日本橋から家に帰ろうとGoogleマップを調べてみると、二通り行き方があると。片方は、すぐに地下鉄に入り……みたいな行き方。もう片方は、けっこう歩いて、神田駅からJRに乗り込むみたいな。そんな時、どうするか。
私は絶対に歩く派だ。
まず運動になる。続いて、電車賃も浮く。最後に、たとえ時間がかかろうとも、遠回りしようと、「動いてないと落ち着かない性格」だからだ。しかし今回、もうひとつ良いことがあった。何があったのかというと……
神田駅に向かう途中、面白そうな店を発見したのだ。その名も『日本橋ふくしま館』。そう、さっきまで山形の物産展にいたのに、今度は福島の物産館! これぞ徒歩の醍醐味!! んで、中に入ると……
すさまじい量の蕎麦が売られている! まさかの出来事に、私、大大大大大コーフン! カゴの中は蕎麦だらけ!! で、今回取り上げるのが……
失礼ながら、いちばん無難であろうと思った蕎麦、仲村商店『葛尾のそば』である。なんだか “おとなしい印象” があったのだ。「自然派食品店に売ってる蕎麦」みたいな雰囲気も醸していて……。
ところが!
まず……
なんか……
パスタみたいじゃね? と。すっごい見た目がパスタ感で、持った感触もパスタっぽい。練り込まれたツブツブが蕎麦粉なのかな? う〜む……。
ともあれさっそく……
デカい鍋にタップリのお湯を沸かし……
4分〜5分ゆでて……
完成。
して、そのお味は──
なにこれ! ちょっと衝撃的すぎる……! というのも……マジでパスタなのだ(笑) 本当にパスタなのだ(笑) しかも、そこらへんにあるパスタではなく、本場イタリアから直輸入された系の「うまいパスタ」なのだ!
アルデンテの、味の濃いパスタ。メーカーで言うなら『ディチェコ』のパスタというか。なんなのこれ! ていうか、ていうか、ウマイんですけど!(笑) パスタ! そしてウマイ! なんなのこれ! 問題作すぎ!!
まず「塩気」が最高。絶妙な塩気。食感も最高だし、味的に本当にウマイ。なんなら「つゆ」にはつけず、そのまま最後まで食べちゃいたい……ってくらい、変にウマイ。マジでビビる。こんなお蕎麦食べたことない!
というかこれは……蕎麦なのだろうか? 海外には、そば粉を使った「ガレット」っていう料理もあるしなぁ……。あ、でもあれはフランスか。となるとこれは、「イタリア蕎麦」ではなく「フランス蕎麦」になるのか……?
いやいやいやいや! 福島だ。何を言っているのだ。これは福島は阿武隈高地(あぶくまこうち)の葛尾村(かつらおむら)で栽培した蕎麦粉を石臼挽きで仕上げた蕎麦……。となると葛尾村はフランス……いやいやいや!
いずれにしても、そんなことを小一時間考えてしまうほどの衝撃作品なのである。なにせ「つゆ」が合わないのだ(笑) できることなら「トマトとバジルの冷製そば」で食べたいほど……。
もしも、もしも、もしもイタリアンの料理人が「蕎麦を使った斬新なメニューを作りたいなぁ」とか考えているなら、迷うことなく仲村商店『葛尾のそば』をチェックしていただきたい! イタリアンに革命を起こしてほしい!
これだら蕎麦は奥が深い。これだから蕎麦は面白い。これだから散歩も大切だし、これだから遠回り(迷子ふくむ)も重要なのだ。久々に心が熱くなる蕎麦(?)であった。福島もスゴいなぁ……! もちろん格付けは……!!
執筆:干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24