PCやゲーム機でより豊かなプレイ体験を楽しむために、新しいハードウェアに買い換えたとしても、ゲーミングモニターが旧世代のままでは、実は最新世代のゲーム映像体験の一部しか享受できていない可能性がある。
本稿ではまず最初に、2023年時点での最新ゲーミングモニター選びの際にチェックしておきたい重要なスペック項目(技術項目)を解説。その後、そうしたスペック要項を一通り満足した、各社のオススメ製品を紹介していく。最良のゲーム体験環境を獲得するための情報源の1つとして参考になれば幸いだ。
イマドキのゲーミングモニター選びはDP/HDMIのバージョンにも注目!
家庭用ゲーム機やオーディオビジュアル機器ユーザーであれば、HDMI端子とは随分と長く慣れ親しんでいるはず。2000年代初頭から端子形状がずっと変わらないHDMI端子だが、実は2017年に誕生した最新のHDMI 2.1で電気的な特性がまったく新しいものに刷新されている。結論から言えば、端子の形状が同じだけで、中身はまったく別モノだということだ。
HDMI 2.0以前までは伝送クロックを引き上げることで、伝送できる映像解像度やリフレッシュレートを引き上げできてきたが、4Kの高リフレッシュレートだったり、8K解像度までを視野に入れたHDMI 2.1では、「物理的な形状としてのHDMI端子」だけを流用し、各端子の機能割り当てや電気信号特性などのほとんどすべてを刷新してしまった。
その結果、HDMI 2.1の最大伝送帯域は、HDMI 2.0の18Gbpsから48Gbpsへまで拡大されることとなった。今回取り上げているものには「4K解像度の最大リフレッシュレート120Hz以上」や、「WQHD(2,560×1,440ピクセル)で240Hz対応」の製品などがあるが、これらの表示はHDMI 2.1の48Gbps伝送を有効活用していることで実現されている。
家庭用ゲーム機においても、最新世代のPS5やXbox Series X|Sでは4KやWQHDにて最大リフレッシュレート120Hzにまで対応できるようになっているが、そうした性能を引き出すにはHDMI 2.1対応のゲーミングモニターを組み合わせる必要があるということだ。
なお、HDMI 2.1ではDSC(Display Stream Compression)技術と呼ばれる、圧縮率最大3倍のライセンスフリーのリアルタイム非可逆圧縮技術を導入することで実効帯域約128Gbps程度を達成しており、規格上は8K/120Hzまでをサポートすることが可能となっている。
DisplayPort(DP)は、規格上はDP 2.0までが実用化されており、AMDのRadeon RX 7000シリーズが対応を果たしているが、2023年時点で市販されているゲーミングモニター製品で対応しているのは最上位でDP 1.4までとなっている。
規格上の最大伝送帯域は約32Gbpsで、HDMI 2.1よりも帯域性能的には下だが、一般的なゲーミングモニター製品で採用されている「4K/120Hz以上」「WQHD/240Hz」はカバーできている。DP 1.4においても、前出のDSC技術が採用されており、これを活用することで約85Gbpsくらいは伝送できるとされている。
現在も安価で売られている、古めのディスプレイ製品だとDP 1.4未満の製品が少なくない。DP 1.3はDP 1.4と同じ約32GBpsの帯域があり、DP 1.4との違いはDSCへの対応がないくらいなので、4K/120Hzくらいまでは対応できる。よって、価格が猛烈に安ければあえて選ぶのも悪くはないとは思う。しかし、DP 1.3採用製品は現役期間が短く、あっという間にDP 1.4へ移行してしまったので、現在も格安で売られている製品の多くはDP 1.2対応のものなのでやや注意が必要だ。
DP 1.2は約20Gbps程度の帯域で、帯域的に近いHDMI 2.0が直接のライバル(?)的な存在だった。実際、対応解像度/リフレッシュレートの条件はフルHD/240Hz、4K/60Hzくらいで、フルHD/360Hzや4K/120Hzには対応できない。
