NTTコミュニケーションズ、竹中工務店、清水建設の3社は7月11日、建築現場のDX実現に向けて協業を開始すると発表した。工程管理、リソース手配、作業指示などに必要な施工管理情報を、工程表の計画から作業日報に至るまでデジタル化し、これを連携させ、施工管理業務全体の生産性向上に取り組むという。NTTコミュニケーションズが外販し、2023年度内のリリースを予定している。
左から、清水建設の山崎明専務、NTTコミュニケーションズの小島克重常務、竹中工務店の丁野成人専務
NTTコミュニケーションズで常務執行役員を務める小島克重氏によると、従来提供されてきたITソリューションの多くは業務特化型で、工程表と作業日報で扱う情報粒度に差異があった。そのため、ソリューション間での実用的な連携が不足し、DXを阻んできたという。
提供:NTTコミュニケーションズ、竹中工務店、清水建設
これを、3社が協業し建築現場の知見やノウハウを提供することで、情報粒度の差異を調整し、施工管理業務のDXを進めて効率的な働き方を実現するという。竹中工務店で専務執行役員を務める丁野成人氏は、効率化によって総労働時間の3割の削減を目指すとした。
提供:NTTコミュニケーションズ、竹中工務店、清水建設
背景には、建設業界で2024年4月から適用される時間外労働の上限規制、また就業人口の減少、高齢化などがある。今後はより少ない時間、より少ない人員で作業をこなす必要があり、建築現場DXによる生産性向上が求められる。
清水建設で専務執行役員を務める山崎明氏は、「工程管理はこれまではアナログな部分が多く、属人的で、個人の経験をもとに作成されていた」と述べる。しかし、工程管理は建築施工管理の根幹であり、すべての現場員、作業員に関係するため、施工管理情報のDXがもたらす影響は大きいという。
将来的には、工程のシュミレーション、工程表の自動生成、建築ロボットとの連携といった先端技術を現場で活用する基盤として発展させていく構想もあるという。小島氏は、建築現場への実装と定着化、工程関連データの蓄積、工程情報とデータの標準化を目指すとして、今後の展望を語った。