さらば、地球よ。
現地時間の16日未明、NASAの月探索ミッション「アルテミス」の第一弾である大型のSLSロケットがフロリダのケネディ宇宙センターから宇宙へと旅立ちました。無人探査機のカプセル型宇宙船「オリオン」には16台のカメラが搭載されており、さっそく地球に別れを告げる切ない写真が届きました。
オリオンは今後約25日間かけて、月の向こう約6万4000キロメートルの地点を飛行し、地球に帰還します。打ち上げから数時間後にオリオンが撮影したのは、徐々に離れていく青き地球の姿でした。漆黒の宇宙できらめく故郷の星はあまりにも美しく、切ない気持ちにさせられるほどです。
We are going.
For the first time, the @NASA_SLS rocket and @NASA_Orion fly together. #Artemis I begins a new chapter in human lunar exploration. pic.twitter.com/vmC64Qgft9
— NASA (@NASA) November 16, 2022
NASAの大型ロケットであるSLS(スペース・ローンチ・システム)は現地時間の11月16日午前1時47分にフロリダ州のケネディ宇宙センターから飛び立ちました。それから約1時間後、「オリオン」はロケットの上段からの分離に成功し、月への単独飛行を開始。推進エンジンの燃焼で無事に月遷移軌道(月へ向かう軌道)に乗り、時速3万6,370キロメートル以上のスピードまで加速しました。
その後、オリオンは推進エンジンから切り離され、月へと航行中。NASAによるとオリオンは月の引力を利用し、月の向こう側6万4000キロメートルまで進む「遠距離逆行軌道」に乗り、ループ状に飛行するそうです。
Orion has separated from the Interim Cryogenic Propulsion Stage. We’re on our way to the Moon. Go #Artemis! pic.twitter.com/MJuAiECW1H
— Orion Spacecraft (@NASA_Orion) November 16, 2022
オリオンには月と地球の画像を撮影するため、16台ものカメラが搭載されています。すでにオリオンからは撮影された画像が届いており、それがちょっぴり切ない旅立ちの一コマ。故郷の星を振り返ったときの光景がカメラに収められています。これは、地球から約9万3,340キロ離れたところで撮影されたものです。
「月への帰還」の第一弾
オリオン打ち上げは、NASAが「月への帰還」を目指すアルテミス計画の第一弾。今回は無人宇宙船が月と地球を往復しますが、2025年までにはアポロ11号以来となる宇宙飛行士の月面着陸を達成するのが目標です。オリオンは無人ですが、飛行中の加速度や振動のデータを収集するため、ムーニキン・カンポス船長という愛称のマネキンが搭乗しています。ヘルガとゾハルという名のダミー人形も同乗しており、特に女性への放射線リスクを評価することになります。
While #Artemis I is uncrewed, a manikin named “Commander Moonikin Campos” is among the test devices flying aboard @NASA_Orion. The name honors NASA engineer Arturo Campos, who helped bring the Apollo 13 crew safely home to Earth. https://t.co/B5x3fSQQ74pic.twitter.com/2gs2eC7pWi
— NASA (@NASA) November 16, 2022
オリオンの地球帰還は12月11日。大気圏に再突入して太平洋に着水する予定です。オリオンがミッションを遂行し、無事に帰還するまで見守りたいと思います。