寝ぐせを直すために洗面所に頭をつっこむのが朝の日課だ。
でも身をかがめて冷水をかぶる姿はなんとなく情けないと思っている。軽めの罰を受けているような気分さえする。
どうせならもっと豪快かつ爽やかに身なりを整えたい。そうとなれば川に行くしかないだろう。川で泳げば濡れて寝ぐせが直るし運動もできて最高じゃないか。
寝癖直しの時間をもっと有意義に
何をどう工夫しても朝起きると寝癖がついている。
本当は寝癖を直すその5分間で二度寝がしたい。にも関わらず、頭を垂れて冷水を浴びることが運命(寝癖)によって半ば強制されるのだ。どうも釈然としない。
そこで登場するのが川である。朝から川に入り、泳ぎ、髪を乾かせばスマートだろう。二度寝はこの際我慢しよう。
洗面所で寝癖を直す5分間がイヤなので、めちゃくちゃ早起きをして川で泳げばいいと言っています。理路は整然としています。海だとベタベタしますからね。
さて、朝イチで出発するなら前日の夜から川へ入れる格好で寝ておけば楽だ。起きたらライフジャケットだけ羽織って外に出ればいい。
最寄りの泳げる川までは車で30分くらいかかるので、その分いつもより2時間くらい早く起きる必要があるのがネックである。
※日程の都合上、今回は夕方に撮影をはじめたことをここで白状しておきます。
何気なく選んだ川が綺麗だった
そういうわけで適当に調べて見つけた川に車で向かった。
良いところだとは聞いていたが風景画のような景色が広がっていてびっくりした。車通りや人通りはほぼなくて、川のごうごうという音だけが響いている。
やる気が出てきた。さっそく準備体操をしよう。
思えばこれまで真剣に準備体操をした記憶がない。いまいち意味が信じられないし、なんか変な動きばかりで恥ずかしいし。
しかし、川に入るとなると身の安全を守るために本気でやらざるを得ないのだ。気合を入れてグッと足の腱をのばすとちゃんと気持ちよかった。準備体操に意味はある。
泳いで寝ぐせを直す
この川は深くなっている部分もあるが、基本的にはどこまで行っても底に足がつく。流れも穏やかで安心した。
あとは頭を濡らすだけなのだが、水が冷たくて勇気が出ない。どうすることもできず川の中をしばらく徘徊した。
水温を言葉で言い表わすなら、ぬるめの水風呂くらいだろうか。根性でどうにもなるレベルだ。でも根性がないので10分くらい行ったり来たり。うろうろ。
…埒があかない。ええい、飛び込んでしまえ!
飛び込みが下手すぎて手から波動拳みたいな水しぶきが上がった。俺は↓↘︎→+Pのコマンドを入れずとも波動拳が使えたのだ。イカしている。
そのままクロール!川の流れに逆らってがむしゃらに泳ぐ。
これは……おもしろい!!
そもそも泳ぐという行為が想像以上に楽しい。文字通り浮くような感覚と、手で漕げば漕ぐほどで前に進んでいくのが愉快だ。
わざとらしい表現だが心の底から生きてる感じがする。これは洗面所で頭から水をかぶるのとはまるで違っているぞ。
ぷかぷか浮いて流されるだけでも十分だ。全身の力が心地よく抜けて目の前にはスカッとした青空が広がる。周りには誰もいない。
みなさん、こういう豊かな時間をちゃんと確保できてますか。