岸辺露伴は動かない──ではないが、北京ダックはそこまで変わらない……と思った。なんの話かと言うと、つい先日「世界最高の北京ダック」と言われる超高級中華料理店「全聚徳(ぜんしゅとく)」で北京ダックを食べてみた率直な感想だ。
これは決して全聚徳をディスってるワケでも無ければ、バーミヤンをアゲているワケでもなく「北京ダックとはそういう料理」との結論に至った次第である。以下の内容をご覧いただければ、きっと多くの方に納得していただける……ハズだ。
・忘年会にて
昨年末、当サイトの忘年会でとことん飲み食いしたことは「上司不参加の忘年会、超高級中華で酒池肉林の大豪遊! → 後日領収書を見せたら返り討ちにあったでござる…」でお知らせした。この時に利用した店が「全聚徳」である。
全聚徳の公式サイトによれば、同店の北京ダックは「それを越える料理は無い。最高の北京ダックだ」と言われる究極の一品。国産の北京ダッグのお値段が「1羽1万6800円」であることからもわかる通り、世界最高峰の北京ダックと考えていいだろう。
その全聚徳で北京ダックをいただいた私(P.K.サンジュン)は、率直に「ウマい!」と感じた。一方で「なるほど、北京ダックはこういう料理だったか。ならばバーミヤンとも大して変わらないな」と私なりに悟りを開いたのである。
バーミヤンの北京ダックは6枚入りで989円だから、1万6800円で12~13食分が取れる全聚徳の北京ダックとはざっくり10倍以上の価格差がある計算だ。……が、味も10倍違うかと言われた答えはNO。せいぜい75点と100点くらいの違いしか感じなかった。
・肉料理と見せかけて
理由は非常にシンプルで、北京ダックは肉料理と見せかけて「パオピン(包み皮)とタレ」のインパクトが非常に大きい料理だったから。特に口に入れた瞬間は「パオピンとタレの味が9割」と言っても過言ではない。
肉を感じるのはだいぶ後になってからで、どちらかと言えば “ボリューム要員” であった。暴論を承知で申し上げると「パオピンとタレと肉」さえ揃っていれば、北京ダックはそれだけで70点くらいの料理になってしまうのではなかろうか?
もちろん「どっちがウマかった?」と聞かれれば迷わず「全聚徳」と答えるし、また食べたいのも全聚徳の北京ダックである。……が、コスパを軸に考えた場合「バーミヤンでも十分ウマい」というのが、北京ダックに対する私なりの結論だ。
・そういう料理なのである
当然、北京ダックをしょっちゅう召し上がっているセレブからすれば「は? こいつ何言ってんの?」と感じるだろうが、人生で数える程度しか北京ダックを食べない私のようなド庶民は、おそらく同じような結論に至るのではなかろうか? そう、北京ダックはダックよりも「皮とタレが主役の料理だから」である。
ただし、だからと言って「じゃあバーミヤンの北京ダックだけ食べてればいいのね」とは思って欲しくない。大切なのは自分が体験して己の血肉として行くこと──。全聚徳で北京ダックを食えとは言わないが、1度はちゃんとした北京ダックを召し上がることをオススメしたい。
なお「車海老の香味揚げ」や「鮮魚の姿蒸し」に関しては「やっぱり高い店のは俄然ウマいな」と感じたことも記述しておく。逆説的にはなるが「どれだけ値段が張る店でも北京ダックは味の差を出しにくい料理」と言えるハズだ。
和才記者も言っていたが、ハチャメチャな飲み会と見せかけつつも、実は「勉強会」の側面が強いロケットニュース24の忘年会。「北京ダックはそこまで変わらない」という境地にすら辿り着く誠に有意義な会であった。