昔は嫌っててゴメンね。
90年代にMicrosoft(マイクロソフト)の「MS Word」で、世界中の人たちからウザがられていたアシスタントのClippy(クリッピー)。
擬人化されたペーパークリップで、画面のはしっこでWordの色々なことを教えてくれるアシスタントなのですが…ほとんどのユーザーがジャマ臭いと思っていた残念キャラでした。
クリッピーは陽気なお助けアシスタントなので、ホントは人々から愛されてよかったはず。ですがMicrosoftがウザいキャラに仕立て上げてしまったせいで、当時は生みの親もツラかったようです。
プロのイラストレーターが生み出した
クリッピーを考案したのは、イラストレーターのケヴィン・アテベリーさん。彼の制作秘話をご覧ください。
始まりはMS Officeではなかった
90年代、ケヴィンさんは子供向けの本を手掛けるデザイン事務所のイラストレーターで、マイクロソフトとのお仕事でWindowsの初心者向けソフト「マイクロソフト・ボブ」のキャラ作りを担っていました。
この企画はお蔵入りしてしまうも、キャラクターがユーザーをアシストする案は生き残り、「Microsoft Office」へと継続されました。
そこでは260種ほどのキャラクターをデザインしたとのこと。オフィス用品でもあり物理的に柔軟な針金のキャラクターは、割と簡単に生まれたのだそうです。
何百枚ものスケッチを経て、最終選考に残ったクリッピーはスキャンされ…なんとMacintoshマッキントッシュでデジタル処理されたのでした。
社会心理学者のお墨付きを得た
完成したキャラたちは、スタンフォード大学の社会心理学者たちのもとに送られ、信頼に値するか? 好かれやすいか? ユーモアのセンスはあるか? といった項目でチェックされ、10種類のキャラから全ての項目をクリアして残ったのがクリッピーだったのでした。
創造主が通った闇と光の時代
ケヴィンさんはマイクロソフトで3年近く、楽しく愉快に仕事をし円満退職しました。
ですがその後、どこに行ってもクリッピーに酷評がつきまとっていることを知り、あまりの恥ずかしさに、自分の履歴書にクリッピーを載せることがなかったのだそうです。
ある時、クライアントのPCにクリッピーが現れたのを見たケヴィンさんは、「それ私が創ったんですよ」と言ったらビックリして喜ばれたとのこと。
今とはなってはいろんなエンタメ作品にカメオ出演も果たしたほど、クリッピーを嫌う人はいなくなりました。最後にクリッピーが好かれようが嫌われようが、ケヴィンさんは「威信を感じている」と話しました。報われて本当に良かったですね。
時代と共に許されつつあるクリッピー
これまで幾度となく復活したり葬り去られたりを繰り返してきましたが、時が経って人々の憎しみが郷愁へと変わったのか、Microsoft Teamsの壁紙としてまたヒッソリ復活したり、Microsoft 365のペーパークリップの絵文字がクリッピーに置き換えられたりと、なんとなく人気が高まりつつある兆しが見られます。
今回の裏話を聞いたら、クリエイターも苦労したんだなぁと感情移入してしまいました。とにかくケヴィンさんが明るく楽しい方だったので、今までクリッピーを嫌っていた自分もまた、許されたような気がします。
Source: YouTube via The Awesomer