SNSの負の側面に弱い日本――「令和5年版情報通信白書」公表 ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2023/6/29~7/5】

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1. SNSの負の側面に弱い日本――「令和5年版情報通信白書」公表

 7月4日、総務省は「令和5年版情報通信白書」を公表した(総務省)。今年の特集テーマは「新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて」で、「通信インフラの高度化に伴うデータ流通の進展の過程を整理し、データの流通・利活用の現状と課題、新たな潮流を分析するとともに、データを活用した多様なサービスの恩恵を誰もが享受できるデータ流通社会の実現に向けた取組等を展望」する内容となっている。その概要は「令和5年版情報通信白書の概要」を参照するとよい。

 このなかで、着目したのは「新時代の求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて」と題する項目にある「SNS等では自分に近い意見が表示されやすいことの認識(国際比較)」と「ファクトチェックの認知度」という調査結果だ。これは総務省が2023年に行った「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」から引用されたものだが、「SNS等では自分の近い意見や考え方が表示されやすい傾向にあることを知っている(「よく知っている」と「どちらかと言えば知っている」の合計)」と回答した割合は、欧米と比較すると極めて低い結果となっている。米国では77.6%、ドイツでは71.1%だったのに対し、日本は37.8%に過ぎない。また、ファクトチェック等の偽・誤情報に関連した取り組みの認知度も他国と比較すると低い。

 SNSなどでは「その特性(例:アテンション・エコノミー、アルゴリズム)により、自分と似た意見にばかり触れてしまうようになる(エコーチェンバー)、自分好みの情報以外が自動的にはじかれてしまう(フィルターバブル)等、『情報の偏り』が生じやすい」(情報通信白書の概要より)ということは、今や知られている特性なのかと思いきや、他国との比較では認識が十分に至っていないというわけだ。これはSNSなどに流れる誤情報とその拡散に弱いということを表しているように思う。また、AIなどによるディープフェイクについても影響を受けてしまいがちということではないだろうか。

 今後のリテラシー向上の課題として認識すべきだろう。

 なお、情報通信白書の全文のPDF版、HTML版、電子書籍版、アプリ版は無償で閲覧が可能だ。

ニュースソース

  • 令和5年「情報通信に関する現状報告」(令和5年版情報通信白書)の公表[総務省

2. 視力に悩む人に朗報――「ViXion01」は画期的なアイウェア

 加齢などにより、目のピント調節機能の変化に悩んでいる人は多いだろう。

 そうした目のピント調節機能を補うアイウェアが「ViXion01(ヴィクシオンゼロワン)」で、現在、クラウドファンディングを実施中だ(AV Watch)。この商品を開発したのは光学製品で知られるHOYAからスピンアウトしたベンチャー企業のViXion社である(コーポレートページ)。

 つまり、ピント調節を「衰えた人間の目の側で調整するのではなく、ViXion01に組み込まれたレンズの側でピントを調整する」というわけだ。したがって、レンズの側がピントの調節を担うので、「目の筋肉で調整する量は減るため、疲れは少なくなることが期待できる」という効果もあるそうだ。まさに、今までにない発想の製品で、今後の技術の進化にも期待が高まる。

 なお、こうした製品はレビュー記事どおりの効果が得られるのか、自分にも合うのかということが気になるところだが、東京都世田谷区にある二子玉川蔦屋家電で6月29日から展示が開始されている。

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3. 混乱をするTwitterと、ついに登場した「Threads」

 FacebookやInstagramを運営するメタは新たなSNS「Threads(スレッズ)」をリリースした(ケータイWatch)。Twitterに類似したSNSといえそうで、メタのサービスのなかでも競合はしなさそうな印象がある。もちろん、Instagramのフォローを取り込めるので、一気に利用が進みそうだ。そのリリースにまつわる動きについては次週まとめる。

