子どもがやって怒られるやつ
荷造り紐を全部出してみたいと思った。
子どもがいたずらで紐をズルズル出したりするが、全部出せたケースは少ないのではないだろうか。子どもたちの分も背負って、全部出しておこう。
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荷造り紐のしれーっとした顔
ちょっとした工作とかゴミをまとめる時など、便利によく使うのが荷造り紐である。丈夫で扱いやすい。そして使っても使ってもなくならない。ずっと絶好調、みたいな顔してる。
「テスト勉強全然してないよー」と言って本当にしていない。そして100点を取る。そういう秀才が出すしれーっとした雰囲気である。
その佇まいを見るたびに全部出してみたいという思いが募っていた。
子どもたちよ
特に使い道もないが全部出す。「全部出す」という経験が目的だ。全部出したらまた巻き取って家で大事に使うつもりだ。
紐の長さは180メートル。漠然と長いなとは思うが、どんな長さなのかいまいちピンと来ない。全部出すのにどれくらいかかるんだろう。
何ごとも一生懸命やると高尚な雰囲気が出る。
荷造り紐は小さい子どもが好んでズルズル出しているイメージがある。そして大抵は志半ばで大人に制されたり、途中で飽きて次のいたずらに移っていたりする。
おい、やるぞ。俺はやるからな。俺はお前たちの分まで、荷造り紐を最後まで出すぞ。
そして紐を出し始めてから3分ほど、
荷造り紐、全部出た。
全世界の子どもたち、そしてかつて子どもだった大人たちよ、俺はやったぞ。これは君たち一人一人がかつて出すのを諦めた荷造り紐でもある。
もう大丈夫だ。もう過去を悔やむ必要はない。紐は全て出され、皆の願いは成就した。
大事に使います
きれいに巻き取って帰ろうと思っていたのだが、からまっていたのでワサワサさせたままギュッとリュックに入れて帰った。少しずつほどきながら大事に使います。