SNSを見た後は、脳が消耗して衝動買いしやすくなるらしい

GIZMODO

心あたりが多すぎる。

SNSを見ていると脳が消耗し、消耗すればするほど「いいね!」の数に影響されやすくなり、つい必要ない商品の広告をクリックしてしまう…。

最新の研究で、人間の行動がいかにSNSに左右されるかが分かってきました。

筆者は広告学の教授として長年にわたりSNS行動学について研究してきました。

2022年後半、私は同僚のエリック・ヘイリーとともに18歳から65歳のアメリカ人を対象にした3パターンのオンライン調査を実施。さまざまな精神的負荷がかかったとき、人が広告に対しどのような反応を示すかを検証してみました。

3つの実験では、負荷のかけ方によって対象者を3グループに分けています:

1グループ…事前の負荷なし→広告を見る

2グループ…9桁の数字を暗記→広告を見る

3グループ…インスタグラムのフィードを30秒眺める→広告を見る

ちなみに、実験①では宅食サービス、②はアイスクリーム、③はコーヒー豆の広告を表示しています。

広告画像とキャプションはすべてのグループで同じく、「いいね!」の数だけが操作されています。

実験では各グループが負荷を体験してから、「いいね!」が少なめ(数百件)の広告と、何万もついたものとをランダムに閲覧。その後「商品への購買意欲」と「それを検討する際のメンタル負荷」を評価しました。

その結果、インスタグラムを事前に見たグループは、「いいね!」やコメントがついた商品への購買意欲が3グループの中で最も高く広告を評価する際のメンタル負荷も一番大きかったことが分かりました。

研究の中で、「なぜその商品を買いたいと思いましたか?」と質問したところ、グループ①・②の人たちが「アイスが何味で、どんな味か考えて決めました」「広告がシンプルでクリーンで、伝わりやすかったから」といった、ストレートで合理的な理由を挙げる一方、グループ③の参加者は合理的とは言えない回答をする傾向がありました。

中には、”food “や “plate “といった一言で済ませてしまう人も。「画像の中に文字と選択肢が多すぎ」と、脳内処理が難しかったという声も挙がりました。

SNSの「認知的負荷」が問題になる理由

研究者は、このメンタルが疲弊した状態を「認知的過負荷」と呼んでいます。

SNSを見て脳に負担がかかるのは、色々な人のテキスト・画像・動画が目に飛び込んでくるから。

ほんの数秒間で奥さん(もしくは旦那さん)のテキストから同僚の写真有名人の動画、兄弟のミームが一度に表示されることもあるわけで、これらを瞬時にスクロールして頭の中で評価することで人は混乱し、集中力が散漫になるのです。

例えばルームメイトに「ピザを食べに行かない?」と声をかけたとします。普通の状態であれば、相手は価格やおなかの空き具合、タイミング、スケジュールといった条件を総合的に加味して「よし行こう!」となったりしますよね。

では、今度は「犬のフンを踏んだと思ったら病気の親戚と電話で話すことになって、そしたら昔の恋人から連絡が来て、そういえば今日は仕事に遅刻したんだったと落ち込んで…」という状態の相手に、同じように「ピザ行かない?」と誘ったらどうなるでしょう。

相手は、もはや夕食にピザを食べたいかどうかなど考える元気もなければ、論理的になる余裕もなく、正直どうでもよくなって部屋の中をウロウロしながら「うん、行こう」と、つい言っちゃうかもしれません。つまり、そういうこと。

ただし、例外もあります。それは対象の製品やアイデアについて豊富な経験や歴史、知識がある場合

そのケースでは、広告の商品を買うことが本当にお得かどうか考えることができるのです。この点は、コーヒー豆の広告を使った実験でも実証されました。

一般的に、コーヒー好きの人は豆の種類や焙煎具合、原産国など、さまざまな要素を慎重に検討します。なので、この人たちはメンタルが疲労していても、ただ「いいね!」が多いというだけで広告のコーヒーにうっかり釣られることはありませんでした。

人は無意識のうちにSNSの影響を受けてしまう…その可能性を理解するだけで、我々消費者はより慎重に、しっかり考えて自分をコントロールすることができるはず。

少なくとも、「また水筒買っちゃった! いらないのに!」ということはなくなるでしょう。

SNSの影響力はまだまだ未知数

SNSは数あれど、いったいどのプラットフォームが一番脳を消耗させるか、ということはわかっていません。

TikTokやインスタのリール、YouTubeのような環境は特にテキスト・画像・動画・アニメ・サウンドが一度に、しかも同時にいくつも流れてくるわけで、脳への負担が最も大きいと考えられます。

さらに、これらのプラットフォームは企業側も投資対効果が高いため、広告主がたっぷり資金を投じる場所でもあります。皆さん、賢く節度を持って楽しみましょうね。

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