 一方で、Twitterは混乱が続いている。7月2日、イーロン・マスク氏は「極端なデータスクレイピング(データ抽出)やシステムの操作に対処するため、1日に読めるツイート数を一時的に制限している」と明らかにした(PC Watch)。同社は「今回の制限の影響範囲については『プラットフォームを使用している人々のごく一部に影響』とし、影響は軽微である認識を示しており、『広告への影響は最小限』」とコメントしている(ケータイWatch)。ただ、Twitterがエラーとなり、閲覧できなくなる事象が続出しているようで、そう感じていないユーザーも多そうだ。

 問題となっているデータスクレイピングとされるトラフィックはバグによる「自己DDoS」ではないかという指摘もある(ITmedia)。本当の原因は明らかではないが、いずれにしても混乱が続いているということなのだ。

 こうしたこともあり、すでに他のSNSへの移行を考える人も増えているなかでのThreadsのリリースであり、これからSNS市場がどう変わっていくのは引き続き注目点となるだろう。

ニュースソース

  • Metaの新アプリ「Threads」が予定前倒しでサービス開始、Android版も[ケータイWatch
  • Twitter、1日に読めるツイート数を制限[PC Watch
  • Twitter、ここ最近の閲覧制限について「影響はごく一部、広告への影響は最小限」とコメント[ケータイWatch
  • Twitter障害はスクレイピングではなく“自己DDoS”が原因?[ITmedia

4. ChatGPTの使い方ノウハウが続々と

 だんだんと、ChatGPTの使い方を提案する記事が増えてきている。

 まず、ChatGPTの有料プランである「ChatGPT Plus」のユーザーはプラグイン機能を使えるが、PC Watchの記事では4つのおすすめプラグインを紹介している(PC Watch)。「Webから記事の内容を『要約・翻訳』できるプラグイン」のLink Reader、「ダイアグラムを作成できるプラグイン」のShow Me、「プロンプト(命令文)を修正して改善するプラグイン」のPrompt Perfect、「『YouTube』の内容を要約するプラグイン」のVideo Insightsだ。また、ダイヤモンドオンラインでは、「Excelのデータ整形」について紹介している(ダイヤモンド・オンライン)。このあたりは多くの人にとって役に立つのではないだろうか。

 ChatGPTは「会社に提案するためのスライド資料を作る」ことから、それを伝えるための方法も教示してくれる(Impress Watch)。こうした仕事分野での共通の悩みを解決するノウハウは今後もいろいろなメディアで取り上げられるのではないだろうか。そして、Business Insiderでは、「ChatGPTに1週間分の夕食のメニューを考えてもらった」という生活に役立つ使い方の記事を掲載している(BUSINESS INSIDER)。今後、レシピサイトの競合となりうるか。

ニュースソース

  • ChatGPT Plusで即導入したいおすすめプラグイン[PC Watch
  • ChatGPTに「Excelのデータ整形」丸投げ!初心者でも今すぐまねできる命令文[ダイヤモンド・オンライン
  • ChatGPTに1週間分の夕食のメニューを考えてもらった[BUSINESS INSIDER
  • ChatGPT超入門(2) 基本的な質問の仕方を知って企画書を作る[Impress Watch

5. 6月もフィッシング報告数が過去最高を更新

 フィッシング対策協議会は2023年6月に寄せられたフィッシング報告件数(海外含む)が前月より3万5925件増加して、14万9714件となったと発表している(フィッシング対策協議会)。「アフターコロナの人々の活動を狙ったと思われる、旅行関連や航空会社などのブランドをかたるフィッシングが発生したり、銀行や電力会社、保険会社で新たなブランドをかたるフィッシングが発生」とコメントしている。また、「送信ドメイン認証無しでは、受信側では正規メールと不正メールを判別できず、迷惑メールフィルターを素通りしやすい傾向がある」とも指摘している。メディアでは社会的に大きな事件にならないと報じられないが、日常的にインターネット上でのリスクが高まっていることを再認識すべきだろう。

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