デジタルプラットフォームのプレイ!ポップ!ゴー!(Play! Pop! Go!、以下PPG)は同名のデジタルファッションブランドを抱えており、最初の物理的なコレクションをローンチする。PPGは5月末に、ストリートウェアにインスピレーションを得た、同社の特徴的なグラフィックスタイルの定番アイテム8点を発表する。その後、6月のパリ・ファッション・ウィークでの物理的なポップアップストアに合わせて、アイウェアブランドのボニー クライド(Bonnie Clyde)とグッチヴォールト(Gucci Vault)のアーティスト、ペットライガー氏との初のデジタルファッションコラボレーションを発表する予定である。
PPGの目標とアクティベーション
PPGは既存のものよりも遊び心にあふれた没入型ファッションブランドとゲーム世界の構築を目指している。PPGは1月のローンチ後、現在は物理的なラグジュアリー衣服を導入しているところだ。前述の8点は28点からなるコレクションの一部で、価格は50〜650ドル(約6800〜8.9万円)。その後のドロップは6月と7月に予定されている。PPGのビジネスモデルには、自社ファッションブランド、NFTベースのロイヤルティプログラム、独立したゲームプラットフォームがある。ゲームプラットフォームについては、今年、TwitterとDiscord(ディスコード)での発表を通してストーリーラインを展開するという。
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プロモーションのために、PPGは年間を通じてマーケティングアクティベーションを催す予定である。アクティベーションはPPGプラットフォームのクエストモデルに組み込まれ、ファッション・ウィークやマイアミのアート・バーゼル、フリーズ・ソウルで行われる。クエストは人気のあるWeb3機能であり、昨年、グッチ(Gucci)をはじめとするファッションブランドに利用されている。ユニークなストーリーに加えて、時間をかけてそのストーリーをたどり関与した人は報酬を得られる。グッチはファッションNFTコレクションのグッチグレイル(Gucci Grail)のためにクエストを含むマンガのストーリーラインを開発した。そのアクティベーションにより、3月に発表されたNFTプラットフォームのユガラボ(Yuga Labs)とのグッチのパートナーシップが実現している。
PPGの物理的な衣服コレクションの製品を購入した人は、その製品のデジタルバージョンと、自分の購入履歴を保存できるPPGプラットフォーム上の仮想クローゼットを受け取ることになる。大規模なコレクションを持つ顧客には報酬が多くなるというわけだ。この「フィジタル」衣服の(フィジカルとデジタルの)ペアというモデルは、これまでにフィジタルコレクション2つを発表しているGマネー(gmoney)の 9dccなど、ほかのWeb3ブランドからすでに利用されている。
Web3におけるファッションの重要性
「ラグジュアリーストリートウェアは重要な要素だ。なぜなら、ゲームやデジタル、特にメタバースにおいてファッションは自分のアイデンティティを表現する純粋な方法だから」と語るのは、PPG創業者兼クリエイティブディレクターのアンバー・パーク氏だ。パーク氏にはケイティ・ペリー氏やリル・ナズ・X氏ら音楽アーティストのクリエイティブディレクターとしての幅広い経験があり、Apple Musicやユニバーサル(Universal)の没入型プロジェクトにも取り組んできた。「服を着る方法、購入する方法、モノを収集する方法は我々が表現たいものの延長だ」。
自己表現と創造性は、PPGブランドとPPGゲームプラットフォームの中核となる信条である。「音楽アーティストがコミュニティを結びつける方法と同じように、我々は人々を集めて一緒に楽しんでもらえる方法に注力している。また、その方法をアクセスしやすくしなければならない」とパーク氏。「同時に、ゲーム空間で想像力を解き放ち、アートと創造性を通じて自分の内なる子どもとつながる方法をオーディエンスに提示している」。現時点でのPPGのファンはZ世代が中心だ。パークトピア(Parktopia)ゲームはまだローンチしておらず、PPGには一定のユーザーベースはないが、Twitterでは16万人のフォロワーを抱えている。
PPGは6月にパリで開催されるメンズ・ファッション・ウィーク中に同社のデジタルファッションコラボレーションを宣伝するIRLの教育的なアクティベーションをローンチする予定だ。また、これらのコラボレーションはアート・バーゼル・マイアミとソウル市でのフリーズでも宣伝される。PPGによると、Z世代の創造性にフォーカスした、ディズニーランドのようなオムニバースとしてPPGプラットフォームを披露して、伝統的なファッションコミュニティを開放することを狙っているという。
Web3を従来のファッションコミュニティに導入する方法を模索するPPG
PPGにとってWeb2のオーディエンスを獲得するための鍵は、ファッション業界で有名なアーティストやブランドとの知名度の高いコラボレーションだ。PPGの最初のコラボレーションの相手2者は、独立系アイウェアレーベルのボニー クライドと、グッチとのコラボがあるペットライガー氏である。それぞれのコラボレーションにはPPGゲームプラットフォーム上に独自のミニゲームがそれぞれ用意される。PPGはまた、ファッションディレクターのニコラ・フォルミケッティ氏と、ネイルアーティストのユニステラ(Unistella)との製品コラボレーションも開発中である。ユニステラはKポップバンドのブラックピンクと協働している。
