「財布がない」ことに気づいたとき、ショックを受けて焦ってしまう人は少なくないでしょう。とくに、クレジットカードとキャッシュカードを同じ財布に入れていた場合、かなり厳しい状況に立たされます。筆者も財布をなくして、思っていた以上に絶望的な気持ちになりました。加えて、身分を証明するほとんどのモノを財布に入れていたため、まさに「お先真っ暗」な状態。私のような悲しい思いをする人が現れないように、この窮状をいかに対処したか紹介します。
財布紛失に気づいた! まずとるべき行動は?
財布がないと気づいてからはじめにとった行動は、財布がありそうな範囲を特定することでした。
筆者の場合、終電を逃して渋谷のネットカフェで一夜を明かそうと、財布からお金を出して料金を支払ったことは明確に覚えていました。短い仮眠をとってネットカフェを後にして、始発の電車に乗り、一本乗り換えて最寄り駅に到着。コンビニで飲み物を購入しようと財布に手を伸ばして、財布の紛失が発覚という流れです。
ネットカフェが先払いだったので、財布がありそうな場所は次の3カ所になります。
・ネットカフェの店内
・電車内
・駅構内や道中
今回のように、利用した店や電車が特定できていれば、店や乗車した鉄道会社の落とし物問い合わせセンターなどに電話しましょう。
JRの場合、電話はほとんどつながりません。1時間に少し間隔をあけて5回ほど電話をかけてみましたが、常に通話中の状態。利用者が多いので、落とし物で悩む同志は多くいるというわけです。電話がつながらなくてイライラしても仕方がないので、「お忘れ物チャット」の利用を検討しましょう。チャット形式で落とし物の情報を入力していくと、数時間後にオペレーターから回答が届きます。
●JR東日本「お忘れ物チャット」は→こちら
見つからない場合は、必ず警察に遺失届を提出
電話で問い合わせても財布が見つからなかったので、近くの交番に駆け込みました。拾得物は最終的に警察へ集約されるので、財布が届いているかもしれません。
財布を紛失したと伝えると、「財布の種類(長財布、二つ折りか)、色、財布の中身、紛失したことに気づいた経緯」を聞かれます。とくに「財布の中身」に関しては、できるだけ正確に伝えましょう。
筆者は、現金1万円、クオカード(1万円分)、健康保険証、マイナンバーカード、キャッシュカード、クレジットカード3枚、名刺など身分を証明するアイテムすべてを1つの財布にまとめていました。最悪です。
すべて説明した後、警察署に財布が届いていないか確認してくれますが、財布は見つかりませんでした。これで「遺失届」を交番に届けたことになり、遺失届の控えを渡されます。遺失届の控えに記載されている「受理番号」は、警察にあらめて財布が届いていないか確認する際に必要なだけでなく、クレジットカードやマイナンバーカードの再発行手続きや、財布の中にあったクレジットや現金が不正利用された際の手続きで必要になる場合があります。必ず、受理番号は控えておきましょう。
●警視庁「遺失届情報サイト」は→こちら
もし、遺失届を提出した後に財布が見つかったら、必ず警察に連絡をして遺失届の取り下げを行ってください。警察に連絡せずに発見した財布を使っていると、窃盗犯と判断されてしまいます。
クレジットカードをすぐに「止めなかった」理由
財布を紛失した場合、もっとも警戒しなければならないのは、財布を見つけた第三者による不正利用。そのため、悪用されやすいカード類に関しては、各カード会社や役所に連絡して、カードの停止・再発行の手続きを行います。
ただ、筆者のように現金・キャッシュカードと同時にクレジットカードを紛失した場だと、再発行したキャッシュカードが手元に届くまでは、現金を引き出せません。また、「楽天ペイ」といったクレジットカードとひも付いた電子マネーは、クレジットカードを止めると使用できなくなります。