まとめると、今からゲーミングモニター製品を買うなら、HDMI 2.1対応かDP 1.4対応を選ぶべきということになる。
VRR(Sync)技術への対応も見逃せない点
最近のゲーム、特にリアリティの高いグラフィックスを採用したものでは、グラフィックス負荷(GPU負荷)が高く、家庭用ゲーム機向けのゲームタイトルでは30fps維持や60fps維持をややあきらめ気味のタイトルも散見される状況。各ユーザー環境で性能が異なるPCゲーミングにおいてはいわずもがなだ。そこで、重要視されているのが、フレームが乱高下する映像を美しく表示する技術だ。
ブラウン管時代から長年、「映像信号の伝送」は、60fps(秒間60フィールド)の固定フレームレートで伝送することが当たり前になっていた。これは、(ブラウン管時代にとっては)高速な電気信号のやりとりを、送信側と受信側の都合を伺いながら(ネゴシエーションしながら)行なうことが当時は困難だったこと、そして固定フレームレート伝送で大きな不都合がなかったことなどが原因だ。
ところが、ゲームというメディアにとって、この固定フレームレート概念は、都合が悪い局面が多かった。描画処理が軽いフレームが続けば60fpsを維持、あるいは大きく上回れることもあるが、描画処理が重ければ60fpsを大きく下回ることもある。こうした状況下で、60fps前提の従来の表示システムで映像を表示するとテアリングやスタッターといった、おかしな表示現象に見舞われる。
この事態を改善しようと立ち上がったのがNVIDIAで、可変フレームレートの表示の仕組みを「G-SYNC」として2013年に発表。2014年にはライバルのAMDが反応し、技術的アプローチこそ異なっていたが、G-SYNCと同様の可変フレームレート表示の仕組みである「FreeSync」を発表した。
専用ハードウェアが必要なNVIDIA G-SYNCと比べ、後発のAMD FreeSyncは、従来の映像伝送の枠組みを少しいじるだけで、G-SYNCと同等レベルの表示が可能だったため、発表同年の2014年に早々と映像技術標準化団体のVESAが名前を「Adaptive Sync」に変えてVESA標準規格に採用。その後、このAdaptive Syncをベースにした「Variable Refresh Rate」(VRR)がHDMI 2.1規格にも採用される運びとなった。
この流れを受けてNVIDIAは、しぶしぶ「G-SYNC Compatible」という名称でAdaptive SyncやVRRへ対応。G-SYNCの「ブランド」だけを残すという戦後処理をしたこのタイミングで、AMD対NVIDIAによる「可変フレームレート映像表示技術」の規格戦争が終結した。
まとめると基本的には「AMD FreeSync」、「VESA Adaptive Sync」、「Variable Refresh Rate」(VRR)、「G-SYNC Compatible」は同じものと考えて良い。
傾向としては「HDMIではVRR」、そして「VESA管理下のDisplaytPortではAdaptive Sync」という名称を使うことが多いが、実際のゲーミングモニターのメニュー上の機能名はグチャグチャのカオス状態である(笑)。
なので製品選びの際、「規格戦争真っ最中時代の古い製品」は例外として、ここ近年のゲーミングモニターであれば「AMD FreeSync」、「VESA Adaptive Sync」、「Variable Refresh Rate」(VRR)、「G-SYNC Compatible」のいずれかに対応していれば(例外はあるかもしれないが)、HDMIでもDPでも同レベルの可変フレームレート映像表示技術が利用できるはずである。
今回紹介する製品はもちろん、これらのいずれかに対応している。
そのほか、ゲーミングモニターを選ぶ際に気を付けたいこと、それはケーブル!
