2022年11月、アメリカの法律事務所であるHagens Bermanが「AppleとAmazonは共謀してiPhoneやiPadの価格を不当につり上げている」として集団訴訟を提起しました。これに対し、AppleとAmazonは訴訟そのものを却下するよう求めていましたが、連邦地方裁判所の判事は両社の申し立てを認めず、訴訟が前進することが報じられました。
Floyd v Amazon Apple 2023-06-08.pdf
(PDFファイル)https://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/legaldocs/egpbydobjvq/Floyd%20v%20Amazon%20Apple%202023-06-08.pdf
Apple, Amazon must face consumer lawsuit over iPhone, iPad prices, US judge rules | Reuters
https://www.reuters.com/legal/apple-amazon-must-face-consumer-lawsuit-over-iphone-ipad-prices-us-judge-2023-06-09/
Judge denies Amazon’s, Apple’s motions to dismiss class action price-fixing suit | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/06/judge-allows-apple-and-amazon-price-fixing-lawsuit-to-move-forward/
かつてAmazonで購入できるApple製品はサードパーティーの再販業者が出品したものばかりでしたが、2018年にAppleとAmazonが交わした契約により、2019年以降はApple公式および認められた再販業者のみがAmazonマーケットプレイスに出品できることとなりました。
Hagens Bermanは、この契約は競争上の脅威となるサードパーティーの再販業者をAmazonマーケットプレイスから排除し、著しく価格競争力を低下させる違法なものだと主張。2022年11月に、AppleとAmazonに対して集団訴訟を提起しました。
「AppleとAmazonは共謀してiPhoneとiPadの値段を不当につり上げている」と集団訴訟で非難される – GIGAZINE
訴状によると、2018年の時点でAmazonマーケットプレイスにいるApple製品のサードパーティー再販業者は約600ほどでしたが、Amazonがサードパーティー再販業者を締め出した結果、2019年半ばには7つまで減少したとのこと。さらに、サードパーティーの再販業者を排除する見返りとして、AppleはAmazonに対してiPhoneやiPadを最大10%オフで卸したとされています。
Hagens Bermanは、AppleとAmazonの契約によって打撃を受けたのは、価格上昇の影響を受けた消費者だと主張しています。「かつて消費者は、Amazonマーケットプレイスで販売されているiPhoneとiPadを20%以上の割引価格で購入できましたが、今ではAppleのプレミアム価格に固定されています」とHagens Bermanは述べています。
この訴訟に対して、AppleとAmazonは「さまざまな法的問題がある」として却下を求める申し立てを行っていました。しかし、シアトル連邦地方裁判所のジョン・クーゲナー判事は却下の申し立てを認めず、訴訟を前進させる判断を下しました。
クーゲナー氏は、AppleとAmazonは製造業者と販売業者という「水平的」ではなく「垂直的」な立場である点や、すべてのサードパーティー再販業者がマーケットプレイスから排除されたわけではない点から、原告の訴える独占禁止法違反がそのまま認められるとは限らないと指摘しています。その上で、「Apple製品の市場」に対する契約の影響は陪審員が審理すべき問題であるとして、訴訟の却下は認めませんでした。
Hagens Bermanのマネージングパートナーを務めるスティーブ・バーマン氏はテクノロジー系メディアのArs Technicaに対し、「これは訴訟の主張のうち1つが完全に無傷であることを意味しており、2つの大手テクノロジー企業はiPadとiPhoneの過剰な価格設定について答えなくてはなりません」とコメントしました。
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