「上京」をテーマにノスタルジーやセンチメンタルを詰め込みニューレトロの絵柄で漫画化した「上京といろ」とは?

GIGAZINE
2023年05月14日 23時00分
取材



さまざまな思いを抱えて上京した4人の男女が、東京でいろいろなことに出会い、何かを得て何かを失い、そして進んでいくという姿を描く漫画「上京といろ」が、2023年4月からInstagramとTwitterで連載されています。「すずめの戸締まり」などのアニメ映画で知られるコミックス・ウェーブ・フィルムが制作しているのですが、なぜアニメ制作会社がこうしたSNS漫画に取り組んでいるのか、企画プロデューサーらが語るイベントがマチ★アソビ vol.26で開催されました。

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作品のメインビジュアルはこんな感じ。


株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム 「上京といろ」プロデューサー 榎並結舞さん(以下、榎並):
ゴールデンウィーク最終日、雨が降って足元が悪い中集まっていただきありがとうございます。私、コミックス・ウェーブ・フィルムで「上京といろ」の企画プロデューサーを担当させていただきました榎並と申します。今日は「上京といろ」の企画から今に至るまでの話と、マチ★アソビで何をしたかというような話を、ラジオ形式で3人で話せればと思っていますので、よろしくお願いします。

(拍手)

株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム デザイン部 羽毛田大智さん(以下、羽毛田):
よろしくお願いします。僕らは急遽呼ばれたというか、わりと急に登壇するという話になったので、マジでガチガチです。すみません、「上京といろ」の宣伝やデザイン、ポスターとかいろいろ作っておりますデザイナーの羽毛田と申します。本日はよろしくお願いします。

(拍手)

株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム デザイン部 岡本彩生さん(以下、岡本):
今回、ロゴなどを担当した岡本と申します。よろしくお願いします。

(拍手)

登壇した榎並さん、羽毛田さん、岡本さん。


榎並:
岡本は社内でのあだ名が「おもち」なんです。

岡本:
「おもち」です。今、すっごいガチガチに緊張していて。

榎並:
柔らかめの「おもち」になってもらって。今日は普段通り「おもち」と呼ばせてもらいます。私たち3人とも、マチ★アソビには初参戦なんです。

(拍手)

羽毛田:
マチ★アソビ、めちゃくちゃ楽しいですね。話としては、コミックス・ウェーブ・フィルムが毎回出ているというのは聞いているし、都川さんからも話は聞いていたんですけれど、こんなにも皆さんとの距離が近いイベントなのかと。昨日は3人で、CWFブースの売り子をやったりもしたんですけど、熱いファンが多いですね。


榎並:
本当ですね。いろんな方に声をかけてもらいました。「すずめの戸締まり」に出てくる草太さん、イスの姿を徳島に持ってきたんですけれど、みんな喜んで写真を撮ってくださって、来てよかったなと思いました。

草太さん&ダイジン


羽毛田:
写真を撮った人とかいらっしゃいますか?(挙手を見て)ありがとうございます。

榎並:
今日もブースを設けていて草太さんが接客を頑張っているので、よかったらお越しいただければと思います。昨日はうちの会社の代表である川口さんと、東宝の宣伝プロデューサーの林原さん、アニプレックスの高橋祐馬さんが「すずめの戸締まりの“宣伝プロデュース”、お頼み申す」というイベントをufotable CINEMAでやったと思うんですが、あれは倍率がすごくて、長蛇の列で整理券が配布されていました。抽選式だったと聞いてるんですけれど、行った方はいますか?

(ちらほら挙手あり)

榎並:
おめでとうございます。そこでは本当にすごいぶっちゃけトークがされていたので、「言わない、書かない、つぶやかない」ということを約束してやっていたんですが、私たちはたぶん世に全然知られていない企画なので「言ってよい、書いてよい、つぶやいてよい」と、何をしてもいいということでやらせていただければと思っています。

(拍手)

羽毛田:
じゃあ、つぶやきやすいようにどんどん動いたりします?

榎並:
そうですね、皆さんまだきっとフォローが間に合っていないのではないかと思うんですよね。

羽毛田:
一応、配布したチラシの裏にもQRコードがあるんですけれど、ちょっと大きいものも用意していますので、ここからフォローしていただければと思います。


榎並:
InstagramとTwitterでイラスト漫画「上京といろ」というのを、2023年4月下旬から連載しています。ちょっと質問させていただきたいんですけれど、この中で「上京といろ」を知ってくださっている方、ここに来る前から知っていたという方はどれぐらいいらっしゃいますか?