前述したように、すでにHDMIもDPも「数十Gbit」の超高速データ伝送を行なう規格へと進化を遂げた。しかし、端子自体は20年近く前と変わらない。ということで、手持ちの古いケーブルを、最新のHDMI 2.1やDP 1.4の接続に使ってしまうユーザーが後を絶たないのだ。
「挿さるんだから使えるよね」という気持ちは分かる。だが、HDMI 2.1の所で解説したように、HDMIはHDMIでも昔のHDMIとはもはや別モノなのだ。
とは言え、端子が同じなのに「つながってもまったく使えない」では、ユーザーが不便に感じてしまうため、HDMI 2.1では、トランスミッターやレシーバの各チップにバージョン違いを自動認識して動作モードを切り替えられる「賢さ」を与えて、過去のHDMI規格との互換性を維持している。
なので、HDMIケーブル接続時、最新のHDMI規格に適応できないことを把握すると、HDMI 2.1モードでの動作をあきらめる。仮に、たまたま調子が良くてHDMI 2.1での接続が確立できたとしても、使っているうちに「映像が点いたり消えたり」、または「ノイズ映像になったり」がランダムに起きたりする。
こうした問題に遭遇しないようゲーミングモニターに標準付属しているケーブルを使うか、HDMI 2.1規格に対応しているHDMIケーブルを購入して使うようにしよう。
どのHDMIケーブルが、どのHDMI規格に対応しているかが分かりやすいように、HDMI規格を統括する団体のHDMIフォーラムおよびHDMI Licensing Administratorは、HDMIケーブルのカテゴリ番号と、それぞれのHDMI規格に適合するロゴマークを規定した。それが下表になる。
HDMIバージョン(伝送速度) | カテゴリ番号 | マーケティングブランド名 |
---|---|---|
HDMI1.2以前(~4.95Gbps) | カテゴリ1 | Standard HDMIケーブル |
HDMI1.3~HDMI1.4(~10.2Gbps) | カテゴリ2 | High Speed HDMIケーブル |
HDMI 2.0(~18Gbps) | カテゴリ2 | Premium High Speed HDMIケーブル |
HDMI 2.1(~48Gbps) | カテゴリ3 | Ultra High Speed HDMIケーブル |
本稿では、あまり深掘りはしないが、HDMI 2.1規格の48Gbps伝送は、イコライザ(IC)チップを搭載しないごく普通のパッシブ型のHDMIケーブルでは、最長が3mくらいが限度だと言われている。これ以上の長さのHDMIケーブルをHDMI 2.1規格で使いたい場合は、イコライザチップ(ICチップ)内蔵のアクティブHDMIケーブルを使った方がよいとされる。
ここではHDMIの話に絞った話題となったが、傾向はDPでも同じだ。
それでは、ここまで解説したHDMI 2.1やDP 1.4に対応するオススメの製品を紹介していく。
スクリーンシールドで全集中!AOC「AG273QXP/11」
AOC「AG273QXP/11」は、映像パネルにWQHDの27型のIPS液晶パネルを採用。画素形状は、整然と赤緑青が縦ストライプ状に並んだスタイルだ。実売価格は5万9,800円前後。
画素応答速度は公称1ms(中間色)で、最大リフレッシュレートは170Hzを謳う。一般的な144Hzよりもさらにスムーズな描画が可能だ。なお、170Hz時は色深度的には8bitとなるが、時間方向の誤差拡散を駆使した疑似10bitでHDR表示にも対応できる。リアル10bitによるHDR駆動は120Hzまでとなる。
バックライトはエッジ型。最大輝度は400cd/平方mで、HDR表示品質はVESAの「DisplayHDR 400」認証を取得している。今回の評価では、HDR映像の表示については、1,300cd/平方mくらいまでの信号を正しく表示できるようにトーンマッピング設計してあることを確認できた。
色空間カバー率は、NTSC114%(CIE1976)、sRGB133%(CIE1931)、DCI-P3 104%(CIE1976)を謳っており、発色は良好だ。白色光のスペクトラムを見る限り、赤にはKSF蛍光体を使っているようだ。
