犬はいかにして人間の「相棒」となったのか

いつから犬と人間は仲良しなのか。

人類は何千年もの間、犬と共に生活をしてきましたが、イヌ科動物が現代の犬のように人間の「相棒」となった正確な時期は特定されていません

かなり昔から知り合い

犬と人間の歴史は曖昧な部分が多いようです。

そんな中、Science Advancesに掲載された論文は、ベーリンジア全土で発見された古代の犬の化石から、家畜化されたと思われる具体的な時期を示しています。

アリゾナ大学の考古学者で、この研究の筆頭著者であるフランソワ・ラノエ氏は、

「これまでは、家畜化は一度起こり、人間と関わるイヌ科動物(イヌ)とそうでないイヌ科動物(オオカミ)は明確に区別されていたとされてきました…しかし、イヌ科動物と人間の関係は複雑で、研究は現在も続いています。家畜化だけでなく、野生のオオカミの飼い慣らしや共生関係(オオカミが人間の居住地の周辺にうろつくこと)なども関係していると考えられます」

と、米ギズモードへのメールに答えています。

言い換えれば、家畜化は先史時代のさまざまな時期に、さまざまな場所で、さまざまな頻度で起こったということです。この曖昧さは、先史時代の人類がイヌを狩猟のパートナーとして使っていた一方で、他のイヌ科の動物の一部は人間のゴミの山や食べ物に引き寄せられ、ただ近くで生活していただけということを示唆する以前の研究の裏付けにもなります。

古代の犬は何を食べていた?

今回の研究のために、研究チームはアラスカ内陸部の更新世後期および完新世の遺跡から出土したイヌ科動物の化石標本76体 (イヌ、オオカミ犬、オオカミ、コヨーテ)を調査。また、アラスカに生息する現代のオオカミの遺骨も形態学的およびゲノム的分析しました、

その結果、ある特定の河川遺跡に生息する古代のイヌ科動物の一部は、データセット内の他の標本よりもサケを多く食べていたことが判明。

この事実に対して、アラスカ大学フェアバンクス校の考古学者ベン・ポッター氏は

「これは決定的な証拠でしょう。なぜなら犬が野生のサケを狙っているわけではないから。

この発見は、犬とは何かという実存的な疑問を提起しています」

とアリゾナ大学の発表で述べています。

家畜化によって、チワワやグレートデーンのように本来の犬の姿とはまったく異なる品種もたくさん生まれましたが、現代の犬の中にも太古の祖先によく似ている犬もいます。

2020年、別の研究チームが、そり犬には最終氷河期の終わりまで遡っても途切れることのない遺伝的祖先があることを発見しました。太古の野生のイヌ科動物は、サケを定期的に狩ることはなかったため、当時の犬が魚を食べていたという発見は、一部の動物がいつから人間に親しみ始めたかを知るための有用なバロメーターとなるわけです。

「記録には、どんなに昔であっても、犬との関係、このような愛情レベルが再現可能な文化的経験として記録されているというのは実にうれしい…歴史を通じて、こうした関係は常に存在していたと知ることができますからね。記録を見て、何千年も前から仲間がいたとわかるのは本当にうれしいことです」

と、ヒーリー湖に住む部族の1人で、部族の文化保存事務所の考古学者であるエブリン・コームズ氏はアリゾナ州の発表で述べています。

柴犬は200万年前のオオカミが祖先

犬の歴史と人間による家畜化に関するその他の研究では、犬の毛皮の起源から、犬と今日の野生犬との関係まで、あらゆることが明らかになっています。

2021年に発表された研究によると、柴犬などの犬種に見られる黄​​色い毛皮は、なんと200万年前にオオカミから分岐した古代のイヌ科動物から受け継がれたものだといいます。古代の絆の中には途切れないものがある一方で、今日の犬やオーストラリアに生息するディンゴなどとの繋がりはそれほどありません。

これらの発見は、不思議なほど似ているがイヌ科ではないキツネや、東南アジアのヤケイから進化したニワトリなど、かつての人間と動物が行っていた交流にも当てはまるでしょう。化石が示す証拠は、家畜化の詳細を提供していますが、遺伝子解析にもたくさんの情報がつまっています。

食事分析を活用した最近の研究は、家畜化の問題に対する賢いアプローチです。2022年の論文では、研究者らが238頭のロバのゲノムを調査し、野生ロバの家畜化に焦点を当てていることからもその重要性はわかります。

ワンちゃんたち、これからも人間と仲良くしてね。

タイトルとURLをコピーしました