Googleさん、やらかしちゃいました。
2024年4月下旬に、Googleが誤ってオーストラリアの年金基金UniSuperのGoogle Cloudアカウントを削除してしまったとThe Guardianが報じました。UniSuperが管理している年金の総額は日本円にしておよそ17兆2500億円。UniSuperにお金を預けている62万人が1週間以上も自分の口座にアクセスできない状況が続いたそうです。
バックアップもろとも消えた
実は、このような事態を防ぐためにでしょうか、UniSuperはふだんからクラウド上で2カ所にデータを保存しておいて、万が一どちらかがダウンしても別の場所からデータを復元できるようにしていたそうなんです。ところが、今回はアカウントそのものが削除されてしまったため、せっかく別々に保存しておいたデータが同時に消し飛ぶハメに…。
幸いUniSuperは別のプロバイダ元にもデータを保存していたため、5月2日には復旧を果たし、預金も無事だったそうです。
異例の謝罪
5月8日にThe Guardianが入手した異例の共同声明には、Google Cloud最高責任者のトーマス・クリアン氏、そしてUniSuper最高責任者のピーター・チュン氏が連名で謝罪しています。
この度起きた単独で比類のない事態は、これまで世界中のGoogle Cloudクライアントの誰ひとりにも起こったことのないものでした。
これは、断じて起こるべきことではありませんでした。Google Cloudはこの途絶の引き金となった一連の出来事を把握し、今後このようなことが二度と起こらないよう対策を講じました。
広がる懸念
Googleはこれまで今回のようなミスが発生したことはないと言ってはいるものの、企業の間では「もしも自社のクラウドサービスにも同じようなことが起こったら…?」と懸念する声も。
クラウド上にデータを移行する企業や政府は年々増えてきています。Googleによれば、世界でもっとも規模の大きい企業1000社の6割はGoogle Cloudを使っており、生成AIを扱うユニコーン企業にいたっては実に9割が顧客なのだそうです。
世界中でGoogle CloudをPaaS(Platform as a Service:サービスとしてのプラットフォーム)として利用している企業はおよそ50万社。その中にはフォルクスワーゲンやカナダロイヤル銀行も含まれています。
近年ではアメリカの政府機関や情報機関もデータ管理にクラウドサービスを利用するところが増えてきています。アメリカ国家安全保障局は、Amazonのクラウドサービス上に情報監視データを移行するために1.4兆円の契約を結んだばかり。さらに、アメリカ国防総省はMicrosoft、Google、OracleとAmazonとのクラウドサービスに1.2兆円の契約を結んでいるそうです。
今回のミスについての詳細は明らかにされていません。ただ、いくら世界的な規模を誇るサービスだからといって、こんな致命的なミスが起こらないとはかぎらないんですね…。損害を防ぐためには複数のクラウドに分散してひたすらバックアップ、でしょうか。
Source: The Guardian, The Register, UniSuper