実際のHDR映像を見てみたが、階調表現、色表現に関しては、ゲーム映像はもちろん、実写系の映像においても満足できる視聴体験が得られた。
PS5との接続時は、SDR映像、HDR映像ともに最大リフレッシュレートは120Hzにまで対応できることを確認した。
接続端子についてはHDMI 2.0規格準拠のHDMI端子2系統、DP 1.4規格準拠のDP端子2系統を装備する。解像度が4K未満のWQHDなのでHDMI 2.0でも問題なくプレイでき、そもそもDPが1.4なので、モニターのポテンシャルを最大限生かせる。
また、DP端子をダブル実装するモデルは、このクラスでは珍しいので、本機の隠れたアピールポイントになっている。PC機器をメインにつなげたいユーザーには響く仕様だろう。
なお、最大リフレッシュレート170Hzで表示できるのはDP端子接続時に限られ、HDMI接続時は144Hzまでとなる。また、フレームカウンタ機能を搭載しており、何らかの理由でGPUの上限フレームレートが下がっても、現在出ているリフレッシュレートにすぐに気づけるメリットがある。
内蔵スピーカーはなし。しかし、ヘッドフォン端子は備えている。
画面の角度調整は左右スイベルは±30度、上下チルトは+23度~-5度。ピボット回転にも対応し縦画面表示にも対応する。上下調整範囲は110mm。一番下に押し下げた際には、画面の下辺は設置基準面から約91mmのところに来る。
スクリーンシールドを標準付属させている点も本機のこだわりだ。表示画面に対して、室内照明の影響を低減させたり、覗き込みの防止、画面外の情報遮断に役立つので、ゲームはもちろんだが、普段のPC上の作業効率向上にも役立ちそうである。
4K/HDMI 2.1対応のオールラウンダー!AOC「AG274UXP/11」
AOCの「AG274UXP/11」は、前出のAG273QXP/11のちょうど上位機に当たるモデルになる。映像パネルに4Kの27型IPS液晶を採用する。実売価格は12万8,800円前後。
画素応答速度は公称1ms(中間色)で、最大リフレッシュレートは160Hz。160Hz時も色深度はリアル10bitでのHDR表示が行なえる。
バックライトはエッジ型にもかかわらずエリア駆動に対応するのがユニークでもある。最大輝度は600cd/平方m。HDR表示品質はVESAの「DisplayHDR 600」認証を取得している。さすがは上位機だ。
色空間カバー率は、NTSC 112%(CIE1976)、sRGB 133%(CIE1931)、DCI-P3 102%(CIE1976)。白色光のスペクトラムを見た感じでは、赤にはKSF蛍光体を使っていると見られる。発色特性が優秀なのもうなずける。
以上を踏まえて実際のHDR映像を見てみたが、階調表現、色表現に関して不満はない。HDR映像の階調表現については、750cd/平方mくらいまでの信号を正しく表示できるようなトーンマッピング設計になっていると見受けられた。
エリア駆動については、縦帯状の簡易的なエリア駆動だったが、局所性の強い高輝度表現においては、ちゃんとハイコントラスト表現が行なえていたのはポイントが高い。
画質面で特に気になった点もなく、ゲーム映像はもちろん、実写系の映像においても満足できる視聴体験が得られるだろう。
PS5との接続時、SDR映像、HDR映像ともに120Hzにまで対応できることを確認した。また、VRRや、ALLM(Auto Low Latency Mode)動作においてもちゃんと対応が確認できた。
PS5との接続時、4K/HDRについてはVRRで48Hz~120Hzまで対応できる。WQHD解像度の表示にもVRRが利用でき、筆者が調べたところ、SDR映像、HDR映像ともに48Hz~120Hzに対応できることを確認できた。
また、本製品もフレームカウンタ機能を搭載しており、何らかの理由でGPUの上限フレームレートが下がっても、現在出ているリフレッシュレートにすぐに気づけるメリットがある。
接続端子についてはHDMI 2.1規格準拠のHDMI端子が2系統、DP 1.4規格準拠のDP端子を1系統装備する。また、DP Alt Mode、USB PD 65Wに対応したUSB Type-C 端子も実装。対応するノートPCに接続すれば給電と映像出力の両方が行なえるのは魅力的だ。
なお、最大リフレッシュレート160Hzで表示できるのはDP端子接続時に限られ、HDMI接続時は144Hz、USB Type-C接続時は120Hzまでとなる。
5W+5Wのステレオスピーカーを内蔵するので、カジュアルなゲームプレイにおいてはヘッドフォンなしで楽しめる。
画面の角度調整は左右スイベルは±20度、上下チルトは+23度~-5度。ピボット回転にも対応し縦画面表示にも対応する。上下調整範囲は121mm。一番下に押し下げた際には、画面の下辺は設置基準面から約72mmのところに来る。
AG273QXP/11と同様、本機にも、作業効率と集中力アップに適したスクリーンシールドが標準付属する。4K解像度の表示性能を持つ本機はゲーミングモニターとしてだけでなく、デザインや映像制作などのクリエイター達にも響く製品となっていそうだ。
PS5との相性もよい4K/HDR対応HDMI 2.1対応機!アイ・オーデータ機器「EX-GCU271HXAB」
アイ・オーデータ機器「EX-GCU271HXAB」は、液晶パネルに27型の4K解像度の非光沢AHVA型液晶採用する。実売価格は9万8千円前後。
公称上の最大輝度は350cd/平方mだが、筆者の計測評価では、トーンマッピング処理によって、その輝度性能の範囲内で800cd/平方mくらいまでの階調を再現していることが確認できた。
白色光のスペクトラムは、赤緑青の各ピークの分離感が優秀だ。赤色のスペクトラムにダブルピークが見られ、広色域モニターに使われる蛍光体と同じ傾向のものを採用していると見られる。
この蛍光体は、デザイン用途向けモニターにも採用されることが多く、本機への発色性能へのこだわりが感じられる。今回取り上げた機種には同蛍光体の採用が多く見られる。
HDR表示品質についてはVESAの「DisplayHDR 400」認証を取得済み。実際のHDR映像の表示を実機でチェックしてみたが、最大1,000cd/平方mあたりまでのHDR映像に対しては違和感なしの映像が表示できていた。バックライトはエッジ型で、エリア駆動には対応しないが、HDR映像特有のハイコントラスト感は及第点が与えられると感じた。
最大画素応答速度はAHVA液晶にしては高速な1ms(中間色)。リフレッシュレートは最大160Hz。HDR表示時にも4K/160Hzが利用できる。
PS5との接続時のVRRは、4K/HDRについては48Hz~120Hzまで対応できる。WQHD解像度の表示にもVRRが利用できるが、筆者が調べたところ、48Hz~120Hzに対応できるのはSDR映像のみで、HDR映像の場合は48Hz~60Hzまでであった。
なお、DP端子もVRRに対応。60Hz~160Hzで動作可能だ。
2W+2Wのステレオスピーカーを内蔵しており、カジュアルなゲームプレイであればヘッドフォンなしで楽しむことができる。また、他機種に見られない特徴としてオーディオミキサー「GC Mixer」機能を搭載していることも訴求ポイントとなっている。ゲーム機やゲームソフト側、あるいはボイスチャットソフト側の設定をいじらずとも、本機側でゲームサウンド、ボイスチャット音声の音量バランスを本機単体で調整できるのだ。ボイスチャットをよく使うプレイヤーにとっては魅力的な機能だろう。
電源ユニットは内蔵しているので、ACアダプタはなし。電源ケーブル1本で使えるのは便利だ。
角度調整は左右スイベル±65度。上下チルト+20度~-3度。高さ調整は110mmの範囲で可能。一番下に押し下げた際には、画面の下辺は設置基準面から約55mmのところに来る。なお、ピボット左右回転にも対応しているので縦画面での利用にも対応。
入力端子はHDMI 2.1規格のHDMI端子が2系統、DP 1.4規格のDP端子は1系統となる。HDMI端子については、HDMI 1が160Hz対応、HDMI 2は120Hz対応となるので、PCはHDMI 1へ、120Hzまでの対応となるPS5はHDMI 2へ接続するのがオススメだろう。
USB Type-CはDP端子としても使えるDP Alt Modeに対応しているので、実質的には4系統の映像入力が可能なのも特筆すべき点だ。
本機は、リモコンが付属しているので、各種操作を画面下や裏側に手を回すことなく、着座姿勢から行なえるのもうれしい。
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21:9ウルトラワイドで量子ドット有機EL採用!MSI「MEG 342C QD-OLED」
MSI「MEG 342C QD-OLED」は、純度の高い発色を実現する量子ドット(QD:Quantum-Dot)技術を自発光映像パネルの有機EL(OLED)パネルに組み合わせた、最新のQD-OLEDパネルを採用するのが最大の特徴。まだ採用事例はハイエンド級のTV製品にしかなく、PCモニターへの採用は本機がほぼ一番乗りだと思われる。実売価格は18万6,780円前後。
量子ドット技術の恩恵は白色光のスペクトラムにもはっきりと現れている。ここまで綺麗に分離した鋭い赤緑青のスペクトラムピークは、ゲーミングモニターではほかに見たことがない。さすがは自発光画素の有機ELパネルで、宇宙系の映像や暗がりの多いシーンを視聴したが、とにかく黒の沈み込みが素晴らしかった。液晶だと、明部表現に隣接した黒領域が薄明るくなってしまうが、本機の表示はそうしたことがないのだ。
加えて、工場出荷時にキャリブレーションを行ない、色差ΔE≤2の色精度を実現しているのも見逃せない。
画面サイズは34型。解像度は21:9アスペクトの3,440×1,440ピクセルとなっている。画面は半径1,800mmの円弧に湾曲しているので、画面中央から見た時のサラウンド感は強め。、家庭用ゲーム機はアスペクト比16:9映像の表示にしか対応していないため、本機で表示した場合には左右が非表示となるが、本製品の21:9のウルトラワイドアスペクトは、PCゲームとの相性がよさそうだ。
標準輝度は250cd/平方m、ピーク輝度は1,000cd/平方mと公称されている。HDR表示品質は「DisplayHDR 400 True Black」の認証を取得済み。なお、「True Black」は自発光パネルに対してのみ与えられる称号である。
実際のHDR表示性能を計測して見たところ、500cd/平方mあたりまでの階調表現が行なえているようだ。400cd/平方mあたりまでは入力信号をそのまま表示し、その上の400~500cd/平方mの範囲で、600~1,000cd/平方mの高階調を表現するトーンマッピングとなっているようだ。概ね一般的なゲームや映像コンテンツには対応できる表示特性だろう。
画素応答速度は0.1ms(中間色)を誇る。4K/HDR時のリフレッシュレートは最大175Hz。ただし、175Hz時は色深度8bitモードで、時間方向の誤差拡散(いわゆるFRC技術)を駆使して疑似的に10bit HDR駆動を行なうスタイルとなる。リアル10bit HDR駆動時の最大リフレッシュレートは144Hzまでだ。
PS5との接続時のVRRは、4K/HDRについては筆者調べで48Hz~120Hzまで対応できることが分かった。WQHD解像度の表示時にもVRRに対応する。筆者が調べた範囲ではSDR時、HDR時、両方において48Hz~120Hzまでへの対応ができていた。ALLMへの対応も確認。ゲームコンテンツを認識すると自動的に低遅延モードに切り替わるようだ。
画面の角度調整は上下チルトが+20度~-5度に対応。高さ調整は100mmの範囲で可能。一番下に押し下げた際には、画面の下辺は設置基準面から約52mmのところに来る。
入力端子としてはHDMI 2.1規格対応のHDMI端子が2系統と、DP 1.4規格対応のDP端子を1系統装備。175HzのリフレッシュレートはHDMI/DP/USB Type-Cのすべてで利用可能となっている。なお、USB Type-C端子はDP端子としても利用できるDP Alt Modeに対応するほか、USB PD 65Wの給電にも対応する。
このほか、1セットのマウスとキーボードを、2台のPCで画面表示に連動して使い分けることができるKVMスイッチ機能を搭載。また、ユーティリティソフトのGaming Intelligenceを使用し、キーボード/マウスでモニターの設定が可能。こうして見ると、PCゲーミング用途に重きを置いたMSIらしい設計思想が感じられる製品だ。
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