4月20日の衆院憲法審査会で、第9条を中心に議論がされたが、ようやく議論が詰まってきたように思う。
私は第九条の改正問題に決着をつけないと、安全保障が図れないのみならず、両院で三分の二という条件をめぐって与野党が攻防を繰り返し、過半数をめぐって競う二大勢力による争いがいつになってもできないので、野党の成長のためにもこの問題に決着をつけて欲しいと思っている。
そのあたりは、『日本の政治「解体新書」: 世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱』(小学館新書) で詳しく論じた。
そんななかで、4月20日の衆院憲法審査会での議論はなかなか面白かった。
自民党は「9条の2」を新設して自衛隊を明記すべきだと主張した。それに対して、公明党は「内閣」の章への記述を提案し、立憲民主党は慎重論を展開した。
自民は「本来であれば国防規定とその担い手である自衛隊を定めた上で、実力行使のあり方を規定するのが最高法規としてのあるべき姿ではないか」とした。
日本維新の会は、「自衛のための実力組織という特殊性、独自性に鑑み、平和の維持を定めた9条に自衛隊を書き加える」とした。
公明は「自衛措置の限界は堅持した上で、国防規定とその担い手である自衛隊を明記し、シビリアンコントロールを明確化するのであれば、内閣の章の72条、73条の内閣総理大臣や内閣の職務に追加規定を設ける」ことを主張した。
立民は、中国などが自衛隊明記に懸念を示しているので、「書かないこと、問題にしないこと、言わないことなど、絶妙なバランスの上に外交は成り立っている」としたという。
私は何も高らかに第9条改正を唄い上げるのが目的でないなら、公明党の案が変則的だが、実用的に不都合がないか前向きに検討していいと思う。自民党が公明案に乗ってしまうのも一案かと思う。
立憲民主党は、自衛隊や日米安保が憲法違反でないことが確認することは、否定しないのだろうか?
私はそれらが憲法違反だという余地を残すことのもたらしている問題が3つあると思う。
- 教育の場で違憲かどうか両論あると教えられている。
- 地方自治体などが憲法違反である可能性を否定できないとして自衛隊などの仕事に非協力であることを許している。
- 皇室が自衛隊行事に参加しない。
そこで、私は国会決議で、自衛隊と日米安保が憲法違反でないと宣言してはどうかと思う。それを根拠に、教育の場で堂々と自衛隊などについて積極的な意義を教え、自衛隊に積極的な協力や行事参加に協力しない余地をなくし、天皇陛下が閲兵したり、演習を見学したり、皇族が自衛隊に入隊することをかのうにすればいい。
ちなみに、英国などヨーロッパの王室、戦前の皇室と軍務との関係は、新刊『英国王室と日本人: 華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館)で詳しく論じた。