筆者は、現金を確保する手段を思い付かなかったため、「楽天ペイ」にひも付いた楽天カードだけは止めず、その他のクレジットカードとキャッシュカードを即座に停止・再発行するように手続きを進めました。期せずして、キャッシュレス生活のはじまりです。
もちろん、財布を拾った人に不正利用されてしまう可能性もあるので、楽天カードのオンライン利用明細の確認はこまめに行い、「楽天ペイ」が使えるお店を探して食材を購入。不便に感じたのは、定期券圏外への移動がほぼできないこと。Suicaのチャージ金額が少額しかしていなかった場合、行動圏は非常に狭くなってしまいます。一方で、想定以上に「楽天ペイ」が使えるお店は多く、さほど日々の生活に支障は出ませんでした。
自分以外のカード利用の痕跡が表れないかハラハラしながらのキャッシュレス生活でしたが、幸いなことに怪しい利用履歴は確認できませんでした。もし、不正利用があるとわかった場合は、即座に使用しているカードのセンターへ問い合わせしましょう。楽天カードの場合、利用された日から61日以上経過してしまうと補償・返金されなくなります。
再発行したキャッシュカードが申請してからちょうど1週間後に届いたので、実際に、ATMで現金を下ろしてから楽天カードの停止・再発行手続きを行い、キャッシュレス生活は終了しました。
新しいクレジットカードが届いたら、公共料金やサブスクリプションの支払いを新しいカードの番号に変更します。カードが届くまでの間に引き落としが発生する場合、各社から請求書が郵送されてくるので各書類に応じて支払いを進めます。
ほかに、マイナンバーカードの停止・再発行は、自分が属す自治体の市・区役所に電話して手続きを行います。再発行には、身分証明書を求められました。財布に身分を証明するすべてが入っていた旨を説明すると、本人にしかわからない情報の照応を行い、手続きを進めます。ただ、マイナンバーカードの再発行には、非常に時間がかかります。申請から4カ月ほどかかるとのことで、現状まだ新しいマイナンバーカードは受け取れていません。
筆者は社会保険に加入していたので、会社の事務に事情を説明して健康保険証の再発行手続きを進めました。こちらは1週間ほどで新しい保険証が届きました。
最悪のパターンを想定した行動を
筆者は時間差でクレジットカードの停止・再発行を行って当座の資金を捻出しましたが、不正利用された際に全額返金される補償もありませんので、家族や友人から当座をしのぐためにお金を借りるのが間違いなくベストな選択です。1万ほど貸してもらえれば、再発行したキャッシュカードが届くまで問題なく生活できるでしょう。
カードローンを利用して少額借入をするというのも1つの手段ですが、たいていは審査のタイミングで身分証が必要になります。筆者のように、貴重品を1つの財布に集約していた場合、ローン審査の手続きを進められない可能性が高いです。
今回の財布紛失で、クレジットカードとキャッシュカードはわけて管理することを心に誓いました。この2種類のカードを同時に管理している人は、今すぐにやめるべきです。
いずれかのカードがあれば、現金もしくはクレジットで支払いが可能です。クレジットが使えないお店しか周囲にない場合を除いて、当座の生活を憂うことなく、ノータイムで紛失したカードの停止・再発行を進められます。
警視庁の遺失物取扱状況によると、財布類の遺失届点数は325,983点、また財布類の遺失者返還は213,264件だそう。つまり、約65%の割合で財布が戻るようですが、紛失から1カ月近くたった今でも私の財布は戻ってきていません。
また、チューリッヒ大学が行った実験で、世界各都市で1万7千個の財布を落として、どの程度持ち主のもとへ戻ってくるかを計測した結果、1万円近く入った財布は72%の人々が持ち主に届けようと連絡をしたそうです。ただ、私の財布は戻ってきませんでした。
財布を落としてしまったら、「すぐ戻ってくるかも」と甘く考えるのはやめて、最悪の事態を想定した対応をとりましょう。
※サムネイル画像(Image:HJBC / Shutterstock.com)