アスレチックス・藤浪晋太郎のメジャー初白星が遠い。2023年4月22日のレンジャーズ戦に4度目の先発で登板したが、3回途中7安打8失点KO。4連敗で防御率14.40とさらに悪化した。
「これから何度もチャンスが与えられるわけではない」
変化球の精度が低く、甘く入った球をことごとく痛打された。2点の援護を受けてマウンドに上がった初回。4番・ガルシアに真ん中に入ったスライダーを完璧に捉えられ、左翼席に運ばれる同点2ランを被弾した。2回も5本の集中打を浴び、暴投や四球も絡んで5失点。制球に苦しみ、カウントを整えられない。相手打者と戦う以前の問題だった。
初回に被弾した4番・ガルシアに対し、2回の2打席目で左肘に死球を当てると、怒りを露わにした表情でマウンドに歩み寄る場面も。あわや乱闘の緊張感あふれる空気に、主審が止めに入った。3回も四球、暴投と復調の兆しが見えず、1死二塁のピンチを作って降板。チームも3-18で大敗した。15日のメッツ戦は6回4安打3失点と黒星がついたものの初のクォリティースタートで及第点をつけられる内容だったが、高いパフォーマンスを持続できなかった。
米国で取材する記者は「正直、今のままでは厳しい。直球は160キロ以上を計測しているが、それだけでは空振りを取れないし抑えられない。変化球の精度を高める必要があります。これから何度もチャンスが与えられるわけではない。厳しい立場に追い込まれています」と指摘する。
阪神で伸び悩んでいたが、昨オフにポスティングシステムでメジャー挑戦を決断。年俸325万ドル(約4億3600万円)と破格の条件でアスレチックスと契約を結んだ。先発ローテーションの一角として覚醒が期待されたが、現実は厳しい。
阪神を取材するスポーツ紙記者は「藤浪はショートイニングの方が活路を見出せる。短いイニングで思いっきり腕を振った方がスプリットの精度が高いし、力を発揮できると思います。強い覚悟で挑戦しているので成功してほしいですね」と期待を込める。
チームが最下位に低迷する中、藤浪は這い上がれるか。
(中町顕吾)