(挙手あり)

羽毛田:
ウソでしょ……!?マジですか?

榎並:
本当ですか?2、3人いたように見えたんですけど……。

羽毛田:
これ、シーンってなるところだと思っていて「知らないだろう」という前提で進めようとしていたので、嬉しい反面、どうしようかなと緊張が増しています。

榎並:
簡単に説明させていただくと、エモくてノスタルジックでレトロで可愛いイラストを描くイラストレーターさんと弊社がタッグを組みまして、SNS配信の4コマを連載しています。……からの?

岡本:
台本通りいかせていただきます。「上京といろ」は社内企画ということであってますか?

榎並:
あってます。僭越ながら、私が企画させていただいたものです。普段、コミックス・ウェーブ・フィルムという会社は新海誠監督の作品を制作をして世に出している会社です。社員にはすごくクリエイティブな人材が多くて、みんな自分の作品を企画したり、世に出したいと考えている人が多いので、代表の川口さんが社員にすごくチャンスをくれるんです。そんな中、私が「上京といろ」という4コマ漫画を企画して、川口さんに打ち合わせの時間を設けてもらって、やりたいと提案をしました。

羽毛田:
これ、すごいですよね。「すずめの戸締まり」でバタバタしている中、僕らも知らない間に企画書を出して動いていたということで。

榎並:
確かに、「すずめの戸締まり」の制作はずっと走っている状況でしたね。一応、「すずめの戸締まり」が落ち着いた段階でしたいなというのは考えていて。


羽毛田:
もともとSNS漫画に興味があって?

榎並:
そうですね。ただ「なぜSNS漫画やりたかったんですか?」と聞かれて「こうだからです」という立派な回答が出るわけではないんですけど。

羽毛田:
立派な回答じゃなくてもいいんじゃないですか。

榎並:
一番は、自分自身がInstagramやTwitterをよく見ていて。ああいう媒体って、もともと漫画を連載するようには作られていないと思うんです。でも、使い方が多様化してきて、SNSでの漫画連載が普通になっているじゃないですか。
そんな中で、私もやってみたいという気持ちがあったのが大前提にありました。

羽毛田:
バイタリティすごいですね……。しかもプロデューサーなので漫画を描いているわけではないというのもまたすごくないですか?

榎並:
自分では「やりたいです」と言うことしかできないから、本当にいろんな人に、この2人にもですけど、多大な協力をしていただきました。

羽毛田:
「上京といろ」は「上京」をテーマにしてるんですよね。

榎並:
なぜ「上京」をテーマにしようとしたかというと、寝る前、デジタルデトックスしないといけないのはわかってるんですけれど、やっぱりベッドの中でついついTwitterとか漫画とか見ちゃうじゃないですか。私は2018年に上京してきた組なんですね。

羽毛田:
出身はどちらでしたっけ。

榎並:
福岡です。それで、深夜にSNSを見ているときに、なんだか故郷をすごくなつかしむ瞬間があったんです。「なんで上京したんだっけ」とか「昔はもっと、東京で起こるすべてのことにキラキラした気持ちでいたのに」とか「もう私、当たり前に東京で生きてるな」っていうような、ほどよいセンチメンタルに襲われることが。そこで、知らない誰かの上京の話、それぞれが上京して、どんなことをして、何を得てどう旅立っていくかみたいな話を見てみたいなという風に思って、「上京」をテーマに漫画を作ろうと思ったんです。

羽毛田:
また、タイトルがいいですよね。「十人十色」みたいな。

榎並:
「上京といろ」ってタイトル、私もすごく気に入っているんです。もちろん、自分がやってる企画だからというのはありますけど、「十人十色」という言葉から、「いろんな人の上京の話なんじゃないかな」って思いません?

