救われる人がいるなら、そして安全なら、悪くないのかな。
コンピュータと脳をつなぐインターフェイスを開発するイーロン・マスク氏のスタートアップ、ニューラリンク(Neuralink)が被験者1号となる患者のインタビューをライブ配信しました。ノーランド・アーボーと名乗る29歳の男性は四肢に麻痺があり、10年近く手足を動かすことができない生活を送ってきました。
四肢麻痺の男性が脳の指令でゲームをプレイ
そんなノーランドさんは1月、ニューラリンク社の脳インプラント施術を受け、今では脳からの指令を使ってチェスやゲーム『Civilization(シヴィライゼーション)』をプレイすることができるようになったのです。彼がゲームをプレイする様子が映ったインタビューは、マスク氏のソーシャルメディア「X」でストリーミング配信されました。
動画の中で、ノーランドさんは「約8年前、私はダイビング中の事故で脊髄の一部を脱臼し、完全な四肢麻痺になりました」と語っています。彼のゲームスキルはニューラルリンクのチップによって、大きく向上したそうです。「私はチェスが大好きなのですが、これも(ニューラリンクの)皆さんのおかげでできるようになったことの1つです」。
インタビューの映像には、デジタルチェス盤が描かれたコンピュータ画面と、盤面を移動するカーソルが映し出されています。ノーランドさんは、脳を使ってカーソルを使えるようになることを、スターウォーズの「フォースの使い方を学ぶ」ことに例えています。
— Neuralink (@neuralink) March 20, 2024
まだテスト段階、実験には批判の声も
ニューラリンク社は1月、初となる脳チップの埋め込みを実施。同社は以前、この手術について「インプラントの安全性と有効性、そしてそれを取り付ける医療処置を試験するためのもの」だと述べていました。
マスク氏は、手術後数週間で患者は回復し、思考でコンピュータのマウスを動かせるようになった、と話しています。
ニューラリンク社は過去にも批判にさらされてきました。人体実験の前段階となる動物実験の一部が批判されたこともあるほか、「これは被験者に対する拷問だ」として動物愛護団体が訴訟を起こしています。