Binanceとチャンポン・ジャオCEOが違法な取引の疑いでアメリカの規制当局から起訴される

GIGAZINE
2023年03月28日 13時37分
メモ


by Web Summit

アメリカの商品先物取引委員会(CFTC)が、仮想通貨取引所のBinanceおよびその共同設立者であるチャンポン・ジャオ氏、元最高コンプライアンス責任者のサミュエル・リム氏に対し、告訴状を提出しました。アメリカのユーザーをブロックしていると公言しているBinanceに、ひそかにアメリカのユーザーを勧誘していた疑いが持たれています。

CFTC BINANCE.pdf | DocDroid
(PDFファイル)https://www.docdroid.net/60YAbCz/cftc-binance-pdf

CFTC Charges Binance and Its Founder, Changpeng Zhao, with Willful Evasion of Federal Law and Operating an Illegal Digital Asset Derivatives Exchange | CFTC
https://www.cftc.gov/PressRoom/PressReleases/8680-23

CZ’s Response to the CFTC Complaint | Binance Blog
https://www.binance.com/en/blog/from-cz/czs-response-to-the-cftc-complaint-2408916493005890282

US CFTC sues Binance and CEO Changpeng Zhao
https://web3isgoinggreat.com/?id=cftc-sues-binance-and-ceo-changpeng-zhao

CFTC: Binance and CZ violated compliance rules to solicit U.S. users
https://www.cnbc.com/2023/03/27/binance-and-founder-changpeng-zhao-sued-by-cftc-for-allegedly-violating-trading-rules.html

イリノイ州の連邦裁判所に提出された書類の中で、CFTCは、「Binanceはアメリカに所在する顧客のプラットフォームへのアクセスを『ブロック』または『制限』すると公に表明したにもかかわらず、アメリカでの事業の存在感を高めるために計算されたアプローチを取った」と主張しています。

アメリカで仮想通貨に関する取引事業を展開するには、CFTCの認可を受け、マネーロンダリングやテロ資金供与などを防止する法律を順守する必要があります。Binanceは「メインの取引所であるBinance.comではアメリカのユーザーと取引しない」と公言しているため、本来であればこれらの規制に従う必要はありません。

しかし、CFTCの主張では、Binanceはアメリカのユーザーに仮想通貨を直接購入させるのではなく、仮想通貨の価格について取引する商品デリバティブ取引を提供したとされています。

また、Binanceは先物取引業者として十分な機能を有しているにもかかわらず、そうした業者には必ず求められる顧客の身元確認を十分に行わず、テロ資金やマネーロンダリングを防止・検出するために設計された手順を実施しなかったとCFTCは主張しました。


さらに、Binanceはアメリカのユーザーの取引を制限するとした後も、自社にとって価値のあるVIPユーザーを対象に、Binance自身が制定したコンプライアンスを回避するための方法を提示していたとCFTCは指摘。CFTCは「VIPユーザーが法執行機関からの追及を受けたり、資産が凍結されたりするときに、Binanceは彼らに注意を促し、資産をプラットフォームから取り除くよう提案した」と述べています。加えて、Binanceがアメリカのユーザーに対してVPNを使うよう指示し、自身の本当の居場所を隠すよう指示したともCFTCは主張しています。

なお、Binanceがユーザーに規制を回避する方法を伝えるという行為は他国でも行われていたようで、以前にはBinanceの従業員らしき人物が中国政府が設けた規制を回避する方法をユーザーに伝えていたことが報告されています。このことに関し、Binanceは「法律や規制を回避する方法を指示する行為を社内で明確に禁じている」と事実を否定しています。

「中国政府の規制回避方法」を世界最大の仮想通貨取引所「Binance」が中国人ユーザーに指南している – GIGAZINE


こうした行為はBinanceの「アメリカのユーザーをブロックしている」という主張に反し、アメリカの法律を破るものであるであることから、CFTCは罰金と恒久的な取引禁止を求めています。ジャオ氏は、実質的な支配力を持っていることからBinanceにおけるすべての戦略に責任を負っているものと見なされており、リム氏は、コンプライアンスを意図的に回避する方法を支援して違反をほう助した罪に問われています。

一方、ジャオ氏は「この訴状には不完全な事実が含まれているようで、私たちは主張されている多くの問題に同意しません」とする声明を発表。最高水準のマネーロンダリング防止対策や本人確認手続きを導入し、アメリカを含む世界各国の法執行機関と透明性のある協力関係を築いてきたことをアピールし、「私たちは2年以上にわたってCFTCと協力してきたにもかかわらず、予想外で残念な民事訴訟が提起されてしまいました」とコメントしました。

なお、ジャオ氏は上記声明をツイートすると共に「4」という謎の数字をツイートしていますが、これはジャオ氏が以前話していた2023年の抱負に関するもの。ジャオ氏は2023年1月3日に「1:教育、2:コンプライアンス、3:製品とサービス、4:FUD・フェイクニュース・攻撃などを無視する」という4つのルールを自分に課すことを明らかにし、「今後『4』をツイートする際には、この投稿へのリンクを貼ってもらえるとうれしいです」と述べていました。この抱負が、早速実現した形となりました。

この件に関し、Bloombergは「CFTCの訴状は、小売顧客の保護やマネーロンダリングの取り締まりなど、これまで慣例的に行ってきた規制を装っています。しかし、今回の規制は国際的な大手取引所をアメリカ内の洗練された独自のマーケットから切り離すというものです。金融界全体を管轄するCFTCが最大の仮想通貨取引所であるBinanceを取り締まることで、アメリカの金融を安定させる狙いがあるのではないでしょうか」と意見を述べました

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