Linuxディストリビューション「Debian」をスマートフォン上で実行する「Mobian」

GIGAZINE



LinuxディストリビューションのDebianと、スマートフォン向けのグラフィカルシェルを開発するプロジェクト「Phone Shell(phosh)」を統合し、Pinephoneなどスマートフォンで動作するDebianパッケージを作ることを目的としたプロジェクトが「Mobian」です。

Mobian
https://mobian-project.org/

The road to the Mobian Community Edition (part 1) // Mobian’s Blog
https://blog.mobian-project.org/posts/2021/04/08/road-to-mobian-1/

phoshはスマートフォンなどのタッチパネルベースのモバイル端末用のグラフィカルシェルで、PureOSベースのスマートフォンを開発するPurismの「Librem 5」で採用されています。Mobianはこのphoshを元にDebianディストリビューションを携帯電話上で動作させるものです。Mobianのメリットは「ソフトウェアによるトラッキングがなく、広告なしのプライバシーを尊重するプラットフォームであること」であり、真にオープンなモバイルOSであることがうたわれています。

Mobianの画面はこんな感じ。


Mobianは、2020年5月に64ビット対応のシングルボードコンピューター「PINE64」のコミュニティフォーラムで初めて公開されました。プロジェクトの発起人であるa-wai氏がリーダーとなり、ボランティアの開発者と共にMobianの開発を進めています。

「2000年代初頭からDebianの熱狂的なファンでした」と語るa-wai氏は、PinePhoneを入手した時に、Debianを携帯電話に組み込めないかと考えていたとのこと。Librem 5に搭載されているPureOSもDebianに基づいて開発されていましたが、ベースになっているのは古いバージョンであったため、a-wai氏のイメージした「スマートフォン上で動くDebian」からはほど遠かったとa-wai氏は述べています。

そこで、a-wai氏は「スマートフォン上で本物のDebianを実行する」という目標を果たすべく、Debianをphoshで動作させるための開発をスタート。フリーかつオープンソースのソフトウェア開発者のためのイベント「FOSDEM」に向かう飛行機の中で、実際にPinePhone上でDebianベースのイメージを起動させることに初めて成功したそうです。

その後、FOSDEMでさまざまな開発者と意見交換を行った結果、Mobianのプロジェクトの方向性が定まり、2020年2月にMobianのリポジトリがGitLabに公開されました。

Mobian · GitLab
https://gitlab.com/mobian1

2021年1月には、PINE64のLinuxスマートフォン「PinePhone」にMobianを搭載した「Pine Phone Mobian Community Edition」がリリースされました。PinePhoneは2GBのRAMと16GBのストレージを搭載したモデルが149ドル(約1万6300円)、3GBのRAMと32GBのストレージを搭載したモデルが199ドル(約2万2000円)で購入可能ですが、ソフトウェアのほとんどはまだ開発中なので注意が必要です。

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