Twitterなどのソーシャルメディアサービスは今や社会システムの一部となりつつあります。そんなソーシャルメディアサービスでは、特定の個人をブロックすることで相手に投稿を見られないようにすることが可能です。しかし、このブロック機能を政治家などが使用することに対して、国内外から反発の声が上がっており、アメリカでは最高裁判所での審理が始まると話題になっています。
FYI: Will Blocking remain legal for all in the USA? Supreme Court to rule on issue. from Bob Wyman on 2023-04-24 ([email protected] from April 2023)
https://lists.w3.org/Archives/Public/public-swicg/2023Apr/0093.html
ソーシャルメディアサービスなどでブロック機能を使用することが最高裁判所で審理されることになったことを取り上げたのは、ハーバード大学のカー人権政策センターの諮問委員会や、W3Cのスタッフとしても働くボブ・ワイマン氏。ソーシャルメディアサービスにおけるブロック機能は、社会システム全体の利用や設計にさえも重要な影響をおよぼす可能性があると、ワイマン氏は指摘しています。
2023年4月24日、アメリカの最高裁判所が異議を申し立てる2つの訴訟を審理することに同意しました。この2つの訴訟は、個人によるソーシャルメディア上でのアカウントブロックが合法か否かを判断するものです。
「No. 22-324」としてファイリングされている訴訟では、公務員が個人的なソーシャルメディアアカウントから特定の個人をブロックすることが、アメリカ合衆国憲法修正第1条に違反する行為であるかを審理するというもの。ただし、これはあくまで「政治家などの政府職員が自身の仕事内容をソーシャルメディア上で紹介したり、職務に関する事柄を公衆に伝達したりするためにアカウントを使用している場合」に限ります。
No. 22-324 – Supreme Court of the United States
https://www.supremecourt.gov/search.aspx?filename=/docket/docketfiles/html/public/22-324.html
もうひとつが「No. 22-611」としてファイリングされている訴訟。この訴訟では、公務員のソーシャルメディア上での活動が国家行為となり得るかどうかは、その公務員が政府の職務を遂行するため、あるいはその職権に基づきアカウントを使用した場合に限られるのではないかということが審理されます。
No. 22-611 – Supreme Court of the United States
https://www.supremecourt.gov/search.aspx?filename=/docket/docketfiles/html/public/22-611.html
この2つの訴訟について、ワイマン氏は「最高裁判所が特定の個人をブロックすることは違法であるという判決を下した場合、ブロック機能を有するSNS側が政府の役人によるアカウント作成を禁じる可能性もあります。もしくは、政府の役人が個人で運用するSNSアカウントであっても、ブロック機能の使用が禁じられる可能性があります」と記しました。
なお、日本では自民党の河野太郎消費者担当大臣が過去にニコニコ生放送に出演した際に「堂々とブロックします」と宣言しており、実際メディアの関係者が同氏のTwitterアカウントからブロックされたこともあります。
これについては日本でも大きな話題となっており、河野氏はインターネット上で「炎上大臣」や「ブロック防衛大臣」などと呼ばれる羽目になっています。なお、河野氏は「なぜ国民をブロックするの?」という声に対して「個人の暇つぶしにとやかく言われたくない」と返答しています。
河野太郎は違憲なの?エゴサブロック問題で炎上大臣 #河野さんにブロックされています – Togetter
https://togetter.com/li/1771282
河野太郎・ブロック防衛大臣 – Togetter
https://togetter.com/li/1426180
中には以下のような指摘もあります。
山本太郎氏を「演説で人を惹きつけるヒトラー」と嘲る人達は、河野太郎の時折政治と関係ないネタをバズらせる事で大衆を熱狂させ、陰で大量にアカウントをブロックしてリプ欄にイエスマンを並べる事には何も言わない。こちらの方がよっぽど「演説がお上手」だと思うのだが。 pic.twitter.com/wyiC5XoNx0
— 無気力 (@W7wBC8)
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