東京都のほぼ中央に位置する日野市。近年ベットタウンとして宅地化が進む一方、幕末に活躍した新選組の副長である土方歳三の生誕の地としても知られている。
先日、日野市内にある石田寺(せきでんじ)に行く機会があった。石田寺は土方歳三の墓があることで有名なお寺なのだが、そこで私は日野の土方率の高さに驚かされることになる。
日野は、想像以上に土方さんパラダイスだったのだ。
※2008年10月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
日野のお墓はヒジカタだらけ
新宿と八王子を結ぶ京王電鉄新宿線の高幡不動駅から、多摩モノレールで一駅行ったところにある万願寺駅。
その万願寺駅の南部に広がる石田地区は、土方歳三が生まれた地であり、いわば土方歳三の聖地というべきところ。
私はまず、その石田地区にある石田寺へと向かった。冒頭で述べた通り、ここには土方歳三の墓がある。……そう、土方歳三の墓がある……はずなのだが、それがどれだか分からない。
なぜならば、この石田寺の墓地に並ぶ墓石のほとんどが、土方姓であったからだ。
墓地の中をしばらくうろうろして、私はようやく土方歳三のものらしき墓石を見つけることができた。「土方歳三の墓」と書かれた看板が、墓の前に立っていたのだ。
しかし、私が見つけたと思っていたその墓も、後から調べたら実はそれは土方歳三のものではなく、実際の土方歳三の墓はその隣の墓であったということが判明。いや、コレ、誰だって間違えるよ。どれもこれも、土方姓なんだもの。
いやはや、いくら土方歳三の生誕の地であるといえど、墓地がここまで土方姓で埋め尽くされているとは思わなんだ。これほどにまで土方さんで占められた墓地など、きっと他にはないだろう。この土方率の高さは凄い。
寺の中でもヒジカタさん、寺の外でもヒジカタさん
土方歳三の墓(と思い込んでいた見知らぬ土方さんの墓)へお参りを済ませた私はそのまま石田寺を出たのだが、ふと寺の前にあったお宅の表札を見て、これまたたいそう驚かされた。
……土方さんだ。紛うことなき、土方さんだ。
石田寺の墓地は土方姓が圧倒的なシェアを占めていたが、どうやら石田寺周辺の住民も土方さんが多いらしい。
う~ん凄い。この石田寺界隈、探せばまだまだ大勢の土方さんが現れそうだ。一体、どれだけの土方さんがいるのだろう。気になったのならば、調査するしかない。
というワケで、日野市石田のヒジカタ率を調べます
土方さんの数を調査するにはどうすれば良いか。
それは簡単だ。この付近のお宅を一軒一軒回り、その全ての表札をチェックすれば良い。調べた家の数と、土方姓の家の数から、この地域の土方さんの割合、すなわち土方率を算出することができる。
調査範囲は……そうだな。現在地である石田寺から、後で行こうと思っていた土方歳三資料館の辺りまでと定めることにしよう。およそ500m四方と結構広いエリアではあるが、それはアレだ。気合と根性で頑張ろう。
そうして私は、石田地区のお宅を一軒一軒チェックし始めた。そしたら出るわ出るわ。まさに土方オンパレード。
いやぁ、多い。確かに土方さんが多い。あっちを向いても土方さん。こっちを向いても土方さん。そりゃ、墓地が土方さんで埋め尽くされているのも分かる気がする。
中には微妙に漢字が違う土方さんもいた。
土の字の右側に点が付いているのだ。どうやらこれは、土という漢字の異体字(意味や読み方は同じだけど漢字の形が違うもの)らしい。土にわざわざ点を打ってしまうあたり、土方という名へのこだわりが感じられる。
しかしまぁ、点が付いているにしろ付いていないにしろ、この地にはとにかく土方さんという名が多い。
もちろん、普通の苗字の家も土方さん以上にたくさんあるのだが、それらの中でも土方という苗字はよく目立っている。それもそのはず、土方さんの表札を掲げた家は、どれもこれも立派なお宅ばかりなのだ。
このように、土方さんの家は総じてでかい。家を見ただけでその家が土方姓かどうか判断できるほどだ。
おそらくこの周辺、昔は土方一族だけが住む土地だったのではないだろうか。それぞれの土方家が土地と畑を持ち、農家として暮らしていたのだろう。
しかし近年、農業の需要が減ったため農地を宅地として分譲し、そこに土方姓以外の人が住むようになった。そういう流れでこの地が今にあるのだ。きっと。
そして土方歳三資料館に到着
調査を開始すること二時間半。ようやく私は最終目的地である土方歳三資料館へとたどり着いた。
ここは刀とか、本とか、手紙とか、土方歳三にまつわるいろんなものが展示されている個人運営の資料館だそうだ。
この資料館を運営している個人の方も、やはり土方さんだった。開館日は第一日曜日と第三日曜日だけと非常に限定されているらしい。私はそのことを知らずに訪れたため、残念ながら入ることはできなかった。何事も下調べというのは重要だ。
しかしまぁ、それはもはやどうでも良い。大事なのは土方さんだ。土方率だ。さぁ、ここまでの調査結果をまとめてみよう。
対象 | 総数 | 土方さん | 非土方さん | 不明 | 土方率 |
日野市石田 | 226件 | 45件 | 158件 | 23件 | 20~30% |
日本全体 | 約1億2777万人 | 約9000人 | 約1億2776万人 | ― | 約0.007% |
今回、日野市石田で調査した対象は226件(集合住宅、店舗はそれ一つで1件)のうち、土方さんハウス(表札が土方、建物名に土方が含まれるもの)は45件、土方さんでないハウスが158件、残りは表札が確認できなかったものだ。
ただ、表札が確認できなかったものの中には、家がでかすぎて表札が確認できなかった(確認しようとしたら不法侵入になりそうな)家も多々あったので、土方さん宅の傾向を鑑みるに、おそらくその中にも土方さんは紛れていたことだろう。
そして出た結果。日野市石田の土方率は20~30%。日本全体にいる土方さんはだいたい9000人ぐらいらしいので、その土方率は約0.007%となる。つまり、石田寺周辺における土方率は、全国における土方率の実に2857倍ということだ。凄い、凄すぎる。ここぞまさに土方さんのユートピア。土方天国だ。
やっぱり日野市の土方率は高い
もしやと思って始めた調査ではあったが、やはり石田寺周辺の土方率は相当高かった。
後で色々調べてみると、どうやらこの界隈以外でも、日野市は土方さんが多いらしい。いやはや、さすがは土方歳三生誕の地というべきか。土方姓勢力の強い土地である。
ヒジカタ王国。これからは日野をそう呼ばせていただこう。個人的に。