」「こんな細いマカロニを100gを食うな」これでどうだろうか。ついに文言に「食うな」が登場した。
結局は自分の体のサイズ次第
ショートパスタはほどほどにつかんで3回投げ込め。ただし小さいショートパスタは4回いってしまえ。これが今回の修行の成果である。つかみようには修行が必要そうだし、あまり大きな声で言えるような成果ではない。
もうペンネを恐れない
ほどほどにつかんで3回投げ込む。これで大体100g。そうして実際に後日やってみたのだが、なんとなく腹がいっぱいである。ふだん100gも食べないのもあるが……110gくらいつかんでいる気がしてならない。この方法を世の中に広めるのは未だ不安がある。
だけども私はこれでペンネを恐れない。もうペンネを前にしても枕を濡らさず夜を明かすことになるだろう。
人類はこのように問題を対処できる力がある。けっこう間違っていたとしてもなんとなくやりすごすことができるのであるし、それは歴史を見ても明らかだ。
大変さを演出して、言い切って、かっこつけるんだ。私達にできることはそれくらいしかない。