在タイ日本国大使館は9月16日、SNSやインターネット掲示板を介した保証金詐欺などに関して注意喚起を行いました。最近、タイでネット詐欺の被害が報告されているという内容です。
確認されている融資保証金詐欺のケースでは、FacebookやLINEなどのSNSで、タイ国内に実在する日系の金融機関を名乗る人物から連絡が来ます。個人向け融資を持ちかけるのですが、低金利など条件がとてもよいのが特徴です。そして、融資を行うために、融資保証金として数千バーツ(1000バーツは約4000円)を要求します。この時点で詐欺と気付いて支払いを拒否すると、ネット詐欺師は契約不履行で訴えると脅迫してくるそうです。
ほかのパターンとしては、タイ在住の日本人向けの掲示板で、好条件のゴルフ会員権やタイランドエリート会員権、コンドミニアムの賃貸があると書き込み、連絡をしてきた人に詐欺を仕掛けます。契約の前段階で保証金として費用の一部を前払いさせようとするのです。その際、ネット詐欺師が信用を得るために、パスポートの写真を送信してくるのが特徴だそうです。
タイにはリタイア後に移住した日本人のシニア層がたくさんいます。ある程度のお金を持っているので、詐欺の格好のターゲットになります。昔から、タイでは不動産系の投資詐欺が多かったのですが、時代に合わせてネット詐欺も増えてきているようです。
2021年8月には、「インターネットを介した詐欺事件に関する注意喚起」も公開しています。タイ在住の日本人向けに展開されている掲示板で物品の売買が行えるのですが、お金を払っても商品が送られてこない、というネット詐欺の被害が確認されています。また、ビザ取得などの代行名目でお金を振り込ませて、逃走するという詐欺も発生しています。
在タイ日本国大使館領事部および在チェンマイ日本国総領事館が出している「安全の手引き 令和4年版」には、さらに多くのネット詐欺事例が紹介されています。
- 日本からタイに旅行するために、コロナ関連の隔離施設を予約する際、偽サイトに誘導されてお金だけだまし取られるケース
- 友人や知人になりすまして個人情報を聞き出され、SNSアカウントが乗っ取られた後には登録されている友人にウェブマネーなどを送って欲しいとメッセージを送信されてしまうケース
- インターネットで知り合った異性から、結婚をちらつかされ、お金を要求されるケース
- 外国人兵士を名乗る人物から「荷物を送るので預かって欲しい」などと連絡があり、その後、「税関に止められたので関税を立替えて欲しい」とお金を要求されるケース
これらの事例は、それぞれショッピング詐欺や国際ロマンス詐欺など、よくあるパターンのネット詐欺です。しかし、手口がタイに旅行しようとしていたり、住んでいる日本人向けにカスタマイズされており、事例を事前に把握していないと被害に遭ってしまう可能性が高まります。
まずは、これらのネット詐欺が起きている、ということを知ってください。日本語で連絡が来たからと言って、安心できるとは限りません。海外においても日本語でおいしい話が来たら、詐欺の可能性が高いと考えた方がよいでしょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと