インドネシアって8割くらいイスラム教徒なんだって。イスラム教って聞くだけで厳格なイメージがあるが、実はイスラム教徒も厳しい人からゆるい人まで様々らしい。
と、そんなことを教えてくれたのはインドネシア在住の20歳にしてロケットニュース24の記者であるアキル君だ。12歳まで日本で暮らしていたという彼。この度は8年ぶりの来日ということで事務所に遊びに来てくれたわけだが、そんな彼には楽しみにしていた日本食があるという。
・予想「寿司か天ぷら」
でも、イスラム教って豚NGだよな。確か、以前、一緒に海に行ったパキスタン人たちはエキスとかパウダー的なものもダメだし、なんなら牛肉もハラールに則った調理法じゃない場合ダメと言っていた。したがって、ラーメンではなさそう。
同じ理由で海外で流行っているカツ丼やジャパニーズカレーでもないだろう。ということは寿司だろうか? 寿司なら魚だし、海外の日本好きの人は大体寿司が好きである。それか天ぷら。っていうか、それ以外ない気がする。と思いきや……
アキル君「きつねうどんです」
──え!? そこ!?
アキル君「きつねうどんサイコー」
・好きな理由を聞いてみた
取材も雑談も含めて数々の外国人に好きな日本グルメを聞いてきたが、「きつねうどん」と答えた人は初めて見た。そこできつねうどんのどこが好きなのか聞いてみたところ……
アキル君「やはり『きつね』の部分ですね。油揚げの甘さがうどんの出汁にめっちゃ合うんです。うどんの麺も、太くてモチモチしてて、腹持ちが良いところが好きです。
でも、昔はうどんのそういうところが苦手で。実は日本に来て初めて食べた日本食がうどんだったんです。お父さんに「うどんっていうのが美味しいから行こう」って『資さんうどん』に家族で行って食べました。
インドネシアにはこんなに太い麺がないので、うどんの太さに喉と舌が追いつかず、気持ち悪かったことを覚えてます。あと、うどんの汁が海老の味がしていて嫌でした。自分、あの頃海老苦手だったんで。
それでも給食で出てくるので残したくなくて頑張って食べられるように訓練していたら、食べられるどころかめっちゃ好きになりました。自分、いなり寿司が好きだったので、きつねうどんの存在を知った時は運命を感じましたね」
──めっちゃ語るやん! ちなみに、好きな店とかある?
アキル君「特定の好きな店はまだないですが、家族でよくスシローに行くので、よく食べるのはスシローのうどんです」
・1つだけいいですか
やっぱり寿司も好きだったことはさて置き、スシローのうどんなんだ。そう言えば、イスラム教って豚を煮たのと同じ鍋使うのもダメとかも聞いたことあるし、店選びも難しいのかな?
アキル君「いえ、厳しい人はそういう人もいるんでしょうけど、自分はそこまでじゃないので。そのレベルで言うと、多分うどんもダメかもしれないし」
──なるほど。この話、記事にしていい?
アキル君「あ、記事にするなら1つだけいいですか?」
──もちろん。何かな?
アキル君「イケメンに写ってる写真使って」
・きつねうどん再発見
というわけで、撮った中でもイケメンに写ってる画像を使わせてもらいました。なお、そんなアキル君は柔らかいうどんの方が好きなのだという。話を聞いていると、まさしく富士そばやスシローのうどんのようにコシがないタイプが好みのようだ。
日本人感覚で言うと、ああいう麺ってファストフード的な安さを感じてしまう。特にきつねうどんは、ウマさよりもどこで食べてもある程度同じ味という安定感が魅力だ。しかし、角度が変わればそこにも感動があるのかもしれない。改めて、日本の食について考えさせられたのであった。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.