手前から奥へと、真っ直ぐ伸びる線路を想像してほしい。
遥か彼方で、線路の2本のレールが交わるようにみえるだろう。平面上の2本の平行線がずっとずっと遠くで交わる点、これを無限遠点と呼ぶ。
数学を考える上で必要だからと、理論上そういう点が存在することにしたのであって、現実に無限遠点を確認することはできないはずだった。
が、しかし。人面犬をも生み出したと噂される科学都市つくばに、無限遠点が実在したのである。
2本の平行線を限りなく遠くまで辿っていった先にあるとされる、無限遠点。無限というくらいだからそうやすやすとはお目にかかれないのだが、つくば市では無限遠点を実際に見、踏みしめることができる。
つくば市の平行線といえば、つくば駅を挟むようにつくられた学園東大通りと学園西大通りだ。
先の松屋と同じように、西大通店と東大通店の二店舗あるかと思いきや、両道路から見えているマクドナルドは「408大曽根店」ただ一つの店舗だ。
初めてこの交差点にたどり着いた人はみな困惑する。ずっと道なりに 走っていただけのはずなのに、なんで?!
二本の大通りがそのうち交わるということ自体は、全国的に見たら珍しくないことかもしれない。
愛すべきはこの交差点を無限遠点と呼ぶ風習だ。インターネット上では2006年頃にはすでに「通称『無限遠点』と呼ばれる」という記述が見られた。
友達づてなのか先輩後輩の中でなのか、少なくとも干支が一周するほどに、つくばに脈々と伝わる理系ギャグなのだと思うと微笑ましいものがある。そろそろ交差点に碑を建ててほしい。
一般人も展示を見ることができるが、笑っちゃうぐらい書いてあることが理解できず、本当に異世界に来てしまったのかと思うくらい恐ろしい経験だった。
無限遠点の向こう側を知りたい方は、ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。