羽毛田:
僕も、すんなり入ってきました。

榎並:
タイトルを見たときに、ぱっとどんな話なのかが伝わったらすごくいいなって思っていて。タイトルを決めるときは社内を巻き込んで、いろんな人に「上京といろ」というタイトルだけ伝えて「この言葉を聞いて何をイメージしますか」っていうのを聞いた気がします。

羽毛田:
僕はたぶんその前段階だったかもしれない。「上京した組ですか?」みたいなことを聞かれました。僕は東京出身なので、「上京」という気持ちは薄いかなと。それで外れたんだと思います(笑)

榎並:
おもちも上京組ではないんだよね。

岡本:
そうなんです。

榎並:
タイトルの説明ができたところで、中身の話をしていきたいと思います。「上京といろ」では、男女4人の上京物語を描きました。みなみちゃんという女の子は18歳で千葉の田舎から原宿に憧れて「原宿に住みたいんだ」とやってきて、ファッションデザイナーになるために学校に通っています。


榎並:
28歳のともやはまじめな恋愛こじらせ男子。高知県出身で、結婚間近だったのに彼女の浮気が発覚して、それをきっかけに上京してきました。


榎並:
あつこは、ちょっと私に似ているキャラで、アラサーの韓流アイドルオタク。幼いころからずっとオタクで、早々に上京してアイドルオタクとして自分の人生を楽しんでいます。


羽毛田:
東京はそういう人がもしかしたら多いかもしれないですね。

榎並:
あとは、マチ★アソビでチラシを配っていたら数人から「ビジュアルがいい」と言われた、ピンク髪のしん君。ザ・お調子者の愛すべきおバカで、勉強はできないけど運動神経がよくて、顔がかっこいいから「俳優になれるんじゃない」って言われて、その気になって上京をしました。


羽毛田:
しん君はどこから上京?

榎並:
札幌からです。この4人が、なぜ上京して、上京して何を得て、何を失って、最後に何を選ぶのかという、それをイラスト漫画で、昼休みとか夜寝る前とかに読んでもらえるような漫画にということで4コマの形にしました。

羽毛田:
これ、脚本とか作画みたいなところとかって、どういうプロセスで進んでるんですか?

榎並:
まずは脚本の部分を進めていきました。脚本をお願いするとき、通常はどういうプロセスなのかわからないんですけれど、今回はコンペ形式でお題を出して、それに対してショートストーリーを書いてもらいました。ありがたいことに、3人の方が参加してくれて、その中でニシオカ・ト・ニールさんにお願いすることになりました。コミックス・ウェーブ・フィルムとも少し関わりがある脚本家さんで、普段はドラマの脚本とかを書いている女性の脚本家の方です。

羽毛田:
なるほど。

榎並:
脚本とキャラクターをどうするかについて、4人はすごい人生経験をしているとか特別な生い立ちがあるとかではなく、普通の人だと。上京してどう過ごすかの物語なので、誰もが共感するような人生経験をしてくれる人じゃないと、皆さんの共感を得られないのかなと思ったので。そこは意識して、ニシオカさんとも、本当にシンプルに生きていて何か皆さんと共通なものを持っているようなキャラクターが欲しいなという話はしました。

羽毛田:
いいですね。現実と乖離がないというか、あまり盛りすぎていない感じは、確かにスッと入りやすいです。僕はすごく好きだなと思っています。

榎並:
次は作画の話になってくるんですけれど、「上京」をテーマにしていて、私のセンチメンタルな思いが企画のもとになっているので、やっぱり懐かしさとかセンチメンタル、ノスタルジック……でいて、いろんな世代の方に共感してもらえるような、今流行っているニューレトロみたいな絵柄を描いてくれる人が、私の中では絶対必須だったんですよ。そういう絵柄が描ける人で、実は昔からフォローしているイラストレーターさんがいて、それが火曜びさんだったんです。80年代とか90年代を思わせるような、それでいて今風にも見えるようなかわいいキャラクターを描く人で、ニシオカさんの本が上がってきたときに「絶対火曜びさんにやってほしい」というのがありました。それで、火曜びさんは福岡在住のイラストレーターなので、福岡まで行って何度かお話をしました。

羽毛田:
やっぱりバイタリティすごいですね。思っても、それを行動に移すって結構大変だと思うんです。

榎並:
そうですね。「なぜ火曜びさんにやって欲しいと思っているのか」というプレゼン資料みたいなものを作って、事前に送って、福岡で「やってほしいんです」とお願いをした記憶があります。福岡、日帰りで行ってまいりました。

岡本:
すごい。

羽毛田:
福岡ご出身だから一泊ぐらいしてくるのかなと思いましたけど。

榎並:
これが正しいプロセスなのか私には分からないですけど、いろんな人のアドバイスを受けて、もうがむしゃらにやりました。ちょっと脱線してもいいですか?実はみなみちゃんは企画書段階から大きく変わっていて。

