Snapchat は店舗向けARミラーを発表。スナップ・パートナー・サミットでショッピングツールを強調

DIGIDAY

Snapchat(スナップチャット)の月間アクティブユーザー数はいまや7億5000万人を超えるが、4月19日に開催されたスナップ・パートナー・サミット(Snap Partner Summit)では、アプリ外のオンラインやリアルの両方で、ブランドが同社のテクノロジーをどのように利用できるかが目玉となった。

サミットの壇上にてスナップは、新しい拡張現実企業サービス、つまりブランドがSnapchatの外で有料で使用できるSnapchatテクノロジーに、物理的なARミラーを正式に追加すると発表した。同社は2022年に、Z世代を対象とするナイキ(Nike)の新学期ストアのインスタレーションに没入型Snapchatレンズを使った店内向けミラー技術を提供している。最近では、そのミラーはプロム(高校のダンスパーティ)に特化したキャンペーンでメンズウェアハウス(Men’s Wearhouse)の店内に設置され、フォーマルスーツを買いに来た若い世代を店内のSnapchatミラーで引き寄せている。

小売とeコマースへのARの適用に期待

スナップのARエンタープライズ商品戦略および商品マーケティング責任者であるカロライナ・アーグエルズ氏は、「ARは、ほぼすべての主要産業のビジネスに影響を与える重大な技術的変化を意味すると考えている」と述べた。「我々がもっとも期待している垂直市場のひとつが小売とeコマースへのARの適用であり、当社はショッピング体験を向上させるため、ここ数年間、深く投資してきた」。

スナップは、今年3月23日にARに特化したSaaS事業であるアレス(ARES:Augmented Reality Enterprise Services、拡張現実企業サービス)を発表している。最初のクライアントとして、サングラスブランドのグダー(Goodr)、Z世代向けのeテイラーであるプリンセスポリー(Princess Polly)、ニットウェアのゴビカシミヤ(Gobi Cashmere)などが名を連ねた。アレスのローンチには、Snapchatの3Dビューイング、AR試着、オンラインのサイズ調整ツールをブランドが自社のアプリやウェブサイトに組み込むことができるショッピングスイート(Shopping Suite)の導入などが含まれている。

プリンセスポリーは現在モバイルサイトとPCサイトで、買い物客が正しいサイズを判断するのに役立つSnapchatのARツール、フィットファインダー(Fit Finder)と、ユーザーがカメラの前に立つと服を着用した状態が見られるARバーチャル試着機能を提供している。Snapchatによると、750万人の顧客がこのツールを利用し、eテイラーでは利用者の返品が24%減少した。同じ機能を使ったゴビカシミヤでは、コンバージョン率が4倍になったという。一方、グダーが使用したサングラスのAR試着では、モバイルコンバージョンが67%増加、訪問者ひとり当たりの収益が59%増となった。

4月19日のイベントでは、Snapchatユーザーの3人に2人が日常的に同アプリでARに関与しているとして、Snapchatの特徴的なAR機能がアプリで継続的に使用されていることが強調された。

過去にAR Snapchatキャンペーンを実施したブランドには、ディオール(Dior)グッチ(Gucci)、フェンディ(Fendi)、ナイキ(Nike)、レイバン(Ray-Ban)などがある。4月中旬、アメリカン・イーグル(American Eagle)は、新たな再販プログラムのためにSnapchat ARストアをローンチしている。

ストーリーやスポットライトといった機能のアップデート

スナップ・パートナー・サミットに参加したインフルエンサーも今回のイベントの焦点であり、スナップは特徴的なストーリー(Stories)機能とTikTokスタイルのショート動画ツールであるスポットライト(Spotlight)のアップデートを明らかにしている。

ストーリーに関しては、SnapchatはこのフォーマットでインスタグラムとTikTokの両方と競合しているため、インフルエンサーのコンテンツを奨励するためのさらなる取り組みが発表された。レベニューシェアプログラムの一環として、同社はより多くのクリエイターがストーリーに広告を提供することを認めると述べた。Snapchatは2023年第1四半期に、レベニューシェアプログラムに参加しているクリエイターによるストーリーの視聴率が、米国で前年比2倍になったと報告している。成功例として紹介されたインフルエンサーのアリッサ・マッケイ氏は、Snapchatで130億ビュー以上を獲得したという。

Snapchatは、最低5万人のフォロワー、月間2500万ビュー、月間10ストーリー、その他諸々の基準をクリエイターに要求するといった、クリエイターレベニュープログラムに参加するための新たな基準も明らかにした。同プログラムに参加するクリエイターの数は現在「数千人」にのぼる。

また、米国でTikTokの禁止が検討され、どのアプリがその代わりとなるのか憶測が飛び交うなか、Snapchatはスポットライト(Spotlight)の利用が増加していることをアピールしている。2023年第1四半期時点で、このショート動画機能の月間平均利用者数はいまや3億5000万人に達し、コンテンツの視聴時間は前年同期比で170%増となっている。

[原文:Snapchat unveils in-store AR mirrors and highlights shopping tools at Snap Partner Summit]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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