PC+真空管=最強。デジタルでは再現不可能な真空管サウンドを自在に操るfreqtube

freqport FT-1 freqtube」というユニークなニューギアを、短い期間ですがお借りして試すことができました。この音楽ギアは本物の真空管を使ったサウンドをPC内で自在に操ることができるため、ファットな(太い)サウンドを実現できます。

どんなギア?

FT-1には、4つの本物の真空管が内蔵されています。USB-Cで接続し、専用ソフトウェアを起動すると、真空管と2つのフィルターを駆使したサウンドメイクが可能になります。

この方法で、PCでの音楽制作やリスニング(後述)で、アナログ本来のサウンドとレスポンスを手軽に楽しむことができます。

DSC01883
Image: freqtube

なにがすごいの?

よくアナログサウンドの素晴らしさの表現として、「温かい」「ぬくもりがある」「太い」「心地良い」という表現が多用されます。

その反動として「デジタルサウンドは冷たくて面白みがない」みたいな表現も、ややクリシェ的な感じで使われることがあります。

物理的・視覚的に熱を帯びる真空管アンプのサウンドは、「温かい音」の象徴とも言えますが、実際にこうした真空管を通したサウンドをPCのソフトウェア上で使えるのがfreq tube FT-1の凄さです。

Internals_1
Image: freqtube

どんなメリットがある?

音楽リスニングや音楽制作において、実際にPCからデジタルで出力された音に真空管を内蔵したアンプやエフェクターをかけて「真空管サウンド」とする製品が多く販売されています。

しかし、freq tube FT-1は、このようなお化粧するツールとは根本的に異なります。FT-1はUSB接続を通してデジタルサウンドを取り込み、内蔵の真空管でサチュレーション(過大入力で若干の歪みを加えて倍音を強調する効果)して、再度デジタルに変換し、専用ソフトウェアでPCに戻すプロセスを経て、PCにリアルな真空管が組み込まれたような感覚で操作することができます。

この手法のメリットは、再現性の困難なアナログの設定でも、即座にリコール可能な点にあります。設定自体はデジタルであるため、一度セットアップすれば、USBで再接続すれば同じサウンドをいつでも再現できるのが最大のメリットです。

[embedded content]
Video: Freqport / YouTube

なんで真空管が4本なの?

この機器には、内蔵された4本の真空管があります。電源を入れると、2つのE83CC(左側)と2つの12AT7(右側)という型番の真空管が赤く光ります。

これらは双3極管と呼ばれるもので、これまでいろんなメーカーが互換品を出しています。海外ではスロバキア製やロシア製、中国製などもあります。

ネットで探すと安いものは数千円ぐらいからありますが、この機器にはギターのエフェクターで有名なELECTRO-HARMONIXブランドのステレオペアが搭載されているそうです。この品質の高い真空管を使って、自分なりの音作りができてしまうんです。

freqtube-FT1-freqport
Image: freqtube

それで使ってみた!

さっそく愛用している音楽ソフト「STUDIO ONE」で使ってみました。

あらかじめ制作していたブレイクビーツ調のトラックに、プラグインとして挿入しました。すると、ビートが生き生きと飛び跳ね、存在感のあるサウンドに変化しました。

この「STUDIO ONE」は、プロミュージシャンには特に音質が評価されているソフトウェアで、私自身も音圧のある音を作りたい時には必ずこれで音素材を読み込んでミックスやマスタリングしています。

したがって、STUDIO ONEだけでも十分に音が良いのですが、さらに音が一段良くなる感じが痛快そのものです。

しかも、制作を中断してソフトを一旦終了しても、freqtubeをUSB接続するだけで、いつでも元の設定で再現することができます。これは他の生の真空管を採用しているデバイスではできなかったことかもしれません。

PCとfreqtubeをセットで用意しなければならないのは若干面倒ですが、それでもソフトウェア中心で作ったとは思えないダイナミックなサウンドになるので、手間をかける甲斐があります。また、別トラックにfreqtubeを通した音を録音すれば、その後はPCだけで好みの真空管サウンドが永遠に保たれるということです。

スクリーンショット2023-06-2212.30.26
Image: Kazumi Oda

だれにオススメ?

まず、DTMerやトラックメーカー、プロのミュージシャンやエンジニアなど、ハードウェアよりもPC中心の音楽制作者には自信を持ってオススメできます。

特にソフトシンセやビートメーカーなど、バーチャルなアプリケーションで完結するPC1台で最後までいけるクリエイターには、freqtubeと解像度の高いオーディオインターフェースがあるだけで、フィジカルなサウンドを作り出すことができるため、超オススメといえるでしょう。

個人的には、時間があればこれをじっくり検証して、Apple Logic Proなどの空間オーディオでの音楽制作に使ってみたいと思いました!

freqsoft
Image: freqtube

また、現状ではプラグインに対応していないDJソフトで使うのは難しいですが、うまくルーティングを考えればDJソフトに真空管サウンドをかけて、クラブプレイでの音圧アップに使ってみたいと思っています。誰かこれを使っているDJいないかなー? いたら参考にしたい。こちらで購入できます。

ft1
Image: freqtube

Source : freqtube , hayakumo

タイトルとURLをコピーしました