羽毛田:
みなみちゃん、1回僕が企画書を拝見したときは、黒髪の清楚な感じでめっちゃかわいいなという感じでした。「こういう感じの子が上京してきてファッションデザイナー目指すんだ~」って思って、しばらくしてから広告物とか作るというので見たらみなみちゃんいなくなってて、どこいったんだろうかと思ったら「デザイン変わりました」って。結構、ほかのキャラクターも変わったりしているんですけれどね。

榎並:
みなみちゃんはオレンジ髪で大学デビューっぽい感じになってますけど、以前は黒髪で幼い感じのキャラクターでした。ニシオカさんや火曜びさん、あと制作を手伝ってくれた方々と話をしていたら、「田舎から出てきた18歳は、デビューしたいから絶対に髪を染めるんだ」と。

(笑)

榎並:
「そこだけは譲れません、榎並さん」と。

羽毛田:
(榎並さんを見つつ)確かに染めてますね。

榎並:
「ああ、そうか」と思って、何人かにヒアリングしてみたら「自分も染めた」という人が多かったので、それは世論を受けれようと思って、みなみちゃんの髪の色はオレンジ色になりました。今後、みなみちゃんが専門学校に入ると当然、お友達のキャラクターが出てきます。そのキャラは、企画に出てきた当初は金髪で長髪だったということをみなさんに知っていて欲しいです。

羽毛田:
金髪で長髪。

榎並:
その子は東京出身の都会ガールで、みなみちゃんと友達になるんですけれど、そういう外観だったのは「東京だったらこうだろう」という私なりの考えだったんです。でも、そこにもすごくブーイングを受けて。

羽毛田:
先ほどと同じですね。

榎並:
「東京で生まれて東京で育った子は、むしろ金髪にはしないんじゃないか」と。私は金髪にしてますけれど、東京出身じゃないですから。「東京で生まれた人は、いろんなものに頼らず、自分のまま、ありのままの姿で自分の魅力を最大限に引き出すんです」といわれて。「それはウソだな」と思ったんですけど、みなさん、木村拓哉さんと工藤静香さんの2人の娘さんをご存じですか?

羽毛田:
CocomiさんとKōki,さんと。

榎並:
ふとInstagramで見てたら、髪を染めてなかったんです。

岡本:
すごい髪きれいですよね。

榎並:
生まれ持った美を最大限生かすファッションをしていて、それを見て私は「そうなのか」と反省して、みなみちゃんの親友のデザインを変更しました。

羽毛田:
ここまで言うということは、ちょい役ではないということですね。

榎並:
詳しくはまだ言えないですけれど、みなみちゃんと繰り広げる友情物語、ぜひ期待してください。……れいなというんですけど。

羽毛田:
れいなちゃん。名前だけ聞くと、金髪もありそうな気がしますけれど。

榎並:
でしょ?でも違うので、お楽しみに。羽毛田さんとおもちには、「脚本できたので感想くれませんか」みたいな話をしたことがある気がします。どういう感想だったか、聞いてみていいですか?

岡本:
私にとって「上京」はイメージでしかないんですけれど、憧れとか楽しいとか、キラキラしたイメージがある中で、地元でのお別れだったり寂しさだったりっていうセンチメンタルな部分もあるかなと思うので、そういうのを包括した、全部背負ったバックグラウンドがある上で、この作品は4コマで起承転結しっかりしてて、可愛いしクスッと笑えるしというところがすごくいいなって。一視聴者の意見みたいな感じですが、好きです。

榎並:
ありがとうございます

羽毛田:
僕も東京出身なので、「上京」は話として聞くことはあるんですが、憧れでもあるんですよね。もしかしたら、海外とか行ったらあるかもしれないですけれど。「上京といろ」は、すんなり入ってくるリアルな感じがあります。あと、火曜びさんのニューレトロみたいな感じの絵柄も、最近流行りだったりしてるのもありますけど、80年代や90年代ってアニメとかも手描きだったりとかして、人の手で完全に作業するからこその、デジタルとは違う不完全さみたいなものが味だったり、その人の魂みたいな感じがすると僕は勝手に思ってるんですけど、そういう絵柄だからこそより人間味が増すみたいなところがあって、ストーリーと相まっていいんじゃないかと思いました。

榎並:
ありがとうございます。

羽毛田:
めっちゃ褒めましたよ!あとでなんかくださいね(笑)

榎並:
その言葉をいただきたくて質問投げる感じになっちゃってすいません。脚本があって、作画は火曜びさんにしてもらうことが決まって、というところで皆さんお気づきかと思うんですが、ネーム作業は一体誰がしたんだと。当然、私は描けないです。


