非営利団体のGlobal Electronics Council(GEC)は、環境に配慮したエコラベル「EPEAT」で電化製品を評価しています。プリンターやスキャナーなど画像処理関連の業界団体である国際画像技術評議会(IITC)が、「HPが販売しているプリンターの電子製品環境評価ツール登録を抹消するべきだ」と主張し、HPプリンターの一部モデルに対してEPEATエコラベルの取消しを要求しました。
Int’l Imaging Technology Council Brings Another Complaint Against HP Inc. over Firmware and Greenwashing – International ITC
https://i-itc.org/intl-imaging-technology-council-brings-another-complaint-against-hp-inc-over-firmware-and-greenwashing/
HP printers should have EPEAT ecolabels revoked, trade group demands | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2023/05/hp-printers-should-have-epeat-ecolabels-revoked-trade-group-demands/
2023年5月22日にIITCは、GECにHPのプリンタやデバイスが、EPEATの基準に「メーカー以外のカートリッジの使用を防止するように設計された製品の登録は認められない」とあるにもかかわらず、HPの公式サイトやドキュメントには「純正のインクカートリッジしか認めない」「プリンタの耐用期間中は、HP純正のインクカートリッジのみを使用する必要があります」「HP以外のチップを搭載したカートリッジは機能しなくなってしまう可能性があります」と記されているとして、苦情を申し入れました。
IITCの主張については、実際にユーザーから「非正規のインクカートリッジが使えなくなった」という報告が相次いでいます。
HPのプリンターがファームウェアアップデートにより非正規インクをブロック、回避方法は? – GIGAZINE
また、HPが提供している有償のサブスクリプションプランに登録していないと、たとえ純正のインクカートリッジを使っていても印刷ができなくなってしまうケースも報告されています。
HPが「純正以外のインクを使うとプリンターが印刷を拒否」するアップデートを敢行しユーザーの怒りが爆発 – GIGAZINE
IITCはGECに対して「EPEATのエコラベルは特定の環境性能基準を満たし、環境的に好ましいとみなされる製品を消費者が迅速かつ簡単に識別できるようにするために存在します。HPはこれまで『カートリッジや容器が再利用やリサイクルを妨げるようには設計されていないとする文書』を示すことで、これまでの苦情を回避してきました」とコメントし、IITCは「HPは明らかに虚偽の陳述に基づいてEPEAT認定を受けています」と主張しました。
IITCがHPを訴えたのは今回が初めてではなく、2019年にも「HP製のファームウェアは純正インクカートリッジをブロックしている」と述べ、GECに苦情を申し入れていました。また、IITCは、HPが適切な措置を取らない場合は訴訟も辞さない構えをみせています。
環境への配慮は現代の消費者にとってますます重要な要素となっており、企業は環境に優しい製品を提供することが求められています。そのため、製品の環境負荷を評価するツールや認証制度の信頼性が高まる一方で、不正行為や適合性の欠如は厳しく批判される傾向にあります。
IT系ニュースサイトのArs Technicaは今回の件についてGECに連絡を取ったそうですが、記事作成時点で返答は得られていないそうです。
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