イタリア軍向けダイバーズウォッチの流れを汲む高級時計ブランドPANERAI(パネライ)。いかにもミリタリーな雰囲気を漂わせた無骨なビッグサイズデザインは、いわゆる「デカ厚」時計ブームの先鞭ともなりました。
しかし、ここ数年のパネライは、カーボンやチタン、BMG-TECH(ジルコニウム、アルミニウム、チタニウム、ニッケルの合金)などの新素材を積極的に取り入れ、さらに再生可能素材での製品作りを掲げるなど、技術面での進化をアピール。以前とはだいぶイメージを変えてきています。デザインもかなり洗練されて、再注目している人が多いようです。
ゼンマイ駆動なのに光る
新作モデル「サブマーシブル エルックス LAB-ID」も、さまざまな新機構を取り入れた意欲作です。
最大の特徴は、自動巻きの機械式時計なのにマイクロ発電機が仕込まれていて、LEDライトを30分点灯させるパワーライト機構を搭載している点です。
機械式時計は巻き上げたゼンマイがほどける力を動力源としていますが、このゼンマイを収納している香箱というパーツを、このモデルでは6つも搭載しています。そのうち4つをLEDのエネルギー源にしているのです。
しかし、小さなムーヴメントのなかに多くの香箱を仕込むのは、設計の難易度が大幅アップします。多くの時計は香箱が1つ。2つ積んでいる時計はツインバレルなどと呼ばれ、ほとんどは駆動時間が長いモデルです。ちなみにこのモデルは最大3日間のパワーリザーブを搭載しています。
マイクロ発電機は8mm×2.3mmの大きさで、これをムーヴメントに組み込むのもかなりたいへんでしょう。香箱からの力は240Hzの高周波電気信号へと変換され、プッシャーを押すとLEDライトが点灯し、暗闇でほのかに光ります。LEDは針やインデックスだけでなく、ベゼルマーカーにも搭載されています。電池の入ったクォーツ時計ならなんてことないかもしれませんが、これを機械式時計で実現しているのは驚異的で、パネライでは特許を取得しています
ビッグだけど洗練されたデザイン
ケース素材はこれまた新特許の、セラミック加工されたチタン合金「Ti-Ceramitech」を採用。スチールより44%軽く、強度も高く、肌にもやさしく、テクスチャーも高級感あっていいこと尽くめ。防水性能は500m。サテン仕上げのデザインはかなりスマートで、ケースサイズは49mmと大きめですが、暑苦しさを感じさせません。
価格は1666万5000円。おいそれと手が届く金額ではありませんが、イノベーティブな製品ゆえ、時計ファンにはかなりアピールするでしょう。製造本数は年間50本で、総数150本限定です。
Source: PANERAI