およそ4億6600万年前、地球に隕石衝突が多発していたとされる頃。地球に飛来したその多くは、もとをたどれば3つの小惑星族に属していたことが、最新調査でわかってきました。
カリン・コロニス・マッサリア
宇宙空間を飛び、地球へ衝突した数千もの隕石。その約70%は、3つの小惑星が元になっているという最新研究。
3つの小惑星族は、カリン、コロニス、マッサリア。それぞれ、580万光年、750万光年、4000万光年前に小惑星帯での衝突によって形成されました。太陽系の歴史のなかでは、比較的最近生まれた星と言っていいでしょう。
ヨーロッパ南天天文台の研究者で、今回の論文の主執筆者でもあるMichaël Marsset氏は、米Gizmodoの取材にこうコメントをくれました。
小惑星帯で最も最近発生した衝突が、われわれの星への隕石破片の多くを占めています。地球に届く破片は、小惑星帯にあるさまざまなものが混ざり合ったものだと思う人もいるでしょうが、実際はそうではありません。3つの小惑星から飛んでくるものが主なのです。
なぜ新しい小惑星ばかり?
先述した通り、3つの小惑星族は太陽系の中では比較的新しいもの。なぜ、地球に衝突する隕石の大部分は新しい小惑星のものなのでしょう。
その理由は、新しく若い星群ほど衝突で発生した小さな破片・岩をたくさん抱えているからです。この小さな岩は互いに衝突するリスクが高く、結果、その衝突から地球方向へと飛んでいくのだといいます。
隕石の元をたどる理由
なぜ、地球に衝突した隕石の「出身地」を調べるのか。その理由は、地球で発見された宇宙岩と小惑星帯で観測される宇宙岩の違いを調査するためだと、Marsset氏は解説します。
今回の調査前、隕石の出身地解明ができていたのは6%ほど。主に月、火星、小惑星ベスタからでした。近年は、主となる小惑星族の組織を望遠鏡で調査。それを衝突と力学の進化のコンピュータシミュレーションと組み合わせることで、6%以外の主な出身地となる星を突き止めることができました。隕石の化学組織の調査が大きな役目を担いました。
地球に落下した隕石は、小さな岩ではありますが、太陽系の謎を紐解くヒントをたくさん含んでいます。
初期原始惑星系円盤の情報が、当時の組織が、ここに保存されているのです。これらの隕石を関連づけ、調査し、詳細を研究していくことで、原始惑星系円盤の温度勾配、本来の組成勾配を再構成できるかもしれません。この研究で、われわれが最終的に求めるのはまさにそれなのです。
Marsset氏はそう語っています。
研究は3つに分かれており、NatureとAstronomy and Astrophysicsに掲載されています。