英国シェトランド諸島のロケット打上げ射場予定地から、同地が青銅器時代の火葬墓地だったと示唆する遺物が出土しました。
サクサヴォード・スペースポートは英国最北の有人島、シェトランド諸島のアンスト島に建っています。作業員たちがロケット打上げ射場の基礎工事をしていたときに出てきたのは、青銅器時代の墓地の遺物と思われる品々でした。
どんなものが出土した?
発掘されたのは玉石やピット(発掘現場にある土坑よりも小さい穴のこと)、焼けた骨など。考古学的遺産の専門家集団AOC Archaeology Groupが、現場を査定したところ、まだ発掘作業の初期段階にあるものの、遺物は紀元前2200年~紀元前1800年頃のものと見られています。
AOC ArchaeologyチームのKatie O’Connell氏が
火葬の数と密度は、彼らの発見のあった場所が先史時代に何度も繰り返し使われていた火葬墓地だった可能性が高いと示唆しています。
と語っていたと、BBCは報じています。
「発掘作業は始まったばかりですが、巨石やピットの配置、石英(クォーツ)一式、火葬墓地との間に関連があるかもしれず、これらは合わせて儀式用複合施設の一部を成していたことが示唆される」そうです。
The remains of an Early Bronze Age ritual ceremony may have been discovered during construction on our launch site.
We’re now working with @aocarchaeology to learn the full story about our historic site and Unst’s rich past. pic.twitter.com/xsvbcfcitq
— SaxaVord Spaceport UK (@SaxaVord_Space) July 21, 2023
AOC Archaeology Groupは、ガロウェイにある鉄器時代の湖上集落やモアダン・トップにある円形住居の発掘作業(どちらもスコットランド)など、英国周辺の重要なプロジェクトの数々に取り組んでいます。
スペースポートの今後は?
サクサヴォード・スペースポートは地上局も建設中で、そちらは人工衛星運用を支援するアンテナで構成されるそう。
この地上局ネットワークが衛星運用の支援を提供するので、低地球極軌道や太陽同期軌道へと小型人工衛星を運ぶロケットが打ち上げられることになります。
BBCによると、スペースポートの建築許可が与えられたのは昨年2月。SaxaVordは今年1月にRocket Factory Augsburg AG(ロケットファクトリー・アウクスブルク、RFA)との提携を発表しています。
2023年末に計画されているRFAのロケットの初打ち上げを行なう予定。なお、この発見による影響は建設作業にはなさそうです。
続々と発掘される青銅器時代の品々
青銅器時代のイギリスの遺構や遺物は保存状態がよい(水中で保存されていたものは特に)おかげで、近年は発見が相次いでいます。
マスト・ファームにある青銅器時代の集落の保存状態が非常によかったのは、村が焼け崩れてその残骸が川に落ちて流れた際に、木材や住民の遺物の多くが沈泥(シルト)の下に保存されていたから。
2021年には、グリムズビーにあるゴルフ場の池を整備していた作業員が約4000年前の棺6基を見つけています。
今年の初めには、サマセット州とカンブリア州の青銅器時代の人骨から英国最古のペスト菌が発見されたというニュースもありました。