弥生株式会社が3月14日、「個人事業主 実態調査 2023」の結果を公表した。個人事業主にとって2023年における最大の関心事は「インボイス制度」であると推察している。また、「e-Tax」の利用率についても集計しており、年を追うごとに利用率が上がってきているが、高止まりの傾向にあるという。
この調査は1月11日~16日、令和4年(2022年)分の確定申告を行う予定の個人事業主(全国の20代~70代)を対象にインターネットを用いて実施。一次調査において2023年の課題として「インボイス・電帳法改正への対応」「資金繰り」「事業承継」のいずれかを挙げた1000サンプルを本調査の対象としている。
「収入がなかなか安定しない」ことが課題、個人事業主の半数超
「令和5年の個人事業主の課題」(n=2944、複数回答可)は、「収入がなかなか安定しない」が半数を超える51.7%で最多。以下、「インボイス・電帳法改正への対応」が23.9%、「確定申告」が19.9%、「資金繰り」が10.3%、「仕事がなかなか見つからない」が10.1%――などと続いている。
「令和5年に関心があるバックオフィス業務」(n=1000)において、「関心がある」(複数回答可)として挙げられたものは、「確定申告」が72.1%、「インボイス・電帳法改正」が62.5%、「資金繰り」が32.5%、「事業承継」が21.9%、「法務全般」が14.3%――などと続いている。
一方、「最も関心がある」(単一回答)として挙げられたものは、「インボイス・電帳法」が40.4%、「確定申告」が28.6%、「資金繰り」が13.8%、「事業承継」が7.4%、「人事労務全般」が1.8%――などと続いている。
弥生では「これまで個人事業主の課題や関心事としては、『収入面』や『確定申告』が主なものだったが、当調査結果から今年は特に『インボイス制度』への高い関心があることが推察できる」と統括。また、個人事業主においても法人と同様、「資金繰り」や「事業承継」に対する一定の関心があると指摘している。
個人事業主の4割が、インボイス制度の「準備はこれから」
先の質問にて「インボイス・電帳法改正」を「関心がある」として挙げた人に、「現在した/しているインボイス制度への準備」(n=625、複数回答可)を質問した。「制度について情報収集をした/している」が36.8%、「対応方針・内容の検討した/している」が23.2%、「取引先と対応を相談・調整した/している」が15.0%、「適格請求書発行事業者の登録申請した/している」が14.9%、「制度について社内関係者へ周知した/している」が10.1%、「システム改修などに着手した/している」が7.2%、「その他」が0.6%だが、「準備はこれから」が41.6%に上った。
また、「インボイス制度の準備における困りごと」(n=625、複数回答可)としては、「何をどのように進めればいいのか分からない」が40.8%、「自社にどのような影響があるか分からない」が33.8%、「いつから準備を進めればよいか分からない」が28.2%、「どこに/誰に相談したらよいか分からない」が25.1%――などと続いている。
「e-Tax」利用率は40%程度で高止まり
青色申告者における「e-Tax利用率の推移」は、2019年分が26.5%、2020年分が36.4%、2021年分が37.3%で、2022年分の利用意向が40.2%。2019年から2020年は9.9ポイント増加しているが、2020年から2021年は0.9ポイント、2021年から2022年は2.9ポイントの伸びにとどまっている。
「令和4年分e-Taxを利用したくない理由」(複数回答可)は、「紙での提出に慣れているから」が40.5%で圧倒的に多く、「e-Taxでの申告のやり方が分からないから」が22.4%、「ICカードリーダーを買いたくないから」が21.4%、「e-Taxのやり方を調べるのが億劫だから」が19.9%、「税務署/確定申告会場で相談したいから」が18.9%、「e-Taxが難しそうだから」が18.0%――などと続いている。