羽毛田:
プロデューサーですからね。

榎並:
その時に考えたのが、うちの会社には70人ぐらいの社員がいるんですが、そのうち45人ぐらいがクリエイターさん、絵描きさんなんですね。私たちもそうですが、絵描きさんたちは新海監督の作品が動いているときは、その作品に最大の集中して、その作品しかやらないんです。

羽毛田:
全集中で。

榎並:
当然のこととして全集中するんですけど、作品が一回落ち着いて、一段落のタイミングがあるんですよ。私、その一段落のタイミングはもしかしたらいけるんじゃないか?って。

羽毛田:
働かせますね~。落ち着いたところを埋めるんですね。

榎並:
もちろんお休みは取ってもらって、その後に落ち着くタイミングがあるんじゃないかというのを狙って。クリエイターさんに「社内でこういう企画をしようと思っていて、脚本はあって、足りないのはネームなんです。ご興味がある方は協力いただけませんか」と、プレゼンさせてもらいました。そうしたら、9人のクリエイターさんが手を挙げてくれたので、ネームを手分けして描いてもらって。整合性については私がまとめて、火曜びさんに作画してもらうという、こういう工程になりました。

羽毛田:
すごいですね……。もう、社内総動員で。

榎並:
その9名の中には、本当にありとあらゆるセクションのエースがいて。

羽毛田:
ベテランから、「本当にこの人にお願いしていいの?」という方まで。

榎並:
本当にありがたいことで。特に嬉しかったのは、作画の大ベテランの方に、企画のプレゼンをしたとき「社内の人とやるの?」と聞かれて「そうなんです、川口さんのOKがでたのでやりたいと思っています」と言ったら、「絶対にやった方がいいよ」と。うちの会社は全体的に仲が良くて、コミュニケーションも取っているから部署間連携はあるんですけれど、誰がどんな仕事をしているかを詳細に把握するのは結構難しくて。でも、こういう企画を1つやれば、その辺がすごくクリアになるし、「自分たちをどんどん使ってください」と言ってくださったんです。

岡本:
それはうれしいですね。

羽毛田:
そんな感じで、僕らの方にも「あれ作って、これ作って」みたいなのが来たんですね。

岡本:
私はロゴを。

羽毛田:
気付いたらロゴやってたもんね。

岡本:
そうですね、いつの間にかロゴをやってました。

羽毛田:
結構大変じゃなかった?

岡本:
火曜びさんのラフ絵はあったんですけれど、最初のリクエストが、それに合わせて「シンプル、読める、細目のタッチで手書き感、青春感、キラキラした感じ、でもエモさ、スタイリッシュで」みたいな。

羽毛田:
盛りますね。

榎並:
そんなこと言ったかな……

(笑)

岡本:
火曜びさんの絵はポップでニューレトロでキラキラもあるけど……みたいになって大変でした。100回とか200回とか、紙とかペンとかの種類を変えて書いてみて、そこから3、4パターンぐらい提出して、ブラッシュアップしていきました。

榎並:
なんですかね。ちょうどこの時期、晴れたこの時期の部活帰りの匂い、新緑の香りがする、ちょっと何かが始まるような……。

羽毛田:
すいません。完全に「部活帰りの匂い」は汗臭さとなんかギャツビーとか……。

榎並:
女子は違うの、多分。私は新緑の匂い、自転車で田んぼの風景を見ながら帰るときに香るような、シンプルでアオハル感がするロゴにしたかったんです。本当にすごく良いものを作ってもらえたなと思います。ありがとうございます。


羽毛田:
すばらしい。この場を借りて榎並Pに言わせていただきたいのは、スケジュールというのは長く取った方がいいということです。

榎並:
すみません。

羽毛田:
ポスターとかチラシとかクリアファイルとか、あとTシャツも、1週間なかったんです。ほんとに直前に「お願いします」みたいな。「素材これです、いい感じにちゃちゃっという感じで」と。

榎並:
ウソでしょ!?

羽毛田:
ちょっと盛りましたけど(笑)、「あんまり、そんなすぐにはできんぞ」と。しかもまた、火曜びさんのイラストは鮮やかないい色合いなんです。印刷物にはCMYKとRGBがあって、プリンターで出すときはCMYKを使うんですけれど、この色、出ないんですよ。だいたいもっと濁ったりして、いい色が出ないんです。それを多分知らないんですよ。

(笑)

羽毛田:
でも、説明する時間すら惜しいぐらいに時間がないという状況でして。最初はたぶんポスターを作るぐらいの話だったんですけど、作っている姿を見て「やっぱりチラシも欲しい」「クリアファイルもいいな」「マチ★アソビTシャツ作りましょう!」と……待て待て待て待て!