PPG x ボニー クライド(PPG x Bonnie Clyde)は111のユニークなバーチャールアイウェア、PPG x ペットライガー(PPG x Pet Liger)は111点のユニークなシューズアートワークで構成されるという。メガネとシューズの各ペアには独自のデジタルアクセサリーと用途、または追加特典が付いており、将来アンロックできるサプライズも含まれるという。ボニー クライドの創業者、ジョン・ユアン氏は次のように語っている。「これまでデジタルコレクションの作成には関心がなかった。NFTが流行しているときにNFTを制作するように何度か言われたが、PPGと出会うまではこれと思えるものがなかった」。ユアン氏は、パーク氏のクリエイティブディレクションとIRLアクティベーションの経験と並んで、PPGの強力な美学がセールスポイントだったと述べている。
PPGのWeb3とNFT要素は隠されている。バックエンドはブロックチェーン上で実行されており、ユーザーはそれを理解しなくてもゲームに関与できる。PPGプラットフォームのプレイ3 パーク!(Play3 Park!)ロイヤルティプログラムは、顧客に限定製品ドロップやショー、パーティへの早期アクセスを提供する。ナイキ(Nike)のスウッシュ(swoosh)コミュニティに見られるように、ロイヤルティプログラムという表現は、コミュニティのメリットに関してNFTよりも一般的に使われるようになっている。
Web3消費者エンゲージメントプラットフォーム、モヒート(Mojito)のバイスプレジデントで、プラダ(Prada)とジバンシィ(Givanchy)のWeb3ローンチに携わったカミーラ・マクファーランド氏は次のように述べている。「ブランドは1回限りの収益のイベントを(開催したり)、『新しいデジタル製品ライン』を販売したりするのではなく、Web3テクノロジーを使って、新規顧客、特に若いデジタルネイティブのZ世代の消費者を獲得している。ブランドはデジタルファッションを提供することによって新規顧客獲得のコストを下げ、ストーリーテリングとクエストを通じて顧客の全体的な生涯価値を高めている。顧客生涯価値を高めることは何よりも重要だ。PPG、9dcc、ドロップ(Draup)のようなWeb3ネイティブブランドはこのようなタイプのケーススタディの先駆者であり、従来のファッションブランドにとって強力な事例として挙げられる」。
「主流のZ世代オーディエンスに、ソーシャルメディア、ゲーム、ライブストリームショッピングなど彼らが現在やりとりしているすべての方法が実質的にはWeb3であることを示したい」とパーク氏は語っている。PPGのコレクションはすべて同社サイトで法定通貨で購入することができる。
プレイ3 パーク!ゲームは、ポケモン GO(Pokémon Go)やクラブペンギン(Club Penguin)などのゲームをモデルにしている。ソーシャルゲームにフォーカスしてデザインされており、ミニゲームやデジタルクローゼット、仮想ショッピング体験が含まれる。デジタルコラボレーションにより新しいクエストのロックが解除され、新しい賞品が有効化されるだけではなく、ゲーム内での限定アクセスやパワーアップも実現する。PPGの初のデジタルコレクターズアイテムの所有者はロイヤルティプログラムとそれに関連するオンチェーン報酬に早期にアクセスできるが、2023年の第4四半期にローンチ予定のこのゲームは最終的にはすべての人がプレイできるようになるという。
現在、PPGのウェブサイトとDiscordとTwitterのソーシャルアカウントでは、デジタルコレクターズアイテムの「ドリームボックス(Dreamboxes)」の最初のドロップが紹介されている。ドリームボックスは、パワーアップやフィジタル衣服へのアクセスを通じて将来のプレイヤーにメリットをもたらすという。
ゲーミングと「遊び」の要素はブランドのフォーカスになりつつある。トレンド予測会社フューチャー・ラボラトリー(The Future Laboratory)が2023年4月に発表した最新のリテール・フューチャーズ(Retail Futures)レポートは、ラコステ(Lacoste)が12月に自社ウェブサイトでローンチしたバーチャルストアのラコステ・バーチャルフラッグシップを「遊び」の機会として取り上げている。このレポートでは、ラコステの事例は、消費者が季節の商品に関与している方法に基づいて、ブランドが遊び専用の没入型エリアを導入する方法についての好例だと述べられていた。また、ラコステはWeb3コミュニティ内にトークンでアクセスできるルームをVIP顧客向けに追加で提供している。
[原文:Exclusive: Digital fashion brand Play! Pop! Go! launches first physical collection]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)