カゴメとNECの合弁会社DXAS、営農現場の水不足問題に対応するAI農園アドバイスなど展開

CNET Japan

 カゴメとNECによる合弁会社(本社:ポルトガル)のDXAS Agricultural Technology LDAは10月20日、日本電気(NEC)の農業ICTプラットフォーム「CropScope」に、少量多頻度灌漑(かんがい)に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能を加えたサービスの提案を11月より開始し、2023年4月から提供を開始すると発表した。

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 DXAS Agricultural Technology LDAは、9月に設立。資本金は、211万9392.44ユーロ(3億円相当)で、株主比率はカゴメが66.6%、NECが33.4%となっている。また、主な事業として、AIを活用した営農アドバイスサービス・圃場可視化サービスを販売し、加工用トマトの営農支援を行っている。

 少量多頻度灌漑は、作物が必要とする量の水や肥料を多数回に分けて少しずつ与え、作物にとって最適な土壌水分量を保つ栽培手法だ。自動灌漑制御機能は、灌漑設備と連携し、水や肥料をリモート・自動で制御する機能を指す。

 同サービスにより、営農現場の水不足問題に対応することで、より環境に優しく収益性の高い営農を促進。世界各国での持続可能な農業への貢献を目指す。

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 昨今、温暖化による気候変動、農業資材の高騰などの影響により、農業生産者には大変厳しい環境が続いている。特に、ここ数年世界各地で発生している干ばつは、農作物の栽培に大きな打撃を与えており、持続可能な農業を実現していく上で、水不足への対策は喫緊の課題となっている。

 従来、少量多頻度灌漑は、最適な土壌水分量を保ち、消費する水の量を削減する栽培手法として一般的に知られている。しかし、少量多頻度灌漑は、刻々と変化する最適な水分量を判断するのが難しく、広大かつ複数の圃場をもつ生産者にとっては、管理が複雑で作業負荷が大きいことから普及が進んでいない。

 そこで、カゴメとNECはCropScopeで提供している水や肥料のAI営農アドバイスを用いた少量多頻度灌漑の実証試験を、4月よりポルトガルで実施。結果、「CropScope」を活用していない圃場と比較し、約15%少ない灌漑量で収穫量が約20%増え、通常よりも少ない水の量で収穫量を増やすことに成功している。

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 同実証試験で得られた成果を踏まえ、少量多頻度に対応したAI営農アドバイスと、作業負荷の軽減につながる自動灌漑制御機能を加えたサービスを、今後DXASが主に欧州、米州、オーストラリアの加工用トマト市場へと提供する方針だ。

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