1個14円の超低価格スマートフォン用アタッチメントで簡単に「血圧測定」が可能に

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カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、スマートフォンのカメラを使用して血圧を測定できるデバイス「BPClip」を発表しました。アプリと連携して血圧のモニタリングができるこのアタッチメントは、約80セント(約110円)で製造可能で、将来的には大量生産により1個10セント(約14円)までコストを抑えることができる見通しです。

Ultra-low-cost mechanical smartphone attachment for no-calibration blood pressure measurement | Scientific Reports
https://doi.org/10.1038/s41598-023-34431-1

Super Low-cost Smartphone Attachment Brings Blood Pressure Monitoring to Your Fingertips
https://today.ucsd.edu/story/super-low-cost-smartphone-attachment-brings-blood-pressure-monitoring-to-your-fingertips

BPClipは、以下のようにスマートフォンのカメラ部分に取り付けて使います。


血圧を測る際は、スマートフォンを心臓の高さに保持してから、人さし指をアタッチメント背面のくぼみに押し当てます。


BPClipの特徴のひとつは、非常に低価格である点です。カリフォルニア大学サンディエゴ校の工学教授であるエドワード・ワン氏は「このクリップは低コストなので、定期的にクリニックに通えない人に配ることができます。歯科検診の時に歯ブラシやフロスを配るような感覚で渡せるわけです」と話しています。

BPClipが低コストなのは、スマートフォンのカメラとフラッシュライトを利用することで、電子回路やセンサーなどコストがかかるパーツを不要にしているからです。

仕組みは以下の通り。使用者がクリップの背面に指を押し当てると、スマートフォンのライトが指先を照らし、その光が赤い円としてカメラに映し出されます。クリップの内部にはバネが内蔵されており、使用者はアプリの指示に従って適度な強さで指を押し当てることができます。


その後、アプリが赤い円の大きさからユーザーの力加減を、赤い円の明るさから指先の血液の量を測定し、これをアルゴリズムが収縮期血圧と拡張期血圧に変換することで、血圧が測定できるという仕組みです。


もうひとつの特徴は、校正不要で精度が高いことです。腕に巻くカフを使って血圧を測定する場合、そのカフで試しに血圧を測ってから機器を調整する必要がありますが、BPClipはカフを使わないので校正する必要がありません。

ワン氏は、「私たちのデバイスは、キャリブレーション不要のシステムです。つまり、他の血圧計を触らなくても、私たちのデバイスを使うだけで信頼できる血圧測定値が得られるわけです」と述べました。


研究チームが、カリフォルニア大学サンディエゴ校医療センターのボランティア24人を対象にBPClipのテストを実施したところ、結果は血圧計での測定値と同じでした。

論文の共著者であるアリソン・ムーア氏は、「標準的な血圧計は正しく装着するのが難しいので、このデバイスを使えば高齢者でも容易に血圧を自己測定できる可能性があります」と話しています。

研究チームは、BPClipをGoogle Pixel 4でしか試していませんが、理論的にはどんな機種でも使えるとのこと。今後ワン氏らは、特に高齢者にとってより使いやすい技術になるよう改良したり、異なる肌の色で精度を確かめたりする予定です。

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