榎並:
言ったかな?(笑)

羽毛田:
逆に「作れてよかったな」と思うぐらいにギリのギリでした。初めてではあるので、今後はちゃんと段取りして、絶対にこれでいけるとは思わないでください。僕が死にます。よろしくお願いします。

榎並:
すみませんでした。この場を借りて、改めてありがとうございます。

羽毛田:
初めてだっていいつつ緊張しながら喋ってましたが、意外と……。

榎並:
そうですね、15分ぐらいで終わっちゃうんじゃないかと心配してたんですけど、今、残り10分だと都川さんからお知らせが。

羽毛田:
今回、自分は登壇しないということでニコニコしながら撮影してくれています。

榎並:
自分のイベントのときは「来なくていいよ」って言ってたんですけどね(笑)

榎並さんが言及している、都川さん登壇のイベントは以下。

「年越し宗谷岬」に郵政カブで挑んだ報告をマチ★アソビ vol.26で聞いてきた – GIGAZINE


岡本:
4月28日から連載がスタートした「上京といろ」なんですけれども、せっかくなのでこの場で今後の目標をプロデューサーから。

榎並:
フォロワー、まだまだ雀の涙的な数ですけれども、これを3万人に!

羽毛田:
おおお……

岡本:
3万人。

榎並:
Twitterも3万人、Instagramも3万人、目指していきたいと思います。それに当然、会社に予算をいただいている企画ですので、川口さん、いただいた予算はしっかりと返します。

羽毛田:
ここからですね。

榎並:
大前提として、火曜びさんの絵が私はすごく好きで、漫画を楽しんでもらいたい、絵を知ってもらいたいというところを頑張っていきたいですし、漫画のみにとどまらず、グッズだとかも。

羽毛田:
いいですね。グッズとかやりたいですね。

榎並:
あと、企業とのタイアップってあるじゃないですか。あれをやりたいんですよ。火曜びさんの漫画で自社の商品を
宣伝したいという方がもしこの場にいたら、ぜひぜひお声掛けください。展示会とかもしたいですね。

羽毛田:
展示会いいですね。でも展示会は1週間ぐらいじゃできないですからね。早めに言ってもらって、そこそこなスケジュールを組まないとダメですから。

榎並:
どれぐらいですか?

羽毛田:
それはまた後ほど裏でやりましょう。

岡本:
SNSで企画とかもやっていったらいいですよね。

羽毛田:
漫画の投稿にコメントで「こういう上京あるあるがあるよ」とかあったらそれもいいネタにできますので。

榎並:
そうですね。「上京あるあるネタ」欲しいですね。

羽毛田:
皆さんのあるあるがまたリアルですよね。

榎並:
リプしていただいて、それを続編とかで出していけたらいいなと思います。勝手にいろいろベラベラとお話をさせていただきましたが、あっという間に時間になりそうでして、羽毛田さん、おもち、最後に1000万人のお客様にメッセージお願いします。

羽毛田:
今日は僕らの登壇するイベントに来て、最後まで話を聞いていただいて本当にありがとうございます。社員一同、みんなで作り上げている作品なので、まだまだ荒削りだと思いますけど、ぜひとも応援していただけると本当に助かります。僕もグッズと展示会、改めて「このスケジュールでやると作れるよ」「このスケジュールだとできないよ」というのをちゃんと伝えようと思います。よろしくお願いいたします。

岡本:
こういう状況で登壇するのは初めてなので何をしゃべればいいのか、それこそ登壇すると聞いたのが2日前とかそういうレベルだったので「ええ~」ってなっていたんですけど、皆さん、優しく聞いてくれるしあったかいなって。それがきっとマチ★アソビのいいところなんだろうなと思いました。こういう機会を設けていただき、ありがとうございました。

榎並:
ちょっといろいろな話をさせていただきましたが、本当にエモくて可愛くて素敵なイラストを火曜びさんに描いていただいていて、ニシオカ・ト・ニールさんという脚本家にも協力いただいて、素敵な作品ができています。皆さんに愛していただけるような作品になれるように頑張ろうと思います。本日はありがとうございました。

SNS連載漫画「上京といろ」はInstagramとTwitterで連載中です。

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