東急不動産株式会社と日本電信電話株式会社（NTT）、および株式会社NTTドコモは6月7日、IOWN（アイオン：Innovative Optical and Wireless Network）構想に関連した技術・サービスなど（「IOWNサービス」と総称）を活用した新たなまちづくりに向けた協業に合意したと発表した。まちづくり分野へのIOWNサービスの導入・活用は世界初だとしている。
IOWN構想は、NTTグループが推進する、光を中心とした革新的技術を活用し、高速大容量通信や膨大な計算リソースなどを提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想。3月にサービス第一弾としてNTT東西がポイントツーポイントの専有型100Gbps回線の通信サービス「APN（All-Photonics Network） IOWN1.0」の提供を開始している。
なお、「Photonics」は「光通信学」のことで、「All-Photonics Network」は「全体で（電気信号でなく）光信号を使用したネットワーク」といった意味。通信ケーブルだけでなく、各種ネットワーク機器も光信号を使用するようになる。
APN IOWN 1.0では「大容量・高品質」および「低遅延」と、「低消費電力」の3つを重要なコンセプトであり目標として打ち出している。まちづくりにおけるIOWNサービスの導入では、大容量・低遅延のネットワークによる従来にないサービスに加え、低消費電力を生かした環境問題の解決も期待される。
今回合意した各社は「環境問題をはじめとする社会課題の解決に向けて、先端的な利便性とサステナブルを両立した、環境にやさしいまちの実現をめざすことに合意した」としており、東急グループが定める「広域渋谷圏」（渋谷駅を中心とした半径2.5km圏内）のまちづくりにおいて、IOWNサービスを先行導入していく。
利用シーンのイメージとして、次の3つが挙げられている。
1.働く場所に縛られない次世代オフィステナント
IOWNサービスを備えたオフィス間では、高画質かつ大画面で互いの会議室を投影しながら、まるで対面しているかのようなオンラインミーティングが可能で、商品の質感を詳細に確認したりもできる。また、AIなどにおいて大容量データを活用しやすくなり、多言語のミーティングにおいても、お互いの発言がリアルタイムで自動翻訳されることなどが期待できる。
2.最新技術の粋を凝らした次世代商業フロア
サービスセンターなどの拠点でIOWNサービスを活用し、商業施設内にさまざまなロボットやデバイスを配置。遠隔地から温かみのある接客を可能にした「自動翻訳付きリモートコンシェルジュ」や「リアル着せ替えカメラ」など、次世代の商業施設体験が実現する。
3.次世代サービスが身近になった暮らし
拠点間を接続して双方を大きなスクリーンに映したスマートジムなど、渋谷での生活を便利で充実したものにする次世代サービスを、身近な施設で気軽に体験できる。
このほか、桜丘エリアに11月竣工予定の大型複合施設「Shibuya Sakura Stage」において、東急不動産所有区画にAPN IOWN1.0を導入予定。オフィスフロアおよびイベントスペースにて、APN IOWN1.0を活用した、高速かつ低遅延な通信環境を提供するという。
Shibuya Sakura Stage外観イメージ
