世界最古の「白ワイン」はなぜ赤くなった?

考古学者チームが、ローマ時代の大霊廟(お墓)から見つけた謎の液体。調査の結果、世界最古のワイン(液状)であることがわかりました。最古のワインは白ワインだということです。が、発見された液体は

なぜ白ワインが赤くなってしまったのでしょう?

成分から白ワインだと判明

謎の液体=最古のワインが発見されはのは2019年のこと。スペイン南西部のカルモナという街にあるお墓で見つかりました。液体に関して発見後から調査・研究が行なわれており、先日、その研究論文がJournal of Archaeological Scienceに公開されました。

研究チームは、液体にポリフェノールが見つかったことからワインだと特定。現在もスペインで生産されるワインに見られる7種のポリフェノールが含まれていました。が、シリンガ酸が検出されなかったことから、このワインは白ワインだったと断定。

なぜ赤くなった?

当時白ワインだったものが、お墓の中で時を重ね熟成し赤ワインになりました。時がたった以外に赤くなった理由はお墓ならでは…。遺灰が混ざったからだって…

ちなみに、最古の白ワインのpHは7.5ほど。この数値はワインにしてはかなり酸度が高いのですが、研究チームはこれを腐敗が著しく進んでいるからだとしています。

どんなワインだった?

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Photo: Cosano et al. 2024, the Journal of Archaeological Science: Reports

発見時は、白ワインなのに赤くなって遺灰もまじって腐敗してしまった最古ワイン…。今飲みたいとは思いませんが、その昔、作られたときはどんなワインだったのでしょう。

ワインを作ったぶどうの品種までは特定できなかったことで、ワインの種類までは断定できませんした。しかし、チームが成分を分析したところ、そのミネラルからスペイン南部にあるアンダルシア地方のヘレスという町で生産されるシェリー酒や、フィノワインによく似ているそうです。

ちなみに、今回発見されたのは世界最古の液状のワインですが、実はこれとても珍しいことだそう。なぜなら、液体は蒸発しており、ワインの成分のみが発見されることが多いからです。

ワインでお墓にいた人の性別も判明

研究調査を行なったスペインのコルドバ大学によれば、ワインが発見されたことから、そのお墓に埋葬されていた人は男性だと判明。古代ローマでは女性はワインを飲むことを許されていなからです。

実際、同エリアで女性のお墓も発見されているものの、そこには謎の液体=ワインはなく、代わりにシルクの生地や香水のボトル、琥珀が埋葬されていたそうです。

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