世界中で淡水が激減してるらしい。観測史上「最も暑かった9年間」と一致

激減ふたたびってなったらとどうなっちゃうの?

2014年以降、地球の淡水が激減したまま戻らなくなっていて、長期的な干ばつが影響しているのかもしれないそうですよ。

衛星データが示す淡水激減

米航空宇宙局(NASA)ゴッダード宇宙研究所の科学者をはじめとする国際的な研究チームがSurveys in Geophysicsに発表した研究結果によると、2014年5月から16年3月にかけて急激に減少した地球の淡水レベルが、2023年になっても低いままになっているそうです。

研究者たちは、この急激な変化について、地球の陸地が長期的な干ばつに入ったことが寄与している可能性を示唆しています。

研究チームによると、2015年から2023年にかけて、陸地に貯留されている淡水(湖や川のような地表水+地下にある帯水層の水)の平均量が、2002年から2014年の平均量と比較して1,200立方キロメートル減少していることを、GRACE衛星のデータが示していると述べています。

琵琶湖の水量が27.5立方キロメートルなので、琵琶湖約44個分の淡水が失われたことになります。

研究チームは、ドイツ航空宇宙センター、ドイツ地球科学研究所、そしてNASAが共同で運営するGRACE(Gravity Recovery and Climate Experiment)衛星の観測データから、地球規模で淡水が激減していることを突き止めたといいます。

GRACE衛星は水の量を直接計測するのではなく、地球の重力の変動を月単位で測定することで、地表や帯水層にある水の質量の変化を求めています。現在運営されているGRACE衛星は、2018年に打ち上げられた2代目で、初代GRACE衛星は、2002年3月から2017年10月まで観測を行なったとのこと。

Fresh water storage map
Image: NASA Earth Observatory / Wanmei Liang

上の地図は、GRACE衛星の観測データをもとに、2002年から2023年までに陸地の水量が最小値を記録した年を示しています。地図上では、2015年以降に最小値を記録した年が色分けされています。

赤道から中緯度地域の多くが2015年以降、特にここ数年で最小値を記録しています。拡大すると、日本でも中国・四国、近畿南部あたりは2023年頃に水量が最低値を記録しているようです。

きっかけは最強エルニーニョ現象

2014年から2016年と聞くとピンとくるかもしれませんが、2014年の後半から赤道太平洋の海水温が上昇して、世界平均気温が14年から16年まで3年連続で当時の過去最高を更新、世界中の天候パターンを狂わせて気象災害を引き起こした史上最強レベルのエルニーニョ現象が発生している期間に、地球の淡水は急減しました。

ところが、エルニーニョが終息したあとも、淡水レベルは回復していません。

気温が上昇すると、大気はより多くの水蒸気を保持できるようになります(気温1度上昇で水蒸気の量は7%増加)。干ばつが続いたあとに、その増えた水蒸気が豪雨になって地表に降ると、乾ききって硬くなった土壌は水分を吸収しにくくなるため、流れ去ってしまいます。

都市部や農業地域では、人間の生活に必要な量を満たすために地下水をくみ上げます。長期的な干ばつに見舞われ、降ったと思ったら大雨で土壌に吸収されずに流れ去り、帯水層に水が補充されず、また地下水をくみ上げるという悪循環に陥る可能性があります。

科学者たちは、淡水量が2015年以前のレベルまで回復するのか、このまま低いレベルをキープするのか、それともどこかの時点からまた減り始めるのか、今のところわからないといいます。

研究チームによると、GRACE衛星が観測した最も極端な干ばつ30件のうち13件が2015年以降に集中しているそうです。温暖化の影響で淡水が減っているのではないかと推測していますが、まだ不確実性が残るとのことです。

そして、今回の研究で対象期間になった2015年から23年は、地球が観測史上最も暑かった9年間と重なるそうです。

研究の主執筆者でNASAゴッダード宇宙研究所のMatthew Rodell氏は、このことについて次のようにコメントしています。

「これは偶然の一致ではないと思います。」

Source: Rodell et al. 2024 / Surveys in Geophysics, NASA

Reference: 滋賀県, TIME

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